睦月雫

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~あれから、40年~

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「みのり、もう、俺達ダメだよ。」

ファミレスで、男女が、深刻な表情で、話をしている。

「もう、やり直せないかな?とりあえず、飲み物取ってくるね。コーヒーでいいよね。」

みのりが、コーヒーを取りに行くと、コーヒーカップが、見当たらない。

普通のサイズより、小さい子供サイズのプラスチックのカップだけが置いてある

子供用のカップはキャラクターのイラストが書いてある事が多いが、このカップはこのファミレスのロゴが入っているのみ、他にカップが見つからず、少し違和感を感じつつも、コーヒーを二つコーヒーメーカーから注ぎ、持って行く。

「それ、子供用だろ?」

「だって、他に、見当たらなかったよ。」



「ここのファミレスは、引き出しの中に、コーヒーカップ入っているんだよ。
おまえがよくいくファミレスは、外に出ているからって、場所によって違うんだよ。病気だって分かってるよ。状況判断、みのりが弱いの知ってるし、俺も理解しようとしてきた。
心に余裕がある時は、受け入れられるけど、仕事が忙しくて、余裕がないと、無理だよ。日常生活で、こんなことが、何度も何度も何度も、起こるんだもん。もう、無理だよ。」



「うん、わかった。今までありがとう。」




ドリンクバーなのに、コーヒー1杯飲んだのみで、もう、飲む気にはなれなかった。




この後、『喫茶やすらぎ』で家族と逢う約束があった。




40年前、私の両親も、お母さんの浮気で、離婚の危機があった。それを乗り越えて、今日が、結婚記念日、50周年。そのお祝いに、駆けつける事になっている。  

 
カランコロン



子供の頃、この喫茶店に来たのは何となく、覚えてる。

「みのり、良く、来たね。」


「みのり、元気?きちんとご飯、食べてる?」


両親はいつでも、あたたかく、私の事を見守ってくれる。5歳の幼稚園児だった私も、45歳の私も、いつでも、あたたかく、見守ってくれる。


「ママ、パパ、結婚、50周年おめでとう!」



74、72歳になった。パパ、ママ。



 私は、まだ、あのときのまま、注意欠陥多動性障害(ADHD )に振り回されている。発達障害であるこの病気は、薬物によって一時期、症状を抑えられるものの、完治することは、ない。




 周りの人達の理解がとても、大事な病気である。ADHDの原因は、はっきりしてない。脳の機能に何らかの原因があること、ドーパミンの働きが十分でないことしか、わかってない。



 こんなにも、医学の進んだ現在にでもある。そして、私は、この病気が、原因で、大好きな人と
失恋した。




 カランコロン




そこには、さっきまで、ファミレスで一緒だった冬彦がいた。



「みのりのご両親、今日、結婚50周年のお祝いでしょ?みのり、お祝いしてもいい?」




「え?さっき別れた彼女の両親のお祝いを何で、あなたが、するの?」




「20代の時、みのりと逢って、つきあい始めて、あれから、20年。俺から、言い出した事なんだけど。やっぱり、やり直したい。」




 その時、パパが「私達も、40年前まさに、ここ、『喫茶やすらぎ』で離婚の危機があったんだよ。みのり、お前のお母さんが、浮気してね。ここで、その浮気男、その奥さん、私達夫婦の4人で話し合ったんだ。」




そんな事があったんだ。




「でも、みのり、おまえがいたから、何とか、持ちこたえたんだ。みのり、おまえには、幸せになってもらいたいし、冬彦君となら、乗り越えられると思ってる。」

その時、冬彦が、窓ごしに外の空を眺めて
「あっ! 何か、あの雲、犬に見えない?」

「何? パパが真剣に話してる時に。あっ! コロに似てる。」

「えっ!本当だ、コロだ! みのり、私は、40年前、
お前に言われて、雲を見たときすぐ、見なかった。
その間に、雲は、変化したんだ。
もう、私は、見逃さない!お前達、家族から、目を
そらさないぞ!」

「あなた。」
「パパ。」
お母さんと私は、お父さんから目を離さなかった。

「冬彦、私達、やり直せるかな?」

「やり直せるよ。みのりのご両親みたいに、50周年
向かいたいね。」



「うん。」



これから、どうなるかわからない。
でも、苦しい事も、楽しい事も、一瞬、一瞬を冬彦と見逃さず、生きていける気がしてきた。






 
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