8 / 12
優しい魔王の息子
しおりを挟む
「んふふ~」
ヴィルディ様と、向かい合っています。長い眉毛が自然にカールしていて、美しい……。尻尾もまだ小さく、まるで小動物のような可愛らしさを感じざるを得ません。
「……レンフィア様。鼻息が荒いですよ」
「え、ええぇ。そうね。ごめんなさい」
「……べリーヌ。この方が?」
「そうです。レンフィア様です」
ヴィルディ様が、私の目を真っすぐに見つめてきます。顔が真っ赤になりました。だけど幸せです。こんなに近い距離で、最愛の人に……。
「なんだか……。オークのような人です」
「お、オーク!?」
「あうぅ」
「す、すいません。私ったら、また大声を……」
鼻息を荒くし、目を見開き、大きな声を出す……。確かにオークですね。反省しなければ。
背筋を正し、私はヴィルディ様に微笑みかけました。これでも……。容姿には自信があるのです。ヴィルディ様の隣に並んでも、きっと恥ずかしくない。そう胸を張って言うことができます。
「その。どうして魔王の息子である僕に、人間であるあなたが……?」
「どうして……。ですか。まさに一目惚れというか……。あぁでも、今こうしてお話をしていて、その声色だとか、仕草だとか。やはりどこをどう取っても……素晴らしいなと」
この人の妻になりたい。共に日々を過ごしたい。そんな気持ちが溢れてしまいます。
「本来、魔族と人間が恋に落ちることは、稀なのですが……。おそらくレンフィア様は、黒魔法に長けておられるので、こうして心が惹かれてしまったのでしょうね」
「なるほど……」
「……実は」
ヴィルディ様が、緊張した様子で口を開きました。
「さっきから……。レンフィア様を見ていると、心がザワザワするのです」
「……本当ですか?」
「はい。あの、べリーヌ。これは」
「落ち着いてくださいヴィルディ様。おそらく、ヴィルディ様も高い魔力を有しておられるので、心が勝手に共鳴を起こそうとしているのです。理屈でお考えになってください」
「理屈……」
「べリーヌ。恋愛は理屈じゃないわ」
べリーヌがため息をつきました。どうやら呆れているようですが、本当にそうなのだから仕方ありません。
「ヴィルディ様は、人間である私を妻にすることに対し、抵抗はありますか?」
「……はい」
はっきり言われてしまった。
「ですが、それは……。波を起こしたくないからです。人間と魔族は、お互いに不干渉という立場です。もし僕たちが結婚してしまったら……。何かは起きてしまうような気が」
「何も起きません。私は悪役令嬢の紋章を刻まれています。もはや国にとって、私は人間ではないのです」
「そんな。悪役令嬢に?」
「はい……」
私は紋章をヴィルディ様に見せました。息を飲むようにして、それをじっくり眺めています。
「……これほどのことをされてまで、僕と結婚したいと」
「そういうことです。魔王やべリーヌの前では、少々ふざけすぎていましたが……。この気持ちは本物です。後ろに何も残しておりません。退路は塞がれているのです」
「レンフィア様。それではまるで、脅迫です。ヴィルディ様は心がお優しい故、そのような言い方をされると……」
「それならば、どうすれば良いのですか」
「べリーヌはおられるか!」
いきなりドアが開き、魔族の兵が現れた。スケルトンだ。
「どうされました?」
「門の前に、ジナルドと名乗る王子が来ておる。そこの人間……。貴様を出せと申しておるが?」
「そんな。ジナルド様が?」
どうしてここが……。
「ヴィルディ様。少しお待ちください」
私はスケルトンの後に続いて、門へ向かった。
ヴィルディ様と、向かい合っています。長い眉毛が自然にカールしていて、美しい……。尻尾もまだ小さく、まるで小動物のような可愛らしさを感じざるを得ません。
「……レンフィア様。鼻息が荒いですよ」
「え、ええぇ。そうね。ごめんなさい」
「……べリーヌ。この方が?」
「そうです。レンフィア様です」
ヴィルディ様が、私の目を真っすぐに見つめてきます。顔が真っ赤になりました。だけど幸せです。こんなに近い距離で、最愛の人に……。
「なんだか……。オークのような人です」
「お、オーク!?」
「あうぅ」
「す、すいません。私ったら、また大声を……」
鼻息を荒くし、目を見開き、大きな声を出す……。確かにオークですね。反省しなければ。
