38 / 46
第2章
調査再開...のはずが
しおりを挟む数日後、僕たちは中間報告のために一旦ウィール王国に戻っていた。
「...これで以上だ。今後の計画としては、イストリア教会についてだが...」
グランが調査結果をイルとバトラに伝えてくれた。それを聞いたグランは少し考え込んでこう言った。
「少しの収穫はあったようだな。おそらく、イストリア教会は黒で間違いない。」
「なぜなら...俺たちの収穫もイストリア教会だからだ」
バトラの話によると、2人がニアマライア教会に調査しに行ったとき、メニルも教会にいたそうで、彼からも話を聞くことができたらしい。相変わらず彼はバトラにべったりくっつこうとして迷惑だったらしいが、バトラと会えたことにより気が大きくなってしまったのか、大事な情報をいとも簡単に洩らしてくれたそうだ。
「その時に話していたのが、イストリア教会についてだったというわけだ」
メニルはイストリア教会に頻繁に通っているだとか、そこのお偉いさんと繋がっているだとか、明らかに言わない方がよいだろうことを自慢げに話していたそうだ。他にも、重要そうなことをいくつか言っていたらしく、バトラは最終証拠収集に取り掛かるそうだ。時期が訪れたら、ニアマライア教会とイストリア教会を同時に包囲するそうだ。
今後の方針を話し合い、今日はお開きとなった。僕とグランは、明日からまたマリーノ王国で調査を続ける予定だ。
ということで、僕たちはすぐに馬車に乗り、マリーノ王国に向かった。
マリーノ王国に着いてから、僕たちは前回とは違う平民街へと向かった。こちらもウィール王国の街に比べて賑わっているが、暗い雰囲気が少しあるように感じる。特に路地裏などの暗所は、近づいたら引き摺り込まれそうだ。
ーーーーー
湿気がこもった薄暗い部屋の中で溜め息を吐く。僕は自分でフラグを立てていたみたいです。
あれは15分前のこと。グランと一緒に街を歩いていたのだが、どんどんと人が多くなってきて、人混みにもみくちゃにされたせいで彼と離れてしまった。グランは背が高いので、すぐに見つけることができたが、僕は背が低い方なので彼からは見つけられなかったのか、違う方面を探しに行ってしまった。
そのまま集団に流されて行き着いたのが路地裏だった。表通りがにぎわいで溢れかえっているのが嘘のようにシーンとしていて、自分の呼吸が聞こえるほど静かだった。とりあえず、グランを探すために表通りに出る道がないか探すために歩き出した。
歩き始めて何分経った頃だろうか、いつまで経っても表に出られやしない。そろそろやばいのではと焦り出したタイミングで、後頭部に衝撃が走り、気を失ってしまった。
...そして目が覚めた時にはこの状況だった。口は布で縛られ、両手は部屋に不自然に建っている柱に固定されていた。前世に読んでいた極道漫画にもこういうシーンがあった。それによると、捕まったあとは拷問が待ち受けているが、僕も同じような目に遭ってしまうのだろうか。その様子を想像してしまい、恐怖で身震いする。
目が覚めてから体感30分ほど経ったころ、奥の扉が開いた音がした。柱に固定されているので、振り向けことができない。足音が近づいてくるのをただ聞くのみ。
とうとう僕の目の前に姿を現したその人は、誰も予想することが出来ないであろう者だった。
「....」
無論、その人を何と呼べばよいのかわからないほどの者だった。どう呼べば、機嫌を損ねないか。いや、どう呼んでもこの人はなにかと理由をつけて罵ってくるはずだ。そのような者が、何故か僕の目の前にいた。
65
あなたにおすすめの小説
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
婚約破棄されて追放された僕、実は森羅万象に愛される【寵愛者】でした。冷酷なはずの公爵様から、身も心も蕩けるほど溺愛されています
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男アレンは、「魔力なし」を理由に婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡され、社交界の笑い者となる。家族からも見放され、全てを失った彼の元に舞い込んだのは、王国最強と謳われる『氷の貴公子』ルシウス公爵からの縁談だった。
「政略結婚」――そう割り切っていたアレンを待っていたのは、噂とはかけ離れたルシウスの異常なまでの甘やかしと、執着に満ちた熱い眼差しだった。
「君は私の至宝だ。誰にも傷つけさせはしない」
戸惑いながらも、その不器用で真っ直ぐな愛情に、アレンの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
そんな中、領地を襲った魔物の大群を前に、アレンは己に秘められた本当の力を解放する。それは、森羅万象の精霊に愛される【全属性の寵愛者】という、規格外のチート能力。
なぜ彼は、自分にこれほど執着するのか?
その答えは、二人の魂を繋ぐ、遥か古代からの約束にあった――。
これは、どん底に突き落とされた心優しき少年が、魂の番である最強の騎士に見出され、世界一の愛と最強の力を手に入れる、甘く劇的なシンデレラストーリー。
本当に悪役なんですか?
メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。
状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて…
ムーンライトノベルズ にも掲載中です。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる