Netherworld ― 最後の狩人の道

Rocket Ghost

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狩人試験編

第2A話 : 僕を泣かせた魔物

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(ノルは滝から落ちた湖へ戻ってくる。)

ノル・タケダ
試験での自分の出来が、あんなに酷かったなんて……信じられない。
もし目標が「一晩生き延びること」じゃなかったなら……確実に不合格だよ。
(不安げな表情)

(突然ファクロウが現れ、ノルを驚かせる。)

ファクロウ
おはよう、坊や。やっと見つけたぞ。何時間も探してたからな。
もう死んでるんじゃないかと思ったよ。
(図太く笑う)

ノル・タケダ
来てくれたんだ……よかった……。もう二度と会えないと思ってた。
(膝をつき、ファクロウの腕を掴む。今にも泣き出しそう。)

ファクロウ
落ち着け。そこまで大騒ぎすることじゃない。
確かに大変な夜だったが、それほど深刻でもない。
さあ来い。新しく伝えることがある。
(歩き出す)

ノル・タケダ
新しく……? それってつまり、俺は試験に合格したってこと!?
(無視される)
おい、ちょっと待てよ! 質問に答えてくれってば! 全然わからないんだよ!
(追いかけながら話し続ける)

(場面転換。二人は森の坂を登っている。)

ファクロウ
(腕輪に触れると長方形のホログラムが展開される)
ノル、よく聞け。話せる時間があまりない。

(ノルが黙る)

今日からお前は「正式訓練生」だ。
ハンター試験は四つの段階に分かれている。
第一段階、生存。
第二段階、生活維持。
第三段階、訓練。
第四段階、最終評価だ。

ほとんどの受験者は初日の夜に死ぬ。
だから最初の段階では最低限の説明しかしない。資源も時間も無駄にできないからだ。

ノル・タケダ
(心の声)
そんな……あまりにも冷酷すぎる……。
受験者を見捨てているようなものじゃないか……

(坂が終わり、平地に出る)

ファクロウ
お前は第一段階を突破した。だから詳しく説明してやる。
合格した訓練生は、この土地の環境に最低三か月は順応しなければならない。
その後で、この俺――ハンサムな指導官から次の指示を受けることになる。
(胸に手を当て、誇らしげに微笑む)

ノル・タケダ
ま、待って……つまり三か月間、リンゴを食べて木の上で寝る生活ってこと……!?
(顔が青ざめる)

ファクロウ
その頃には家も建てて、狩りにも慣れているはずだ。
まあ、それはお前の問題であって、俺のじゃない。
続けるぞ。

日が経つにつれ、モンスターはどんどん強くなる。
だが火を使えば寄せ付けないことができる。

昨日会った村では、松明やオイルランプを手に入れられる。
木材や食料、価値のある物を渡せば交換してくれる。
(リンゴを取り出してかじる)

もっとも――村を見つけられれば、だがな。

えぇと……次は……ああ、そうだった。
道具が壊れたら、中央の村で補充できる。
持ち物は全部取っておけ。商人は再利用が好きだからな。
捨てると、次に買う時に高くつくぞ。

(ノルは固まる。フラッシュバック:空の水筒を捨てたこと、剣を折ったこと。)

ファクロウ
おい、大丈夫か?
(肩に手を置く)

ノル・タケダ
だ、大丈夫……です。
(緊張)

ファクロウ
よし。伝えることは以上だ。
ああ、忘れるところだった。
途中で諦めたくなったら、「試験を降りる」と叫べばいい。
……どうなるかは分かっているだろうがな。

ノル・タケダ
心配いらない。絶対に諦めたりしない!
(自信に満ちた笑顔)

ファクロウ
(わずかに微笑む)
いい覚悟だ。期待しているぞ。
じゃあな。幸運を。
(突然姿を消す)

ノル・タケダ
(驚いた表情で)ま、待って! ファクロウーーー!

ファクロウ
(急いで戻ってくる)どうした!? なんでそんな叫び方を……?

