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1年目春
18 僕と学校生活(3)
しおりを挟む午前の授業が終わって、昼休みのチャイムが鳴る。
僕はさっそく立ち上がって小春ちゃんの元へ向かう。
「小春ちゃん、お昼一緒に食べない?」
「残念でしたー!こはるんは私達と食べるんですー!」
そうくると思った。
予想通りの返答に、用意していた返事を返す。
「もちろん小春ちゃんだけじゃなくて、佐伯さんと…犬飼くんも一緒にって思ったんだけど。せっかく同じクラスになったんだから仲良くなりたいなって。」
「あの子達はいいの?」
小春ちゃんが言うあの子達は、きっと中川と野村の事。
あの2人には事前に他のクラスの友達と食べる事にしてもらっている。
「あの子達は別のクラスの友達と過ごすらしいから。そんなに仲良くもないし。」
「そうだったんだ。じゃあ、一緒に食べようよ。」
小春ちゃんならそう言ってくれるって思ってた。
これも予想通りで笑っちゃいそうになる。計画通りにことが進んだ。
「え、ちょっとこはるん!やめた方がいいって!」
「里奈はちょっと猫宮くんに警戒しすぎだよ。」
「こはるんは気許しすぎ!絶対悪い男だよ!」
僕は何も聞いてないフリで小春ちゃんの隣、木村くんだっけ、木村くんの席に座る。
「犬飼くんは?」
「颯太は購買でお昼買ってくるって。」
「そうなんだ。」
しばらくして颯太が帰ってくる。
小春ちゃんの隣に座る僕をみて目を丸くしていた。
「え、なんで、猫宮?」
「友達いないんだってえ。」
それはちょっと棘のある言い方な気がする。
「そう、僕友達いないんだ。」
「お前と昼食べたい女子なら山ほどいると思うけど…。」
颯太が教室の一角を見た。
女の子達が集まってこっちをチラチラみている。
僕は他の女の子じゃなくて、小春ちゃんと一緒に過ごしたいんだよ。
そういうとまた警戒されるから当たり障りのない返事をする。
「いくら僕でも、女の子の輪の中じゃ居心地悪いよ。こっちなら犬飼くんもいるからね。」
「ま、そうだな。」
颯太は僕の席の前に座る。
小春ちゃんと仲良くなるにはまずは周りから。
「犬飼くんたくさん買ってきたんだね。」
「食べ盛りってやつ?猫宮お前弁当?」
「うん、親が作ってくれたんだ。」
本当は神様だけど。
僕は神様に作ってもらったお弁当をあける。
「……。」
「わー猫ちゃんだ!可愛いー!」
開けた瞬間可愛い猫と目があった。
あの神様、何考えてるんだろう。
「初日だからはりきってくれたみたい。こんなの可愛すぎて食べれないね。」
「いいな、うちのお母さんはそういう可愛いの作れないから……。」
そういって開ける小春ちゃんのお弁当は、ごく普通のお弁当だった。
「こはるんのママご飯おいしいからいいじゃん!うちなんて冷凍食品ばっかだよ!」
「作ってくれるだけでありがたいって!俺の母さん面倒だからってお金渡してくるんだぜ?」
「食べる前に写真撮らせて!お母さんに送るから!」
「いいよ。」
小春ちゃんは僕のお弁当の写真を撮った。
そんなにこのお弁当羨ましいかな?
元猫の僕からしたら食べ辛いというか。
「よかったら交換する?僕こんな可愛いお弁当食べ辛いし。」
「いいの?でも、せっかく作ってくれたお母さんに悪いし……。」
「いいよ、多分嫌がらせかなんかで作ったんだと思うから。」
そう言って僕は小春ちゃんとお弁当を交換する。
神様以外の料理を食べるのは新鮮だった。
「わあ!この卵焼き美味しいよ!里奈も食べる?」
「……食べる。」
神様のお弁当は好評らしい。
里奈も悪くないと言って卵焼きを飲み込んだ。
「えーいいなあ、俺も弁当食べたくなってきた。」
「犬飼くん自分で作ったら?」
「俺料理の才能ないから無理だ!」
なんだかいい感じで話が出来ている気がする。
この流れなら
「小春ちゃん、昨日や今日はごめんね。」
「え、いきなりどうしたの?」
「運命の女の子に再会できて舞い上がっちゃったんだ。いきなり好きとか言われてもびっくりしちゃうよね?」
「…うん。それはすごくびっくりした。」
「だから運命の人とかは一旦置いといて、友達になってほしい。もちろん、佐伯さんと犬飼くんも。」
里奈と颯太を見ると食べる手を止めて僕を見ていた。
小春ちゃんは少し頬を赤くして答えてくれた
「私がその運命の子じゃないと思ってるけど、もちろん友達になるのはいいよ!ね、里奈?颯太?」
「こはるんがいいならいいけど…。でもでも、絶対にこはるんに変な事しないでよね!!」
「もちろん友達になろうぜ!ちょっと嫌なやつだと思ってたけど、まだ猫宮の事全然知らねーからそれで決めつけるのよくなかったよな!ごめん!」
「よかった、これからよろしく。」
そうして僕たちは友達になった。
これから一緒に過ごす時間を増やして、小春ちゃんに僕を好きになってもらうんだ。
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