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狩人試験編
第2B話 : 友か敵か?
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(10日後。困惑した様子でファクロウが姿を現す。)
ファクロウ
どこに行ったんだ……? 家は目の前にあるのに、誰の気配もしないな。
(ボロボロの服に乱れた髪、槍を手にしたノルが現れる。)
ノル・タケダ
名を名乗れ……さもなくば――覚悟しろ。
(ファクロウだと気づく。)
ノル・タケダ
(悲しげに目を伏せて)……ファクロウか。もう来ないのかと思ったよ。
俺のこと、完全に忘れたのかって……。
最後に会ってから、もう三ヶ月も経ったなんて……信じられない。
ファクロウ
おいおい、落ち着け。三ヶ月になるのは明日だっての。
ただ、この二日ほど姿が見えなくてな……“死んでないか確認してこい”って言われたわけだ。
ノル・タケダ
(胸がズキッと痛む)……そう、なんだ。
ファクロウ
まあ生きてるなら十分だ。行くぞ、時間だ。
ノル・タケダ
行くって……どこへ?
ファクロウ
中央の町だ。服を買うぞ。
明日に備えて、ちゃんとした格好をしておけ。
(2人は森の中を駆けていく。)
ノル・タケダ
ファクロウ、明日ってそんなに特別なのか?
ファクロウ
ああ。明日、お前は第1の町の最強のハンターたちの前に立つ。
初日に聞いただろう、“入ったゲート番号”。
あれがお前の所属する町を示していた。ロッテンロウには三つの町がある。
上官たちに会ったら、任務の補助や同行が始まる。
お前の仕事は簡単だ――できるだけ多くを学べ。
それと、死ぬな。少なくとも俺がいる間は。
(場面転換:木造でミニマルな雰囲気の服屋。)
ファクロウ
着いたぞ。さっさと選べ。まだ仕事が山ほどある。
ノル・タケダ
分かった。えっと……これと、あれと……その隣のも。
……ちょっとくらいスタイルを変えるか。
(結局、初日に着ていたのと同じ服を選ぶ。)
ファクロウ
……センスねぇな。まあいい。
代金は店主に渡せ。交換する分もちゃんと伝えろ。
ノル・タケダ
(インベントリを確認しながら)リンゴ、木材、ベリー……ウサギとキツネの毛皮があるな。
ファクロウ
毛皮を出せ。他は価値がない。
(場面転換:夕暮れのノルの家。)
ファクロウ
よし、今日はここまでだ。しっかり休め。
道順は覚えているな? 明日は朝7時、最初の分岐にあった古いオークの木の下で会おう。
ノル・タケダ
分かった。
ファクロウ
じゃあな。(姿が消える)
ノル・タケダ
ついに……ついにハンターたちに会えるんだ。
はあ……楽しみすぎる!
(翌朝。)
ノル・タケダ
(欠伸をしながら歩く)朝7時って……早すぎだろ。
1時間くらい遅らせてくれればよかったのに。
古いオークはすぐそこだ。急がないと。
(場面転換:オークの下。)
7:00 AM ――ノルは笑顔で胸を躍らせている。
8:00 AM ――表情に焦りが混じる。
9:00 AM ――完全に怒っている。
(茂みから物音。)
ノル・タケダ
やっと来たか……二時間も待って――
(木々の間から女の子が姿を現す。)
ノル・タケダ
あっ……その、こんにちは。別の人かと思って……(気まずそうに)
椿イカリ
(静かで落ち着いた瞳)……気にしなくていいわ。
(ノルの隣まで歩き、そっと腰を下ろす。)
ノル・タケダ
よかった……。(落ち着かない様子で、どこか困惑している)
散歩には、まあ……いい日だよね。
椿イカリ
ええ、そうね。(淡々とした口調)
ノル・タケダ
あ、ああ……そうだね。(ぎこちなく笑う)
(──三十分後)
ノル・タケダ
(苛立ちが見え始め)なあ……ここに来て、何がしたいんだ?
