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クロス村編
やったか!?!?(やってない)
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「あれか……」
山を登って数十分。なんとかやっとこさ触手モンスターのところまで戻ってきた。イルナはレイピアを構えて坂の上に見えるウネウネとしたツタの群生に向かっていく。
ツタの群生の方からは甲高い四人の喘ぎ声が絶え間なく響いていて、身ぐるみを剥がされた四人の姿もツタの間から辛うじて確認することができた。
「くるぞ!」
「分かっている」
植物系淫魔がイルナに気が付いたらしく、一本の太いツタが目にも止まらぬ早さで襲いかかってくる。俺が殺された時と同じっ……!!
「フゥ……ぃぃいいやぁぁああ!!!!」
……イルナの声が聞こえた次の瞬間、ずちゃっと不快な音を立てながら細切れになったツタが地面に散らばった。俺がまばたきしている、そのコンマ何秒だ。
「すげぇ……」
さすがクロス村ナンバーワンの異名は伊達じゃない。
「はぁぁああああ!!!」
そのまま勢いを殺さず、とてつもないスピードでツタが絡み合う中に突っ込んでいく。レイピアの切っ先が自由自在に動き回り、ツタをバッサバッサと切り落としていく。
「そこか」
イルナは不意に横を向いて踵を返すと、近くにあった木の幹にレイピアを突き立てた。硬そうな焦げ茶色の幹が最も簡単に輪切りになる。
「キリギヤァァァッッッ」
突然首を絞められた鶴の鳴き声のような金切り音が聞こえたかと思うと、切られた幹とその周辺のツタが一気に真っ青になり、そのままシナシナとしぼんで煙になって消えてしまった。
「そうか、ツタの本体部分が森の木に擬態してるわけだな……」
それをイルナはツタの動きからして感じ取ったと……。流石と言わざるを得ない。というかレイピアであんなに太いものって切れるんだ。
「せいやぁぁぁああああああ!!!」
イルナは猪突猛進、四人が捕まっている方に向かってなおもツタをかき分け進んだ。目にも留まらぬ速さでいくつもの本体を切り倒し、順番に消滅させていく。
そして遂にアナをもてあそんでいた触手が消滅してアナは地上へと落っこちた。
「アナ!!」
駆け寄るが、よほどのことをされたのだろうか、顔が原型を留めないほど乱れていて、やっと離れたにも関わらず未だにビクビクと痙攣して何かを口走っている。
ジータ、クララも同様で、ソフィだけは落とされた瞬間に既に寝息を立てていた。つくづくとんでもないやつだ。
「これで最後っ……」
怒涛の勢いで進んだツタの駆除もいよいよ大詰め。最後の一匹の幹を切り倒し、一面すっかり綺麗になった。
「……やったか?」
そう口に出して「あっ」と思った。この台詞は駄目だ! 絶対に駄目だ!
「……? なんだ……」
地面が轟音を立てて揺れ、四人が倒れ込むその真ん中ほどの地面がバリバリと十字に裂けた。あーあ、言わんこっちゃない……。
「ぐりゃぁぁぁああああ」
顔のようなものがついた巨大な花が三個、さっきのツタよりも余裕で大きいツタ……というよりもはやタコとかの足に近いものとともに這い出てきた。当然のように倒れていた四人は再びツタに絡め取られる。
そりゃボス戦ってだいたい第二形態か第三形態まであるけども。そこまでRPG準拠なんですか。
「……問題ない。ただ斬ればいいだけのこと」
イルナは全く怯む様子もなく、そのいかにもな化け物に突っ込んでいく。最初と同じように殴りつけてくる一本の足をレイピアで斬りつけた。
「……っ!?」
一瞬イルナの動きが止まる。触手については確かに切り落とせている。俺から見ると何も問題なかったように見えたが……。
「ギィぃいいいいッッッ」
複数の足が同時に襲いかかると、どうしてイルナが困惑していたか、素人の俺でも理解した。斬れはしているが「引っかかる」のだ。
さっきは指揮者が指揮棒を振るごとく、流れるように切り刻んでいた。だが触手が固いのか途中で切っ先の速度が落ちてリズムが狂っているのだ。
「ぐっ……!!」
まだ三本四本ならなんとかなっていた。しかし触手は何十本もある。このまま加勢され続けたら……。
「イルナ! このままだとまずい!!」
俺が必死に呼びかけているが、イルナは引かなかった。そもそもイルナだってそれを察したから一瞬固まったんだろう。それなのになんで引かないんだ……!
そうしている時だった。前の五本をまとめて相手している時、背後の地面から一本だけ飛び出してきた。
「後ろ!!!」
「ぐあっっ……!」
俺の声掛けも間に合わず、イルナはモロに触手の攻撃を食らって近くの樹に叩きつけられる。やはりこいつの攻撃力は尋常じゃないらしく、一撃でイルナの上半身の鎧が溶け、黒いインナーだけになってしまった。
「イルナ!!」
俺が駆け寄るが、イルナはまだレイピアを淫魔に向けて今にも突っ込もうとしている。俺は咄嗟にイルナの左腕を掴んで逃げようと引っ張った。
「何をする……私はっ、私は勝たなければっ……」
イルナは逃げようとする俺に抵抗しようとしている……ようにも見えるが、本気で振り払おうという様子は見えない。
「何言ってんだ!! このままあんたまで捕まる方が余計に勝ち目がなくなるだろ!! 一旦戻ろう!!」
俺が(応援を頼んだ側なのに)説得すると、イルナは苦虫を噛み潰したような顔をしてわずかな抵抗をやめ、俺と一緒に逃げ出すことを選んだ。
つまるところ、村一番の剣士が淫魔に敗れたのである。
山を登って数十分。なんとかやっとこさ触手モンスターのところまで戻ってきた。イルナはレイピアを構えて坂の上に見えるウネウネとしたツタの群生に向かっていく。
ツタの群生の方からは甲高い四人の喘ぎ声が絶え間なく響いていて、身ぐるみを剥がされた四人の姿もツタの間から辛うじて確認することができた。
「くるぞ!」
「分かっている」
植物系淫魔がイルナに気が付いたらしく、一本の太いツタが目にも止まらぬ早さで襲いかかってくる。俺が殺された時と同じっ……!!
