オーシャンエッジプロジェクト プロミネンス 

sin art

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17話 我が家

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 エドガーとマリア一行は海岸線を走り、途中の商店街エリアを抜けマリアの家にようやくたどり着いたばかりだった。



「みんな、お疲れ様。ついたわよ」
 
 
マリアの家は大きな平屋で広い庭、片隅には家庭菜園の畑があるオーシャンエッジの典型的な家構えであった。家に着いたユーキは早速車を飛び出し庭を走り回った。


「わー、広い、広い。いくらでも走れる~」

 ユーキは車を降りてぐるりと庭を一周してマリアの元へと戻ってきた。

「マリア、鬼ごっこしようよ!」

 ユーキは屈託のない笑顔をマリアにむける。

「ええ、いいわよ。でも、その前に少し家の中に入ってあなた達の部屋割りをしたいのだけどいいかな?これからあなた達はここで生活するからいつでも鬼ごっこできるわよ」

「はーい」

 

ユーキは少し残念な顔をしながらも初めてのマリアの家に興味津々の様子だった。

「それにしてもここに来るのは久しぶりだな~。アルテミスにお茶を誘われた以来かな?」

「そうかもしれませんね。あの時は母もよく家へ帰ってましたから。私も船上が多かったので帰ってくるのは2か月ぶりです。まず片づけをしないとほこりが溜まってそうですね」

 マリアは一年前に突如として行方不明になったアルテミスを思い出さないように話題を変えた。マリアにとってはアルテミスが消えてしまったのは自分のせいだと思っていたのだ。エドガーもそれを察してアルテミスを思い出させるような話題はさけるようにした。
 
 

 エドガーと話しながら家の玄関を開けると、中はきれいに片付けられており、二か月放置していたとは思えないほどであった。唯一、テーブルの生け花が枯れてテーブルに散っていたのが2ヶ月の放置期間を忍ばせていた。マリアは全室の窓を開放し空気を室内に循環させる。涼やかな風が部屋の中を通り抜け、まるで家が息を吹き返したかのようであった。
 
 テーブルには椅子が二つ。マリアは奥にしまってあるお客様用の椅子を引っ張り出し、テーブルのほこりをテキパキと掃除する。


「さあ、みなさん、座ってください。お茶は暖かいのと冷たいのどちらがいいですか?」


 エドガー以外は冷たいお茶を希望。マリアは奥の冷蔵庫に向かうとセリアが立ち上がりマリアを手伝う。


「あら、セリアありがとう。それじゃあ冷蔵庫に冷たいお茶が入っているからグラスに入れてくれる?」
 
 後ろからぱたぱたとユーキも走ってくる。

「マリアお姉ちゃん、私も何か手伝う」
「ユーキ、ありがとう。それじゃあこのお茶菓子をもっていってくれる」
「うん!」

 
 マリアはここへ向かう途中で立ち寄ったお店で買ったお茶菓子を器に移しユーキに渡す。


「お願いね」
「了解しました!そーっと、そーっと」

 ユーキはいつもマリアがエドガーに向かってする敬礼を真似してお茶菓子をテーブルに持って行き、セリアはみんなの前にお茶を配り、ユーキはテーブルの中央にお茶菓子を置いた。



「おっ、えらいぞ。セリア。ユウキ」
「あ、ありがとう」
「さあ、それでは。皆さんようこそ我が家へ。海輝君とセリア、ユーキはしばらくはここでの生活になります。それ
 で部屋割りなのだけど、奥の大きな部屋をセリアとユーキの部屋にして、その手前の二部屋を私と海輝君の部屋にします。キッチンのすぐ横がバスルーム。トイレはバスルームの向かいの扉よ」

「エドガーさんの部屋はどこになるんですか?」


「ああ、俺か。俺はここの家には住まない。実はパープルサークルに妻と子供がいてね。ここへは週何回か顔を出す程度になる。だからといってマリアに甘えちゃいかんぞ?マリアは怒ったら怖いからな、うっしっし」


