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第一章
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琉璃は呆然としたまま、ベッドからゆっくりと足をおろした。するとカーペットからくすぐったいような柔らかな感覚が足裏へと伝わり、その事でこれが夢ではないと改めて実感させられる。
それに続いて、身体にも違和感を覚えた。身体がいつもより格段に軽い。それは体重が少し軽くなって身軽になったという意味合いではなく、まるで綿菓子か何かになったような軽さで、自分はここに存在しているのかと不安になるほどの、今まで感じた事のない体感だった。
クルリと自分の身体を確認するように見回す。そこで、自分が身に付けている衣類が着ていた制服ではないことに気がついたが、その白いワンピースのような服のせいで身体が軽いというわけではないようだった。
あまりの身の軽さに、浮いているかのような気になるが、両足はしっかりとカーペットを踏み締めている。それ以外に特に変わったところはなかった。
(やっぱり、夢な気がする)
琉璃はそう思いながら、光が差す窓際へと近づいていった。一瞬、その眩しさに目を細める。少しずつ目が慣れてくるとその先には、見たことのない風景が広がっていた。
目の前の庭先には、整然と花々が咲きほこる広い庭園。さらにその塀の向こうには自分が知っている風景からは程遠い景色が広がっていた。異国のようなレンガ造りの綺麗な街並みだった。
早朝のまだ空が白んでいる中、眼下の家々の煙突からは、朝食の準備中なのかいくつもの煙が立ち上っていた。
「本当に……どこよ、ここ……」
もう一度呟く。しかし、誰の返事が返ってくるはずもない。そして彼女もまた、それを期待して呟いたわけではなかった。軽く頬をつねってみるが、それも夢ではないことを再確認する事になるだけだった。あまりの事に琉璃の足の力は自然に抜け落ち、思わずその場にへたりこんだ。
それに続いて、身体にも違和感を覚えた。身体がいつもより格段に軽い。それは体重が少し軽くなって身軽になったという意味合いではなく、まるで綿菓子か何かになったような軽さで、自分はここに存在しているのかと不安になるほどの、今まで感じた事のない体感だった。
クルリと自分の身体を確認するように見回す。そこで、自分が身に付けている衣類が着ていた制服ではないことに気がついたが、その白いワンピースのような服のせいで身体が軽いというわけではないようだった。
あまりの身の軽さに、浮いているかのような気になるが、両足はしっかりとカーペットを踏み締めている。それ以外に特に変わったところはなかった。
(やっぱり、夢な気がする)
琉璃はそう思いながら、光が差す窓際へと近づいていった。一瞬、その眩しさに目を細める。少しずつ目が慣れてくるとその先には、見たことのない風景が広がっていた。
目の前の庭先には、整然と花々が咲きほこる広い庭園。さらにその塀の向こうには自分が知っている風景からは程遠い景色が広がっていた。異国のようなレンガ造りの綺麗な街並みだった。
早朝のまだ空が白んでいる中、眼下の家々の煙突からは、朝食の準備中なのかいくつもの煙が立ち上っていた。
「本当に……どこよ、ここ……」
もう一度呟く。しかし、誰の返事が返ってくるはずもない。そして彼女もまた、それを期待して呟いたわけではなかった。軽く頬をつねってみるが、それも夢ではないことを再確認する事になるだけだった。あまりの事に琉璃の足の力は自然に抜け落ち、思わずその場にへたりこんだ。
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