「フゥ……ぃぃいいやぁぁああ!!!!」
……イルナの声が聞こえた次の瞬間、ずちゃっと不快な音を立てながら細切れになったツタが地面に散らばった。俺がまばたきしている、そのコンマ何秒だ。
「すげぇ……」
さすがクロス村ナンバーワンの異名は伊達じゃない。
「はぁぁああああ!!!」
そのまま勢いを殺さず、とてつもないスピードでツタが絡み合う中に突っ込んでいく。レイピアの切っ先が自由自在に動き回り、ツタをバッサバッサと切り落としていく。
「そこか」
イルナは不意に横を向いて踵を返すと、近くにあった木の幹にレイピアを突き立てた。硬そうな焦げ茶色の幹が最も簡単に輪切りになる。
「キリギヤァァァッッッ」
突然首を絞められた鶴の鳴き声のような金切り音が聞こえたかと思うと、切られた幹とその周辺のツタが一気に真っ青になり、そのままシナシナとしぼんで煙になって消えてしまった。
「そうか、ツタの本体部分が森の木に擬態してるわけだな……」
それをイルナはツタの動きからして感じ取ったと……。流石と言わざるを得ない。というかレイピアであんなに太いものって切れるんだ。
「せいやぁぁぁああああああ!!!」
イルナは猪突猛進、四人が捕まっている方に向かってなおもツタをかき分け進んだ。目にも留まらぬ速さでいくつもの本体を切り倒し、順番に消滅させていく。
そして遂にアナをもてあそんでいた触手が消滅してアナは地上へと落っこちた。
「アナ!!」
駆け寄るが、よほどのことをされたのだろうか、顔が原型を留めないほど乱れていて、やっと離れたにも関わらず未だにビクビクと痙攣して何かを口走っている。
ジータ、クララも同様で、ソフィだけは落とされた瞬間に既に寝息を立てていた。つくづくとんでもないやつだ。
「これで最後っ……」
怒涛の勢いで進んだツタの駆除もいよいよ大詰め。最後の一匹の幹を切り倒し、一面すっかり綺麗になった。
「……やったか?」
そう口に出して「あっ」と思った。この台詞は駄目だ! 絶対に駄目だ!
「……? なんだ……」
地面が轟音を立てて揺れ、四人が倒れ込むその真ん中ほどの地面がバリバリと十字に裂けた。あーあ、言わんこっちゃない……。
「ぐりゃぁぁぁああああ」
顔のようなものがついた巨大な花が三個、さっきのツタよりも余裕で大きいツタ……というよりもはやタコとかの足に近いものとともに這い出てきた。当然のように倒れていた四人は再びツタに絡め取られる。
そりゃボス戦ってだいたい第二形態か第三形態まであるけども。そこまでRPG準拠なんですか。
「……問題ない。ただ斬ればいいだけのこと」
イルナは全く怯む様子もなく、そのいかにもな化け物に突っ込んでいく。最初と同じように殴りつけてくる一本の足をレイピアで斬りつけた。
「……っ!?」
一瞬イルナの動きが止まる。触手については確かに切り落とせている。俺から見ると何も問題なかったように見えたが……。
「ギィぃいいいいッッッ」
複数の足が同時に襲いかかると、どうしてイルナが困惑していたか、素人の俺でも理解した。斬れはしているが「引っかかる」のだ。
さっきは指揮者が指揮棒を振るごとく、流れるように切り刻んでいた。だが触手が固いのか途中で切っ先の速度が落ちてリズムが狂っているのだ。
「ぐっ……!!」
まだ三本四本ならなんとかなっていた。しかし触手は何十本もある。このまま加勢され続けたら……。
「イルナ! このままだとまずい!!」
俺が必死に呼びかけているが、イルナは引かなかった。そもそもイルナだってそれを察したから一瞬固まったんだろう。それなのになんで引かないんだ……!
そうしている時だった。前の五本をまとめて相手している時、背後の地面から一本だけ飛び出してきた。
「後ろ!!!」
「ぐあっっ……!」
俺の声掛けも間に合わず、イルナはモロに触手の攻撃を食らって近くの樹に叩きつけられる。やはりこいつの攻撃力は尋常じゃないらしく、一撃でイルナの上半身の鎧が溶け、黒いインナーだけになってしまった。
「イルナ!!」
俺が駆け寄るが、イルナはまだレイピアを淫魔に向けて今にも突っ込もうとしている。俺は咄嗟にイルナの左腕を掴んで逃げようと引っ張った。
「何をする……私はっ、私は勝たなければっ……」
イルナは逃げようとする俺に抵抗しようとしている……ようにも見えるが、本気で振り払おうという様子は見えない。
「何言ってんだ!! このままあんたまで捕まる方が余計に勝ち目がなくなるだろ!! 一旦戻ろう!!」
俺が(応援を頼んだ側なのに)説得すると、イルナは苦虫を噛み潰したような顔をしてわずかな抵抗をやめ、俺と一緒に逃げ出すことを選んだ。
つまるところ、村一番の剣士が淫魔に敗れたのである。
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