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認めない子爵令嬢
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「……あら。早かったのね」
意外なことに早く街に戻ってきたエメラに若干驚きつつも、バンナは堂々とした態度でエメラを睨みつけた。
これから男爵家に向かい、屋敷をめちゃくちゃにしてやろうと考えていたので、拍子抜けしている。
「どうしたのかしら。もしかしてソーマ様を返してほしいの?」
「そんなことはありません。……ソーマ様はもう、バンナ様のモノです」
「へぇ。やけに物分かりが良いじゃない。じゃあ何の用事よ」
エメラは、聖女として目覚めたことを話した。
キリスの名前は伏せて……。
しかし、キリスの名前を伏せてしまうと、突然聖女に目覚めたというおかしな出来事になってしまう。
当然、バンナは鼻で笑うだけだった。
「森で魔女に洗脳でもされた?」
受け入れられないことは予想できていた。
エメラは聖女の力を少しだけ示すことにする。
「あそこに、枯れてしまった花がありますね」
エメラはすぐ近くにあった花壇を指差した。
「それがどうしたっていうのよ」
「私でしたら……。三秒あれば、元の綺麗な花に戻すことができます」
「へぇ面白い。やってみせてよ」
バンナは鼻で笑った。
エメラは花壇に向かって手を伸ばし……。
力を放った。
すると、本当に三秒で花が元通りに復活したのだ。
さすがのバンナも驚き、目を見開いている。
「お分かりいただけましたか?」
「……ふんっ。私だって調子が良ければ、そのくらいできるわよ」
魔法で同じことをしようと思うと、相当の技術が必要になる。
バンナにそんな能力はなかった。
とはいえ、エメラが突然そのような力を扱えるようになった事実を、受け入れることができない。
見栄を張るように、抵抗を始めた。
「ちょうど良かったわ。今からね? あなたの家をぶっ壊しに行くつもりだったの」
「……本当ですか?」
「えぇ。まさかあなたが迎えに来てくれるなんて……。優しいのね」
「聖女の力を見ても、その作戦は実行する予定で?」
「もちろんよ。それが聖女の力である証拠は無いもの。家をめちゃくちゃにされたくなかったら私に土下座しなさい」
「……私が、ですか?」
「そうよ?」
「私がここを訪れた理由は……。子爵家が二度と悪事を働かないということを約束していただくためなのです。土下座をしにきたわけではありません」
バンナがエメラの頬を、突然引っ叩いた。
「うるさいわね! 良いから土下座しなさい」
頬の衝撃で、エメラの怒りに火がついてしまった。
聖女の力を制御できる自信が無いが……。
ここで制裁を加えることを誓った。
意外なことに早く街に戻ってきたエメラに若干驚きつつも、バンナは堂々とした態度でエメラを睨みつけた。
これから男爵家に向かい、屋敷をめちゃくちゃにしてやろうと考えていたので、拍子抜けしている。
「どうしたのかしら。もしかしてソーマ様を返してほしいの?」
「そんなことはありません。……ソーマ様はもう、バンナ様のモノです」
「へぇ。やけに物分かりが良いじゃない。じゃあ何の用事よ」
エメラは、聖女として目覚めたことを話した。
キリスの名前は伏せて……。
しかし、キリスの名前を伏せてしまうと、突然聖女に目覚めたというおかしな出来事になってしまう。
当然、バンナは鼻で笑うだけだった。
「森で魔女に洗脳でもされた?」
受け入れられないことは予想できていた。
エメラは聖女の力を少しだけ示すことにする。
「あそこに、枯れてしまった花がありますね」
エメラはすぐ近くにあった花壇を指差した。
「それがどうしたっていうのよ」
「私でしたら……。三秒あれば、元の綺麗な花に戻すことができます」
「へぇ面白い。やってみせてよ」
バンナは鼻で笑った。
エメラは花壇に向かって手を伸ばし……。
力を放った。
すると、本当に三秒で花が元通りに復活したのだ。
さすがのバンナも驚き、目を見開いている。
「お分かりいただけましたか?」
「……ふんっ。私だって調子が良ければ、そのくらいできるわよ」
魔法で同じことをしようと思うと、相当の技術が必要になる。
バンナにそんな能力はなかった。
とはいえ、エメラが突然そのような力を扱えるようになった事実を、受け入れることができない。
見栄を張るように、抵抗を始めた。
「ちょうど良かったわ。今からね? あなたの家をぶっ壊しに行くつもりだったの」
「……本当ですか?」
「えぇ。まさかあなたが迎えに来てくれるなんて……。優しいのね」
「聖女の力を見ても、その作戦は実行する予定で?」
「もちろんよ。それが聖女の力である証拠は無いもの。家をめちゃくちゃにされたくなかったら私に土下座しなさい」
「……私が、ですか?」
「そうよ?」
「私がここを訪れた理由は……。子爵家が二度と悪事を働かないということを約束していただくためなのです。土下座をしにきたわけではありません」
バンナがエメラの頬を、突然引っ叩いた。
「うるさいわね! 良いから土下座しなさい」
頬の衝撃で、エメラの怒りに火がついてしまった。
聖女の力を制御できる自信が無いが……。
ここで制裁を加えることを誓った。
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