椿イカリ
どういう意味? ここにいてはいけない理由でもあるの?(感情の起伏はない)
ノル・タケダ
いや、嫌ってわけじゃないけどさ……三ヶ月ほとんど誰にも会わなかったのに、急に来て普通に隣に座るなんて……変だろ。
椿イカリ
そう? じゃあ、なんであの人は平気なの?(上の枝を指さす)
(枝の上で、口元をマフラーで隠した男が横になっている)
ノル・タケダ
なっ……! いつの間にそこに!?
ヒソカ
彼女が来る前から、ここにいたよ。
ノル・タケダ
そんなわけない。気づくはずだ……。
ヒソカ
ノル、お前の探知能力はまだまだだな。
やあ、ツバキ。久しぶり。(にっこり)
椿イカリ
ええ、久しぶりね、ヒソカ。
ノル・タケダ
じゃあ、二人は知り合いだったのか?
ヒソカ
(回想調で語り始める)
ああ。ひと月ほど前かな。中央の町を探して森を歩いていたら、イノシシを解体してる“何か”が見えてな。
近づいてみたら……ツバキだった。
(猟刀を持ち、弓と矢筒を背負ったツバキの姿が映る)
椿イカリ
それをもう一度言ったら、本当に刺すわよ、ヒソカ。
ノル・タケダ
なるほど……今日は会う約束でもしてたんだな。
じゃあ、そろそろ行ってくれよ。邪魔するつもりはないけど……できれば遠くで話してくれ。(ツバキを押しやりながら)
椿イカリ
ちょっと待って。追い出す理由なんてないわ。ここにいる権利はあなたと同じよ。
ノル・タケダ
それは分かってる。でも今日は案内人と会う日なんだ。第1の町のハンターたちに紹介してもらえるって約束でさ。
余計なことで集中を切らせたくないんだ。
椿イカリ
本当に楽しみにしてるのね。それで――名前は?
ノル・タケダ
ノル・タケダだ。ずっと夢だったんだよ、モンスターのハンターになるのが。
今日がその始まりなんだ。最高の日になるはずだ。世界で一番頼もしい英雄たちと会えるんだから。
椿イカリ
(少しだけ驚いたように)ノル……タケダ?
ノル・タケダ
ああ。
椿イカリ
(表情は落ち着くが、どこか苛立ちを含む)
変わった名前ね……まあ、それはいいわ。
でも一つ言っておく。そんな考え方をしているなら、ハンターになる資格はない。
外見や憧ればかり気にして、本質を見ていない。
その姿勢じゃ、責任の重さなんて理解できないままよ。
ノル・タケダ
(怒気を含めて)俺のこと、何も知らないくせに……どうしてそんな言い方ができるんだ?
椿イカリ
知らなくても十分よ。あなたの憧れと理想は目を曇らせる。
それじゃ失敗を繰り返すだけ。
三ヶ月もいて、ヒソカに気づけなかったでしょう?
未来のハンターとして言ってるの。無駄死にしてほしくないだけ。
ねえ、ヒソカ。私、間違ってないわよね?
(見るとヒソカは枝の上で眠っている。ツバキはほとんど呆れた表情)
ノル・タケダ
つまり……俺はまだ準備ができてないって言いたいわけか。
心配してくれてありがとう。でもな……たとえ明日死ぬことになっても、無駄にはしない。
(挑むように笑う)
俺は、俺の信念を貫く。
さあ……どれだけ準備できてるか、見せてやるよ。
(剣を構え、表情は完全に引き締まっている)
椿イカリ
(苛立ちを隠さず)ほんと子供みたいな態度ね。そんな挑発、私の言っていることを証明してるだけよ。
もうやめなさい。これ以上、恥を重ねる必要はないわ。
それに――ハンター同士の戦闘は禁じられているの。
ノル・タケダ
何を怖がってるんだ? 俺が負けたら、素直に辞めてやるよ。
そんなに自分が優れてるって思ってるなら、堂々と相手をすればいい。
それとも……未来のハンターって、口だけの存在なのか?(顔をぐっと近づける)
椿イカリ
(怒りで顔が真っ赤になり、チビキャラ風にぷるぷる震える)
もう我慢の限界よ!! 幼稚でウザいガキ!!