ノル・タケダ
あ、その……剣のことで……ちょっと話が……

(場面転換:折れた剣が映る)

ファクロウ
信じられん……一日で剣を壊すやつなんて、今まで一人もいなかったぞ。
(呆れたような顔)

ノル・タケダ
えっ、俺が初めて!? じゃあやっぱり俺って特別なんじゃ……?
(照れ笑いしながら頭をかく)

ファクロウ
そんなことで胸を張るな。
(ため息)まあいい、代わりの剣は探してやる。丸腰で死なれたら後味が悪いからな。
……じゃあ今度こそ行くぞ。日暮れ前には戻る。

(姿を消す)

ノル・タケダ
(語り)ファクロウは言ったとおり、日が沈む前に新しい剣を持って戻ってきた。
彼が去ったあと、俺は昼間に切れ目を入れておいた木に足をかけ、頂上までよじ登った。

こうして、俺の新しい生活が始まった。

朝は家造りに全力を注ぎ、
昼は食料と水を探し、
夜になると必ず木の上に戻って身を守った。

滝で体を洗い、潰した花の香りと混ぜて匂いを消した。

(場面転換:細く割った木材、泥、編んだツタを使って壁を作る。地面を掘って柱を固定し、キンチャのような家が形になっていく。)

ノル・タケダ
正直、最初の一週間は何度もあきらめようと思った。
でも、ここまで来て負け犬みたいに戻るなんて絶対に嫌だった。
俺は……絶対に折れない。

一か月が過ぎ、家はほぼ完成。
残る問題は一つ――モンスターを寄せつけないための「灯り」だった。

火を起こすのに一週間もかかった。
いろんな方法を試して、ようやく成功したときは本当に嬉しかった。

この頃には、まるで一人前の狩人になった気分だった。
こんな過酷な場所で一か月も生き残ったんだから。
次に何をすべきか考えていたその時――ふと、ファクロウの言葉を思い出した。

(真剣な表情)

(回想)

ファクロウ
(微笑みながら)「いい心構えだ。期待してるぞ。」

ノル・タケダ
いや、違う……その言葉も嬉しいけど……

(別の回想)

ファクロウ
「日が経つにつれ、モンスターはどんどん強くなる。」

ノル・タケダ

そうだ。
この一か月、俺はモンスターのことを完全に無視していた。
夜はぐっすり眠り、朝には日光で消えたか、近くの洞窟に隠れていた。
そろそろ向き合う時だ。見て、理解しなきゃいけない

それから、昼に眠り、夜に起きる生活へ切り替えた。
木の上からモンスターの動きを見て、群れの行動や変化を記録した。
(ゾンビ、スケルトン、奇妙に変異した動物たちの姿が映る。)

群れの中でも強い個体ほど縄張り意識が強く、
一匹で狩りをすることを好んだ。
空腹時や力を示したい時には、他のモンスターを殺すことさえあった。

少しずつ、俺も戦い始めた。
小さな群れを狙い、倒すたびに自作の香りで匂いを消した。
そうしていくうちに、一匹のモンスターとも渡り合えるようになった。

(時が流れる。)

ファクロウと別れて、すでに二ヶ月が経っていた。
だが、新しい友ができた。
彼の名はモクサイ。賢く、優しい友だった。
(幹に笑顔の顔が彫られた木が映る。)

彼は「中央の村を探せ」と助言してくれた。

分かっていた。モクサイの言う通りだと。
だが……戻れなかったらどうする?
まだ時期ではないと思っていた。
それでも彼は繰り返し言った。「行くべきだ」と。
俺の道具はもう限界だった。剣も斧も刃こぼれだらけだった。

中央の村を探して二週間、俺は木々に印を残しながら進んだ。
(×、○、□、△などの印。)

探索を続けるたび、状況は悪化していった。
魔物はどんどん強くなり、急速に変異して予測不能だった。

夜になると、奇妙な鳥のような存在が現れた。
巨大で、骨がないように見える。高空を漂い、
視界から消えた瞬間、急降下して襲ってくる。
ただ、振り返るのが早ければ怯えて空へ戻っていった。

(ノルの家の壁には日数の刻み。)

ファクロウと再会するまであと十五日。
俺の剣はすでに折れていた。
モクサイは「石で新しい剣を作れ」と助言した。
三日かけてどうにか完成した。見た目は最悪だったが、切れ味はあった。