背筋を正し、私はヴィルディ様に微笑みかけました。これでも……。容姿には自信があるのです。ヴィルディ様の隣に並んでも、きっと恥ずかしくない。そう胸を張って言うことができます。
「その。どうして魔王の息子である僕に、人間であるあなたが……?」
「どうして……。ですか。まさに一目惚れというか……。あぁでも、今こうしてお話をしていて、その声色だとか、仕草だとか。やはりどこをどう取っても……素晴らしいなと」
この人の妻になりたい。共に日々を過ごしたい。そんな気持ちが溢れてしまいます。
「本来、魔族と人間が恋に落ちることは、稀なのですが……。おそらくレンフィア様は、黒魔法に長けておられるので、こうして心が惹かれてしまったのでしょうね」
「なるほど……」
「……実は」
ヴィルディ様が、緊張した様子で口を開きました。
「さっきから……。レンフィア様を見ていると、心がザワザワするのです」
「……本当ですか?」
「はい。あの、べリーヌ。これは」
「落ち着いてくださいヴィルディ様。おそらく、ヴィルディ様も高い魔力を有しておられるので、心が勝手に共鳴を起こそうとしているのです。理屈でお考えになってください」
「理屈……」
「べリーヌ。恋愛は理屈じゃないわ」
べリーヌがため息をつきました。どうやら呆れているようですが、本当にそうなのだから仕方ありません。
「ヴィルディ様は、人間である私を妻にすることに対し、抵抗はありますか?」
「……はい」
はっきり言われてしまった。
「ですが、それは……。波を起こしたくないからです。人間と魔族は、お互いに不干渉という立場です。もし僕たちが結婚してしまったら……。何かは起きてしまうような気が」
「何も起きません。私は悪役令嬢の紋章を刻まれています。もはや国にとって、私は人間ではないのです」
「そんな。悪役令嬢に?」
「はい……」
私は紋章をヴィルディ様に見せました。息を飲むようにして、それをじっくり眺めています。
「……これほどのことをされてまで、僕と結婚したいと」
「そういうことです。魔王やべリーヌの前では、少々ふざけすぎていましたが……。この気持ちは本物です。後ろに何も残しておりません。退路は塞がれているのです」
「レンフィア様。それではまるで、脅迫です。ヴィルディ様は心がお優しい故、そのような言い方をされると……」
「それならば、どうすれば良いのですか」
「べリーヌはおられるか!」
いきなりドアが開き、魔族の兵が現れた。スケルトンだ。
「どうされました?」
「門の前に、ジナルドと名乗る王子が来ておる。そこの人間……。貴様を出せと申しておるが?」
「そんな。ジナルド様が?」
どうしてここが……。
「ヴィルディ様。少しお待ちください」
私はスケルトンの後に続いて、門へ向かった。
10
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
お前が悪役令嬢だと王子が叫ぶ
咲楽えび@改名しました(旧 佐倉えび)
恋愛
ガリブルラ王立学園の卒業式。
男爵令嬢のリアは突然、第二王子のオーブリーに断罪されてしまう。
「貴様への嫌がらせなど存在しない。全ては自作自演。自ら本を破り、池に落ち、階段を転がった。さながら喜劇役者のよう。残飯をかぶる様は見事であったが、それも今日まで」
リアを助けてくれた優しいオーブリーの姿はそこにはなく、身に覚えのない罪をリアに着せていく。
理解できないまま国外追放を言い渡され、倒れそうになっていたリアに手を差し伸べたのは――?
*小説家になろう様にも掲載します。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
もちもちほっぺ
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
悪役令息の婚約者になりまして
どくりんご
恋愛
婚約者に出逢って一秒。
前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。
その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。
彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。
この思い、どうすれば良いの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる