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第13話 最後の仕事

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「いよいよ完成しそうね……」

 突然ロハーナが地下牢に連れて行かれたことで、領民はもちろん、マイクはかなり動揺したが、当の本人は意に介さずと言った状況。
 さすがに休んでくれとマイクが頼み込んで、式自体は延期になったが、その分予定よりも豪華な式場に仕上がりつつあった。

「ロハーナ……。ダメじゃないか。ベッドで休んでないと」
「何を言っているの? 私はこの通り元気なの」
 
 確かに、ロハーナは相当元気だった。
 ベッドの中にいても仕事をこなしてしまうほどに。

 しかし、長い時間を共に過ごしているマイクは、ロハーナの表情が時折曇っていることを見逃さなかった。
 式の前に倒れられては、台無しになってしまう。
 なので、元気なうちに無理矢理休ませるという方法を取っていた。

「わかってくれロハーナ。君の心は酷く疲れているはずなんだ。この短い間に色々なことが起こりすぎた。せめて六時間は毎日眠るようにしてくれ」
「無理よ……。頑張ってみたけれど、どうしても目が覚めてしまうの。あなたとの幸せな日々を思うと、ワクワクしてしまってね」

 いきなり手を握られながら、そんなことを言われたマイクは、しかし手を握り返すことはせず、優しく撫でるだけに留めた。

「……気持ちは嬉しい。だけど、たまには僕の言うことを聞いてくれ」
「わかっているわ。あなたに嫌われたくないもの」
「嫌うだなんてそんな……」
「あなたが思っている以上に、私は繊細な人間よ。それに……。まだ一番大事な仕事が残っているわ」
「またそんなこと……」
「これが終われば、六時間眠ることも、仕事量減らすことも約束するわ。だからお願い。もう少しだけ私に働かせてちょうだい」

 いつもは強気のロハーナが、少し目を潤ませてまで懇願してきたので、マイクは首を縦に振らざるを得なかった。
 そうまでしてやり遂げなければいけない仕事とは、一体なんなのか……。

「約束してくれ。無理だけはしないと。何かあればすぐに人を頼ると……」
「……もちろん。私だってバカじゃないわ。自分の体のことは自分で一番理解してるもの。それに、自分が倒れたら、どれだけの人間に迷惑をかけてしまうか、なんてこともね」
「それがわかっているなら……。良いんだけど」

 ロハーナは、マイクの手を自分の頭の上へ引っ張った。
 
「落ち着くわ。マイク。私やっぱり、あなたのことが相当好きみたいね」
「な、どうしたんだい。突然……」
「最後の仕事だから、元気をもらおうと思っただけよ。これで十分働けるわ。ありがとうマイク」
「あっ、ロハーナ!」

 ロハーナが向かった先は――。
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