今ここで終わらせてあげる!!!
ノル・タケダ
やっと本性を見せたな。遠慮はいらない、来いよ。
椿イカリ
いいわ。――覚悟しなさい。(刀を抜く)
力づくで理解させてあげる。
(ヒソカが木の枝で片目だけ開き、戦いを覗き見る)
ヒソカ
(心の声・やや呆れ気味)
……同レベルで幼稚だな。今日殺し合わなくても、いずれやるだろあいつら。
(戦闘開始。ツバキは攻防ともに高い技術を見せ、徐々に優勢へ)
(ツバキが押し込み、ノルは防御に追われる。ツバキの一撃は重く鋭い。
ノルは守りを優先し、反撃はほとんどできていない)
ノル・タケダ
(戦いながら)
嘘だろ……なんでこんなに力があるんだ?
このままだと――俺の剣、折れる……
(刃が押し合いになり、ノルは後退させられる)
椿イカリ
悪くないわね。思ったより粘るじゃない。(余裕の笑み)
ノル・タケダ
(微笑む)
君も強いよ。この数ヶ月、相当鍛え込んだんだな。
(次の瞬間、ツバキが不意打ち気味に下から上へ強烈な斬り上げを放つ)
椿イカリ
……ガードが甘い!
ノル・タケダ
くそっ……隙を突かれた!
直接受けたら折られる……どうする……!
(足で踏ん張りながら、上から下への縦斬りで迎え撃つ)
(刃が激しく衝突。衝撃でノルの剣が手から離れ、空へ舞い上がる。
刀身は欠けてしまう)
椿イカリ
これで終わりよ。私の勝ち。――約束、守りなさい。
(だがノルは諦めず、素手で突進する)
ノル・タケダ
まだだ……! 俺は負けない!!
(ツバキは反射的に踏み込み、360度回転しながらノルの脇腹を突こうとする)
(その瞬間、二本の腕がノルとツバキの腕をがっちり掴む)
椿イカリ
(心の声)
なっ……!? 剣を落としたはずなのに、どうやって……?
(回想)
まさか……わざと剣を手放して、私を油断させるため……?
ファクロウ
(笑いながら)
まったく……数分遅れただけで殺し合い寸前か。信じられないよ。
ノル・タケダ
(驚き)
ファクロウ!?
(すぐ怒り顔)
やっと来たか! 一体どれだけ待たせるんだよ!!
椿イカリ
(心の声)
……命を懸けてまで、自分の正しさを証明しようとするなんて。
ほんと、変わってるわね――ノル。
ファクロウ
「もう文句は終わりだ。さっさと行くぞ。」
(オークの木の近くを歩きながら)
「ヒソカ、降りてこい。もう決着はついた。」
ヒソカ
(木から軽く飛び降りる)
ノル・タケダ
(不満げに)
「ちょっと待て……こいつらも一緒に来るのか?」
ファクロウ
「当たり前だろ。三人とも俺の弟子なんだからな。
正直、三回も同じルートを歩くのはだるいんだ。
ほら、行くぞ。」
(四人が歩き出す。ヒソカは無表情、ノルはやたら楽しそうで、ツバキは露骨に不機嫌。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(場面転換。小屋の中。マサルが丸い眼鏡をかけ、遠心分離機の横で血液サンプルを観察しながらノートに書き込んでいる。)
シゲル
(ドアを開けて入る)
「やっぱりここか、マサル。何日も探したぞ。」
マサル
(眉をひそめ)