「…エドガー艦長、余計なことは言わないでください。私は優しいマリアで通っているんですから」
 
 

 マリアは少しふくれっ面をしてエドガーに抗議する。


 

 いやいやいや。


 中華料理屋のマリアの形相を見ている三人はとてもじゃないがマリアに逆らう気など起きるはずもなかった。
 
 



 部屋割りが済むとエドガーは自分も一旦パープルサークルに戻るといいマリアの家を後にした。



 海輝、セリア、ユーキの三人は各々の部屋へと入りマリアの説明を受ける。


「それでは部屋割りと、簡単な説明は以上。ここでのルールは挨拶はきちんとする事、です。お互い喧嘩した時も、おはようとおやすみはきちんと言ってくださいね。言わない人はご飯抜きにしますので」

 
 そういうとマリアはにっこりと笑った。


 三人はごくりと生唾を飲み込み、「はい!」と返事をした。
 


 マリア達は日用雑貨と夕ご飯の食材を買いに近くの商店街まで歩いた。商店街は住宅街のインサイドとワーキングエリアのアウトサイドの間に作られ、人であふれかえり賑やかな雰囲気であった。

「船には子供用の服が無かったからここで買っていきましょう。ここらへんの服のデザインは全体的に少し南国風なテイストですがお気に入りの服を探してください。欲しいものが探し終わったら今いる時計台に集合です」
  
 
 
マリアはセリアに決済用のカードを渡し、自分は食材を買いに市場へと出かけた。ユーキはマリアについて行き、市場へ歩きながら素朴な疑問をマリアにぶつける。


「ここにある食べ物は一体どこから持ってくるの?周り全部海でしょ?」

「ユーキ、いい質問ね。ここの食材は半分は外からの定期便で運んできてもらってるの。残りの半分はオーシャンエッジのブルーサークルで育てた食材ね。それとお魚は近海の海でとれた新鮮なお魚で私は一番好きなんだ」

「へぇー。そうなんだ。ブルーサークルにはたくさんお野菜があるのね。お魚、美味しそう!」

「今日はお魚の煮つけにしましょうか。ユーキ、食べたいお魚何かある?」
 


 マリアとユーキは今晩の献立を考えながら食材を選んで回った。一方、海輝とセリアの方は今後着る服を探しに通りから離れた雑貨エリアに来ていた。

 




「なんか、本当に全部アジアンテイストね」

 
セリアは不満げな表情を浮かべる。



「しょ、しょうがないよ、このエリア3は東アジアを担当しているエリアだって言ってたし」

「ふーん。あ、あそこはどうかな?ちょっと違う服が売ってそう」



 海輝とセリアは周りの店とは少し雰囲気の違う店を見つけ中へと入っていった。店の中はアジアンテイストではあるがどことなく中東あたりの雰囲気が漂っていた。



「いらっしゃいませ…」

薄暗い店内の中に入ると顔の下半分をマスクで隠し、ベリーダンスで着るサリーを身にまとう女の店員が海輝たちに近づいてきた。



「どんなものをお探しですか…?」

 店員はどことなく静かなしゃべり方で海輝たちに接客してくる。


「子供用の服を探しています。動きやすそうな服でお姉さんが着てるような服がいいんですがありますか?」



「少々お待ちください…」

 
怪しげな雰囲気の店員はしばらくすると奥から子供用のサリーを持ってきた。

「これなどどうでしょうか?」

「うん、素敵。これにするわ。お代はこのカードでできますか?」


「はい…。大丈夫でございます。あと、初回のお客様に限りタロット占いを無料で提供してますがどういたいしますか?」


「タロット、占い?」



「はい。カードの出かたでお客様の未来を占うのです」

「未来を?面白そう。やるわ」

「セ、セリア。大丈夫?」


 海輝は怪しげな雰囲気の店員に不信の目を向ける。


「うーん、無料だし、面白そうじゃない?」

 セリアの屈託のない笑顔を見て海輝はそれ以上は何も言えなかった。



 
 
 
 
 
 
 

 
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