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第3話 運命の出会い
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夕食後、わがまま令嬢が、美味しい果物が食べたいなどと馬鹿なことを言い出したので、商店へと向かいました。
だったらさっきの果物ジュースを、なんで断ったんだと怒鳴りつけてやりたくなりましたが、ぐっと我慢です。
すでにほとんどの店は閉まっていましたが、なんとか果物を買うことに成功。
本当なら、腐った果物を食わせてやりたいところでしたが、我慢です。
「ん……?」
わがまま令嬢への復讐方法を考えながら歩いていると、見覚えのある美少年が、商店の店主と話しているのが見えました。
この国の王子である、カシオ・マーズスター様です。
……このチャンスを活かさない手はありません。どうやら私にも、運が回ってきたようです。
私は、カシオ様の目に留まるように、わざと果物を落とします。
ごろごろと転がった果物が、カシオ様の足に当たり、止まりました。
「あぁっ! 申し訳ございません!」
自分で言うのは良くないかもしれませんが……。容姿には、自信があります。
カシオ様が、果物を拾い上げてくださったのと同時に、私の姿を確認しました。
そして……。
「綺麗な方だ……」
果物を私に手渡しながら、そんなことを呟きました。
どうやら、好印象のようです。一安心。
「私は隣国の伯爵令嬢、マキナ・ティアベルでございます」
「えっ、伯爵令嬢……? なぜメイド服を?」
私はこれまでの経緯を全て説明しました。
わざと、泣きそうな顔をしながら……。
「酷い話だ。僕が何とかしよう」
「えっ、よろしいのですか?」
「当たり前さ。……彼女にはみんな、手を焼いてるからね。ここらで一発、痛い目に遭わせておかないと、王族としても示しがつかない」
想像をはるかに超えるスピードで、復讐の準備が整ってしまいました。
◇
「ちょっと! 離しなさいよ!」
すっかり日も暮れて、人目を気にする必要もない時間帯。
私は無理矢理、オリーブを外へ連れ出しました。
「こんなことして、タダで済むと……」
「うるさい」
「あぶっ!」
オリーブの頬を引っ叩きました。
……仕返しです。これ以上は叩きませんよ?
「なにっ、するのよぉ」
半ベソをかきながら、少しだけオリーブの威勢が弱まりました。
そのまま、外で待機していた馬車に乗せ、目指すは……王宮です。
だったらさっきの果物ジュースを、なんで断ったんだと怒鳴りつけてやりたくなりましたが、ぐっと我慢です。
すでにほとんどの店は閉まっていましたが、なんとか果物を買うことに成功。
本当なら、腐った果物を食わせてやりたいところでしたが、我慢です。
「ん……?」
わがまま令嬢への復讐方法を考えながら歩いていると、見覚えのある美少年が、商店の店主と話しているのが見えました。
この国の王子である、カシオ・マーズスター様です。
……このチャンスを活かさない手はありません。どうやら私にも、運が回ってきたようです。
私は、カシオ様の目に留まるように、わざと果物を落とします。
ごろごろと転がった果物が、カシオ様の足に当たり、止まりました。
「あぁっ! 申し訳ございません!」
自分で言うのは良くないかもしれませんが……。容姿には、自信があります。
カシオ様が、果物を拾い上げてくださったのと同時に、私の姿を確認しました。
そして……。
「綺麗な方だ……」
果物を私に手渡しながら、そんなことを呟きました。
どうやら、好印象のようです。一安心。
「私は隣国の伯爵令嬢、マキナ・ティアベルでございます」
「えっ、伯爵令嬢……? なぜメイド服を?」
私はこれまでの経緯を全て説明しました。
わざと、泣きそうな顔をしながら……。
「酷い話だ。僕が何とかしよう」
「えっ、よろしいのですか?」
「当たり前さ。……彼女にはみんな、手を焼いてるからね。ここらで一発、痛い目に遭わせておかないと、王族としても示しがつかない」
想像をはるかに超えるスピードで、復讐の準備が整ってしまいました。
◇
「ちょっと! 離しなさいよ!」
すっかり日も暮れて、人目を気にする必要もない時間帯。
私は無理矢理、オリーブを外へ連れ出しました。
「こんなことして、タダで済むと……」
「うるさい」
「あぶっ!」
オリーブの頬を引っ叩きました。
……仕返しです。これ以上は叩きませんよ?
「なにっ、するのよぉ」
半ベソをかきながら、少しだけオリーブの威勢が弱まりました。
そのまま、外で待機していた馬車に乗せ、目指すは……王宮です。
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