「勝手に入るな、シゲル。
……で、今度は何の用だ?」
シゲル
「そんなにピリピリすんなよ。友達だろ?」
マサル
「重要な研究の最中だ。用件だけ言って帰れ。」
シゲル
「相変わらず堅いなあ。
でも今日はお前にとって“ちょっと嬉しい”話がある。
今日は何の日か分かるか?」
マサル
(月曜の朝みたいな声)
「……月曜日だろ。最悪だ。」
シゲル
「それも正解だけど、今日は“ちょうど三ヶ月”だ。
新しく入った候補生たちが試験を始めてからな。
ついに会えるんだ。
――“特別な歓迎”をしてやりたいと思わないか?」(ニヤリ)
マサル
「……何を企んでる?」
シゲル
「評議会が、第一村と第二村で“ログランク試験”の実施を認めた。
で、俺は監督役として申請しておいた。」
マサル
「……ライデンは知ってるのか?」
シゲル
「全部じゃない。だが長老会の承認は下りてる。
問題ないさ。
あとはお前の頭脳を借りれば完璧だ。」
マサル
「断る。忙しい。“ハンターの資質”を覚醒した者の血を分析している。」
シゲル
「そうか、残念だな。
まあ、俺は俺で準備を進めるよ。」
(シゲルが去ろうとする)
シゲル
(振り返り、真剣な声で)
「――ああ、それと。
ライデンとファクロウは村にいない。」
マサル
(ぴたりと手を止める)
「……どういう意味だ?」
シゲル
「エゴランド国の任務だ。一週間は戻らない。
つまり――」
マサル
(表情が固まる)
「……フォーカスが一人になる、ということか。」
シゲル
「その通り。
――“借り”を返す時だ。」
マサル
(ゆっくり立ち上がり、薄く笑う)
「……いいだろう。たまには休暇も悪くない。」
シゲル
(不敵な笑みを浮かべる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
終
📮 アホロートによるちょっとした豆知識
🔥 椿イカリは非常に感情の起伏が激しい性格をしている。
しかし、厳しい教育のもとで育った影響もあり、思春期の頃には自分の感情を抑え、制御する術を身につけた。🧘♀️
ファクロウ
どこに行ったんだ……? 家は目の前にあるのに、誰の気配もしないな。
(ボロボロの服に乱れた髪、槍を手にしたノルが現れる。)
ノル・タケダ
名を名乗れ……さもなくば――覚悟しろ。
(ファクロウだと気づく。)
ノル・タケダ
(悲しげに目を伏せて)……ファクロウか。もう来ないのかと思ったよ。
俺のこと、完全に忘れたのかって……。
最後に会ってから、もう三ヶ月も経ったなんて……信じられない。
ファクロウ
おいおい、落ち着け。三ヶ月になるのは明日だっての。
ただ、この二日ほど姿が見えなくてな……“死んでないか確認してこい”って言われたわけだ。
ノル・タケダ
(胸がズキッと痛む)……そう、なんだ。
ファクロウ
まあ生きてるなら十分だ。行くぞ、時間だ。
ノル・タケダ
行くって……どこへ?
ファクロウ
中央の町だ。服を買うぞ。
明日に備えて、ちゃんとした格好をしておけ。
(2人は森の中を駆けていく。)
ノル・タケダ
ファクロウ、明日ってそんなに特別なのか?
ファクロウ
ああ。明日、お前は第1の町の最強のハンターたちの前に立つ。
初日に聞いただろう、“入ったゲート番号”。
あれがお前の所属する町を示していた。ロッテンロウには三つの町がある。
上官たちに会ったら、任務の補助や同行が始まる。
お前の仕事は簡単だ――できるだけ多くを学べ。
それと、死ぬな。少なくとも俺がいる間は。
(場面転換:木造でミニマルな雰囲気の服屋。)
ファクロウ
着いたぞ。さっさと選べ。まだ仕事が山ほどある。
ノル・タケダ
分かった。えっと……これと、あれと……その隣のも。
……ちょっとくらいスタイルを変えるか。
(結局、初日に着ていたのと同じ服を選ぶ。)
ファクロウ
……センスねぇな。まあいい。
代金は店主に渡せ。交換する分もちゃんと伝えろ。
ノル・タケダ
(インベントリを確認しながら)リンゴ、木材、ベリー……ウサギとキツネの毛皮があるな。
ファクロウ
毛皮を出せ。他は価値がない。
(場面転換:夕暮れのノルの家。)
ファクロウ
よし、今日はここまでだ。しっかり休め。
道順は覚えているな? 明日は朝7時、最初の分岐にあった古いオークの木の下で会おう。
ノル・タケダ
分かった。
ファクロウ
じゃあな。(姿が消える)
ノル・タケダ
ついに……ついにハンターたちに会えるんだ。
はあ……楽しみすぎる!
(翌朝。)
ノル・タケダ
(欠伸をしながら歩く)朝7時って……早すぎだろ。
1時間くらい遅らせてくれればよかったのに。
古いオークはすぐそこだ。急がないと。
(場面転換:オークの下。)
7:00 AM ――ノルは笑顔で胸を躍らせている。
8:00 AM ――表情に焦りが混じる。
9:00 AM ――完全に怒っている。
(茂みから物音。)
ノル・タケダ
やっと来たか……二時間も待って――
(木々の間から女の子が姿を現す。)
ノル・タケダ
あっ……その、こんにちは。別の人かと思って……(気まずそうに)
椿イカリ
(静かで落ち着いた瞳)……気にしなくていいわ。
(ノルの隣まで歩き、そっと腰を下ろす。)
ノル・タケダ
よかった……。(落ち着かない様子で、どこか困惑している)
散歩には、まあ……いい日だよね。
椿イカリ
ええ、そうね。(淡々とした口調)
ノル・タケダ
あ、ああ……そうだね。(ぎこちなく笑う)
(──三十分後)
ノル・タケダ
(苛立ちが見え始め)なあ……ここに来て、何がしたいんだ?
椿イカリ
どういう意味? ここにいてはいけない理由でもあるの?(感情の起伏はない)
ノル・タケダ
いや、嫌ってわけじゃないけどさ……三ヶ月ほとんど誰にも会わなかったのに、急に来て普通に隣に座るなんて……変だろ。
椿イカリ
そう? じゃあ、なんであの人は平気なの?(上の枝を指さす)
(枝の上で、口元をマフラーで隠した男が横になっている)
ノル・タケダ
なっ……! いつの間にそこに!?
ヒソカ
彼女が来る前から、ここにいたよ。
ノル・タケダ
そんなわけない。気づくはずだ……。
ヒソカ
ノル、お前の探知能力はまだまだだな。
やあ、ツバキ。久しぶり。(にっこり)
椿イカリ
ええ、久しぶりね、ヒソカ。
ノル・タケダ
じゃあ、二人は知り合いだったのか?
ヒソカ
(回想調で語り始める)
ああ。ひと月ほど前かな。中央の町を探して森を歩いていたら、イノシシを解体してる“何か”が見えてな。
近づいてみたら……ツバキだった。
(猟刀を持ち、弓と矢筒を背負ったツバキの姿が映る)
椿イカリ
それをもう一度言ったら、本当に刺すわよ、ヒソカ。
ノル・タケダ
なるほど……今日は会う約束でもしてたんだな。
じゃあ、そろそろ行ってくれよ。邪魔するつもりはないけど……できれば遠くで話してくれ。(ツバキを押しやりながら)
椿イカリ
ちょっと待って。追い出す理由なんてないわ。ここにいる権利はあなたと同じよ。
ノル・タケダ
それは分かってる。でも今日は案内人と会う日なんだ。第1の町のハンターたちに紹介してもらえるって約束でさ。
余計なことで集中を切らせたくないんだ。
椿イカリ
本当に楽しみにしてるのね。それで――名前は?
