杜の迷ひ子

御影史人

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はじまり

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-ヨガ開ける前に-


どれだけの年月が経ち、どれだけの月が沈んだのか
もうそれを知る術は無い。
「導く者」として呪いを受けた私には時間など気にする必要もない。

分厚い本を読みながら柊はそう考えた。
柊は幼い頃にこの世界の霊をあの世へ送るための術者として育てられた。
彼女をある者は「導く者」と、ある者は「哀れな子」と呼ぶ。
柊の住む町では故人は現世とは違う世界に行くと考えられている。
だがその世界に行けなかった者達は行くあてもなく彷徨い、行き場のない悲しみ苦しみ怒りを生人にぶつける。
そんなもの達を元いくべき、場所へ送り届けるのが柊の努めだ。
街の人々は柊のような者を「導く者」と呼ぶ。

そして彷徨う霊たちとは違う別の魂も存在する。
憎、怒、殺意、これにて作られた魍魎だ、
彷徨う霊とは違い、意識があり怒りや憎悪を本能とするように「殺す」ことだけを考える輩だ。
それらは向こうの世界に行くことは出来ない。
柊はまたそれらを「消し去る」ことも担っている、それらは彼女のことを「哀れな子」と呼ぶ。
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