やる気ゼロの聖女は、やる気ゼロの王子に溺愛される。

日向雪

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020 『五時限目 夜の講義』

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 寝室に入ると、アリシアはベッドの上できちっと膝を揃えて座っていた。

 あの扇情的な下着を着ている。





 けれど、着ている人間がアリシアだからか。

 娼婦のような出で立ちにはなっていない。

 小柄な所為で、少女がワンピースでいる感じだろうか。





「この服は着方が難しいですね? サイドのリボンを結ぶのに難儀しましたよ」





 そう言って、チラリと横を向いて見せると、白い肌が隙間から見え隠れしている。





 瞬間、王子は目を逸らした。

 ヤバイヤバイ。





 男が目を逸らすのは、興味が無いからではなく、興味があるからだと思う。

 そしてもう一つは、相手を尊重するため。

 だと信じたい。





「では始めますね。僭越ながら未経験の私が知っている知識というのは限られておりますので、経験豊富なルーイ様にお伝えできる事はそう沢山あるとは思えませんが、講義を取らせて頂きます」



「………」





 勝手に経験豊富と括られた。





「先ずは意味です」



「意味?」



「男女が夜の営みをする意味は、子供を作る事にあります」



「………」





 そこから!?





「子孫を残す。とても重要な行為です。男女の間から子供が一人生まれても、来世は人間の数が半分になります。二人で同数ですが。保険をとって三人産むのが人類滅亡を避ける為の出産人数ですね」



「へー……」



「そのためには経済的に余裕のある男性は、多数の妻を娶り、多くの子供を育てる事が義務となります」



「……アリシア」



「なんでしょう?」



「まったく英気が養われる気がしない」



「なんと!? 本当ですか? とても重要な部分なのです。外せません」





 そこからアリシアは、子供を産むことの意味、幸せ、人類という生物の人体構造等延々と話続け、それを書き取らせるという念の入れようだった。





 普通に講義だ。

 見紛う事無き講義。





 こんなの誰も期待していない。

本来夜の教育というのは、王族が妃を娶る前に真しやかに行われる。





 未経験の王子に、経験豊富な年上の貴族が付けられる。

 もちろん座学じゃない実技だ。

 身を以て教える。





 アリシアの夜の教育とやらは基本座学だった。

 これは夜の教育ではなく生物学ではないだろうか?





 あの扇情的な衣装はなんだったのだろう?

 まったく意味を成してない。

 いつものエプロンドレスで良い気がする。





 でもアレかな……。

 教師と言っても、未経験の未婚子女に夜の教育が出来る訳がないのだ。





 考えてみれば当然。

 本人も知識しかないと言っていたではないか。

 それでも良いと言ったのは王子自身。





 状況から考えれば、この結果は至極全うではないか。

 王子は、ノートを取りながら、明日からの打開策を考えていた。

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