ノル・タケダ
ノル・タケダだ。ずっと夢だったんだよ、モンスターのハンターになるのが。
今日がその始まりなんだ。最高の日になるはずだ。世界で一番頼もしい英雄たちと会えるんだから。
椿イカリ
(少しだけ驚いたように)ノル……タケダ?
ノル・タケダ
ああ。
椿イカリ
(表情は落ち着くが、どこか苛立ちを含む)
変わった名前ね……まあ、それはいいわ。
でも一つ言っておく。そんな考え方をしているなら、ハンターになる資格はない。
外見や憧ればかり気にして、本質を見ていない。
その姿勢じゃ、責任の重さなんて理解できないままよ。
ノル・タケダ
(怒気を含めて)俺のこと、何も知らないくせに……どうしてそんな言い方ができるんだ?
椿イカリ
知らなくても十分よ。あなたの憧れと理想は目を曇らせる。
それじゃ失敗を繰り返すだけ。
三ヶ月もいて、ヒソカに気づけなかったでしょう?
未来のハンターとして言ってるの。無駄死にしてほしくないだけ。
ねえ、ヒソカ。私、間違ってないわよね?
(見るとヒソカは枝の上で眠っている。ツバキはほとんど呆れた表情)
ノル・タケダ
つまり……俺はまだ準備ができてないって言いたいわけか。
心配してくれてありがとう。でもな……たとえ明日死ぬことになっても、無駄にはしない。
(挑むように笑う)
俺は、俺の信念を貫く。
さあ……どれだけ準備できてるか、見せてやるよ。
(剣を構え、表情は完全に引き締まっている)
椿イカリ
(苛立ちを隠さず)ほんと子供みたいな態度ね。そんな挑発、私の言っていることを証明してるだけよ。
もうやめなさい。これ以上、恥を重ねる必要はないわ。
それに――ハンター同士の戦闘は禁じられているの。
ノル・タケダ
何を怖がってるんだ? 俺が負けたら、素直に辞めてやるよ。
そんなに自分が優れてるって思ってるなら、堂々と相手をすればいい。
それとも……未来のハンターって、口だけの存在なのか?(顔をぐっと近づける)
椿イカリ
(怒りで顔が真っ赤になり、チビキャラ風にぷるぷる震える)
もう我慢の限界よ!! 幼稚でウザいガキ!!
今ここで終わらせてあげる!!!
ノル・タケダ
やっと本性を見せたな。遠慮はいらない、来いよ。
椿イカリ
いいわ。――覚悟しなさい。(刀を抜く)
力づくで理解させてあげる。
(ヒソカが木の枝で片目だけ開き、戦いを覗き見る)
ヒソカ
(心の声・やや呆れ気味)
……同レベルで幼稚だな。今日殺し合わなくても、いずれやるだろあいつら。
(戦闘開始。ツバキは攻防ともに高い技術を見せ、徐々に優勢へ)
(ツバキが押し込み、ノルは防御に追われる。ツバキの一撃は重く鋭い。
ノルは守りを優先し、反撃はほとんどできていない)
ノル・タケダ
(戦いながら)
嘘だろ……なんでこんなに力があるんだ?
このままだと――俺の剣、折れる……
(刃が押し合いになり、ノルは後退させられる)
椿イカリ
悪くないわね。思ったより粘るじゃない。(余裕の笑み)
ノル・タケダ
(微笑む)
君も強いよ。この数ヶ月、相当鍛え込んだんだな。
(次の瞬間、ツバキが不意打ち気味に下から上へ強烈な斬り上げを放つ)
椿イカリ
……ガードが甘い!
ノル・タケダ
くそっ……隙を突かれた!
直接受けたら折られる……どうする……!
(足で踏ん張りながら、上から下への縦斬りで迎え撃つ)
(刃が激しく衝突。衝撃でノルの剣が手から離れ、空へ舞い上がる。
刀身は欠けてしまう)
椿イカリ
これで終わりよ。私の勝ち。――約束、守りなさい。
(だがノルは諦めず、素手で突進する)
ノル・タケダ
まだだ……! 俺は負けない!!
