偽物聖女を愛した国は滅びて当然です。

冬吹せいら

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エピローグ

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「聖女様聖女様!見てください!私も花を咲かせることができました!」
「あらすごい!よくできましたね~」
「えへへ……」

今日も学園の子供たちに、魔法を教えている。これが本当に楽しい。子供たちは毎日のように成長するし、いつだって楽しそうだ。

「すごいですねサンダルシア様。その子は確か、先月入学したばかりのはず……。君、名前はなんて言うんだい?」
「わ、私は、ウィーロです!」
「ウィーロか。これからも良く学び、よく笑うこと。いいね?」
「は、はい……。あぅ」

リーマスに頭を撫でられた子供が、顔を真っ赤にして、俯いてしまった。リーマスは、リルと一緒に、この学校で、剣の授業を担当してもらっている。

あっ、噂をすれば……。リルがやってきた。子供をおんぶしている。

「サンダルシア様。今日も素敵な一日ですね」
「そうですね。本当に……」
「あ~ズルい!私もリル様におんぶしてもらいたい!」
「私も~!リル様、すっごく良い匂いがするの~!」
「そ、そうかな。あはは……」
「……」

……リルは、女の子に良く慕われている。

別に、嫉妬なんてするわけもない。私は子供ではないし、聖女なのだから。そんなみっともないこと……。

……気が付くと、リルの服の裾を、掴んでしまっていた。

「サンダルシア様?どうかしましたか?」
「……別に」
「……?」
「……はぁ。リル。君はとても鈍感なようだな」
「え?どういう意味だ?リーマス」
「ふ~んだ。知りません」
「え?ちょっとサンダルシア様?どうして?」
「あ~!リル様が聖女様を怒らせた!」
「な、え~……」
「……冗談ですよ」

私が笑うと、子供たちも笑顔になった。リルだけは、ちょっと困った顔をしているけど……。この光景こそが、平和の証だった。

「では、食事をしたら、剣の授業を始めよう。みんな、食堂に向かってくれ」
「やった~!ご飯だぁ~!!!」
「今日はなにかなぁ!楽しみだなぁ!」

元気良く駆けていく子供たち。日々その背中が大きくなっているような気がした。

「……じゃあ、私は先に行くから。サンダルシア様と、ゆっくり二人で来るように。いいな?リル」
「え。あ……」

リーマスが、私にウィンクをした後、子供たちを追いかけて、食堂へ向かった。

「……その、さっきはなんだか、怒らせてしまったみたいで。すいません」
「そうですよ?私、すっごく怒ってるんです」
「ど、どうしてですか?僕にはさっぱり……」
「怒っている私を、すぐに元気にする魔法があります」
「えっ、それはどんな」
「……キス、です」
「……」

リルも、私も、顔が真っ赤になった。我ながら、なんとも恥ずかしいセリフだったと思う。
でも、子供たちにチヤホヤされているリルを見ると、我慢ができなくなった。そもそもリルは、私が言わない限り、キスをしてくれないのだ。誠実なのは素晴らしいけど、もう少し……。男になってくれてもいいと、思っている。

「リル、早く」

私は目を閉じた。そして、リルの腰のあたりに手を当てた。

少しして、リルも同じように、私の腰に手を当ててきた。

「……サンダルシア様。失礼します」

……わざわざ、言わなくてもいいのに。丁寧にそう言ったあと、リルは唇を重ね合わせてきた。

何分でも、何時間でもこうしていたい。そう思ったけれど、シャイなリルは、すぐに唇を離してしまった。……今はこれで我慢しよう。学校が終わったら、たくさんすればいい。

「……ひゅ~」
「「っ!?」」

突然聞こえた声に、私とリルは飛び上がって驚いた。食堂に向かったはずの子供たちが、リーマスと一緒に、すぐ近くの岩に隠れて、私たちをずっと見ていたのだ!

「リーマス!悪趣味ですよ!」
「はっはっは。いいじゃないですか。子供たちに、愛とは何かを教えていたのですよ」
「……」

私とリルは、顔を見合わせたあと、お互いに笑い合った。

こんな幸せな日々が、毎日続いていく。

聖女になることができて、よかった……。
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感想 4

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みんなの感想(4件)

T_Matsusaka
2025.08.03 T_Matsusaka

やはり風呂に入る頻度の違いが大きかったと思います。体臭きついのではとても聖女とはいえませんしね!

解除
しゃんだー
2020.08.25 しゃんだー
ネタバレ含む
2020.08.25 冬吹せいら

ご感想ありがとうございます!

解除
すずまる
2020.08.25 すずまる
ネタバレ含む
2020.08.25 冬吹せいら

ご感想ありがとうございます!

解除

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