勇者に祝福したら職業(ジョブ)が入れ替わった！？

第3話

「駄目だ......見つからない.....」

ノアは書庫の中で本を読み耽っていた。
勇者に関する書物を散々読んだが、勇者と
僧侶の職業(ジョブ)が入れ替わることなど
前例が無かった。

「何か特別な理由があるのか....？」

ノアは苦悩に苛まれながら、ふと自分で作り上げた本の山を眺めた。

「.........ハァ........オリヴィアに怒られる前に片付けるか。」

オリヴィアも牛乳屋のテディと一緒にこの事態について調べるためノアの師匠、魔術士アルーの元に出掛けていた。

「勇者...........か。」

勇者の遺品の中には思わず感嘆の声を上げそうになる程の貴重な品々があった。大天使ミカエルが付けていたとされる指輪、古代王家の紋章入りの盾、そして最強の剣と謳われるエクスカリバー。最も、エクスカリバーは勇者以外が持つだけで法律違反となり、張り付けの刑にされてしまうのだが。

「勇者は一体何に驚いたんだ......？」

それ程までの貴重な品々があったのならば、
職業《ジョブ》が入れ替わったからといって
自殺しなくとも裕福に暮らせただろう。

「勇者のプライドが許さなかったのか、それとも....」

ノアが憶測を並べていた時だった。玄関が大きな音を立てて開いたと思うと、肩に怪我をしたテディが大急ぎで入ってきたのだ。

「ノアさん......！大変です....！！」

テディは疼く傷を必死に堪えながら叫ぶ。

「テディ！どうしたんだ！？」

ノアはテディの怪我を見てゾッとした。その怪我が刃物以外の何物でもないことが見て取れたからだ。

「待ってろ！すぐに治療する！」

ノアが煎じ薬の箱を取りに行こうとすると、テディはノアの服の裾を掴んだ。そして......

「オリヴィアちゃんが......盗賊に連れて行かれました！！」

テディはノアに、最悪の事態を告げた。