(ツバキは反射的に踏み込み、360度回転しながらノルの脇腹を突こうとする)
(その瞬間、二本の腕がノルとツバキの腕をがっちり掴む)
椿イカリ
(心の声)
なっ……!? 剣を落としたはずなのに、どうやって……?
(回想)
まさか……わざと剣を手放して、私を油断させるため……?
ファクロウ
(笑いながら)
まったく……数分遅れただけで殺し合い寸前か。信じられないよ。
ノル・タケダ
(驚き)
ファクロウ!?
(すぐ怒り顔)
やっと来たか! 一体どれだけ待たせるんだよ!!
椿イカリ
(心の声)
……命を懸けてまで、自分の正しさを証明しようとするなんて。
ほんと、変わってるわね――ノル。
ファクロウ
「もう文句は終わりだ。さっさと行くぞ。」
(オークの木の近くを歩きながら)
「ヒソカ、降りてこい。もう決着はついた。」
ヒソカ
(木から軽く飛び降りる)
ノル・タケダ
(不満げに)
「ちょっと待て……こいつらも一緒に来るのか?」
ファクロウ
「当たり前だろ。三人とも俺の弟子なんだからな。
正直、三回も同じルートを歩くのはだるいんだ。
ほら、行くぞ。」
(四人が歩き出す。ヒソカは無表情、ノルはやたら楽しそうで、ツバキは露骨に不機嫌。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(場面転換。小屋の中。マサルが丸い眼鏡をかけ、遠心分離機の横で血液サンプルを観察しながらノートに書き込んでいる。)
シゲル
(ドアを開けて入る)
「やっぱりここか、マサル。何日も探したぞ。」
マサル
(眉をひそめ)
「勝手に入るな、シゲル。
……で、今度は何の用だ?」
シゲル
「そんなにピリピリすんなよ。友達だろ?」
マサル
「重要な研究の最中だ。用件だけ言って帰れ。」
シゲル
「相変わらず堅いなあ。
でも今日はお前にとって“ちょっと嬉しい”話がある。
今日は何の日か分かるか?」
マサル
(月曜の朝みたいな声)
「……月曜日だろ。最悪だ。」
シゲル
「それも正解だけど、今日は“ちょうど三ヶ月”だ。
新しく入った候補生たちが試験を始めてからな。
ついに会えるんだ。
――“特別な歓迎”をしてやりたいと思わないか?」(ニヤリ)
マサル
「……何を企んでる?」
シゲル
「評議会が、第一村と第二村で“ログランク試験”の実施を認めた。
で、俺は監督役として申請しておいた。」
マサル
「……ライデンは知ってるのか?」
シゲル
「全部じゃない。だが長老会の承認は下りてる。
問題ないさ。
あとはお前の頭脳を借りれば完璧だ。」
マサル
「断る。忙しい。“ハンターの資質”を覚醒した者の血を分析している。」
シゲル
「そうか、残念だな。
まあ、俺は俺で準備を進めるよ。」
(シゲルが去ろうとする)
シゲル
(振り返り、真剣な声で)
「――ああ、それと。
ライデンとファクロウは村にいない。」
マサル
(ぴたりと手を止める)
「……どういう意味だ?」
シゲル
「エゴランド国の任務だ。一週間は戻らない。
つまり――」
マサル
(表情が固まる)
「……フォーカスが一人になる、ということか。」
シゲル
「その通り。
――“借り”を返す時だ。」
マサル
(ゆっくり立ち上がり、薄く笑う)
「……いいだろう。たまには休暇も悪くない。」
シゲル
(不敵な笑みを浮かべる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
終
📮 アホロートによるちょっとした豆知識
🔥 椿イカリは非常に感情の起伏が激しい性格をしている。
しかし、厳しい教育のもとで育った影響もあり、思春期の頃には自分の感情を抑え、制御する術を身につけた。🧘♀️
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