次の夜、例の鳥を調べに行った。
奴らは空中に浮かぶばかりで、一度も降りてこなかった。
どれだけ視線をそらしても襲ってこない。まるで何かを恐れているようだった。

その時だった。
大地が裂け、巨大な根がせり上がった。
木々が揺れ、葉を落とし、樹皮が割れて――
口のような模様と、赤く光る六つの目が浮かび上がった。

二体を相手に戦ったが、全く歯が立たなかった。
死を覚悟した瞬間、二体は互いに争い始めた。
まるで「どちらが俺を食うか」決めているように。
今まで見たどの魔物よりも縄張り意識が強かった。
花の液体を使い、なんとか逃げ切った。

(ノルは家に戻り、怯え、倒れそうになっている。)

ノル・タケダ
(息を切らしながら)モクサイ! 大変なことが起きた! 森が……俺を殺そうとしたんだ!
落ち着け? 他の魔物と同じだ?
……まあ、似てはいた。でも、奴らは強すぎた。俺じゃ太刀打ちできなかった。

(木に近づく。)
モクサイ……どう思う? 俺に倒せると思うか?

「強くなる必要はない。お前の“知恵”こそが最大の武器だ。活かせ。」

(ノルが老人の声で真似る。)

ノル・タケダ
(涙を流しながら)本当に……そう思ってくれるのか?
ありがとう、モクサイ。お前みたいな友に出会えて、俺は幸せだ。
約束する。お前の言葉、必ず守る。

(木を抱きしめて泣く。)

モクサイ
(かすかに)……に……げ……ろ……。

(その瞬間、モクサイの姿が変わり始める。恐ろしい口が裂け、葉がぱらぱらと落ちていく。)

ノル・タケダ
(恐怖に震えながら)な、何が起きてるんだ……!? モクサイ! お願いだ、戻ってくれ!
(悲しさと怯えが入り混じった表情。)

(木となったモクサイがノルに襲いかかる。ノルは必死に剣を抜いて応戦するが、
切り落とした枝はすぐに再生してしまう。)

ノル・タケダ
お願いだよ、モクサイ……お前を傷つけたくないんだ!

(激しい戦いが続く。ついにノルの剣が折れ、
モクサイの一撃で家の近くまで吹き飛ばされる。
ノルは焚き火の薪を掴み、怯えながらもそれを振り上げる。
モクサイには、他の木にあるような“目”がなかった。)

(ノルは涙をこぼしながら松明を振るい、モクサイを叩く。
炎が燃え移り、モクサイは激しく燃え上がる。
焼けるような悲鳴を上げながらも、モクサイはなおノルを叩きつける。
やがて炎は弱まり、モクサイは倒れ、その体はもう再生できなかった。)

ノル・タケダ
(地面に倒れ込み、泣きじゃくりながら)モクサイ……ごめん……こんなつもりじゃ……なかった……本当に……ごめん……。

モクサイ
……わかっ……たか……?
……おまえ……なら……つよい……まものにも……かてる……。

ノル・タケダ
(戸惑いと悲しみに震えながら)え……?

モクサイ
……ちえ……こそ……おまえの……ちから……だ……
……それを……むだに……するな……。

ノル・タケダ(ナレーション)
そのあと、俺は燃え尽きたモクサイの残骸のそばで、朝まで泣き続けた。
日の出とともに、残った灰が風に溶けるのを見届け、
ゆっくりと顔を上げた。

そして――モクサイが教えてくれた通り、
次の夜に備えて、新しい剣を作ることにした。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!✨
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📮 アホロートによるちょっとした豆知識

🕯️ **モクサイ**は、昨年のハンター試験で命を落とした志願者の魂である。
試験中に死亡した者の遺体は、時間とともに朽ちるか、あるいは獣🦴に喰われていく。その過程で魂は肉体から解き放たれ、最も多くその身体を取り込んだ存在と融合する。

🌳 それが木であった場合、魂は木と一体化し、新たな存在として留まる。
しかし、魂が再び動き、意志を持つためには条件がある。

🌑 周囲に「闇の元素」が存在する時にのみ、魂は再び目を覚ます。
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