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本編
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誰もが持ちうる化学法則にとらわれない力「異能」。それを用いる「異能力者」。
歴史の闇に葬られ決して表に出ることのなかったそれの存在をを何を思ったか日本は全世界に公表し平然ともちいるようになった「大告白事件」から20余年。
混乱を最小限に収めた日本はいまだ爪痕の残る他国を尻目に眠れる虎として安眠の日々を送っていた。
そんな色々あって日本人以外いなくなった日本の片隅でとある女性が人生の門出を迎えようとしていた。
「便利屋きずな。安直すぎるかな?」
水色髪の女性がピンク髪の女性に問いかける。
「気取った名前は後から恥ずかしくなっちゃうよ。」
派手な髪色に似合わず控えめな性格なのだろう困ったような顔をして長い桃色髪の女性がそう答えた。
「そうね、中二病じゃないんだから。」
古臭い建物にかかる真新しい看板をみながらあはは、と快活にわらうのはこの事務所の所長を務める田中きずな。水色の髪に黄色い目をしている。活発そうなショートヘア。
もう一人、伊藤きずな。長髪で桃色髪に緑の目、ついたあだ名は桜餅。名前が同じことが縁になって大学時代に知り合った二人はともにベンチャーを起業しついに事務所を持つまでになった。
「事務所を持ったわいいものの来週から一週間二人とも出張なのよねー。」
「荷物運び込むだけで今日は終わってしまいそうね。」
荷物をとりあえず並べつつ頭を抱える。荷物を異空間に収納する異能、いわゆる異空間収納は若者にとってメジャーな異能の一つだ。べつに異空間にしまったまま仕事に持って行ってもいいのだが余計な疑いの種は持ち歩くべきではない。特に刃物。
「ももは月曜日の朝には帰ってこれるんだっけ。」
「そうね、そうなると思うわ。ななは?」
親しくなってからももは髪色から、ななはラッキーセブンにあやかって互いをあだ名で呼ぶようになったのは必然だった。
なお、桜、桜餅、ピンクは問答無用で却下されたのはまた別の話。
取り敢えず荷物を下ろした二人は感傷に浸る間もなく別々の仕事へと向かうことになるがその前に事務所の前に人がいることに気がついた。
「ねえねえ、なにかごようですかー?」
「ちょ、こら。すみません。この事務所の伊藤です、こちらは田中。初めまして、うちの事務所になにか御用でしょうか?」
「べつに用ってほどではないんだけど。ねえ、これ何する場所?あ、私はそこの斜め向かいの鈴木っていうの。というか挨拶は?」
恰幅のいいおばさんのマシンガントークに若い二人は一から十まで聞き出され、非常に疲れた状態でそれぞれの車に乗り込むのだった。
スピーカーおばさんは噂話が大好き。その名の通り聞いた情報は誰彼構わず言いふらす。その情報を聞くのは必ずしも無辜の市民とは限らない。
「この家に住むのは身寄りのない女性二人きりなんだな。」
「どうやら来週から長期間家をあけるようです。事情通の女性から聞き出しました。」
「発覚までは1週間、あるいはそれ以上。十分だな」
「SNSアカウントありました。どうやらこの春大学を卒業したようです。」
黒髪黒目の男たちがひそひそと物陰で話し合っている。とうぜん、企むことは悪事ばかり。
その目は欲に満たされていた。
ー---------
終わり!!!!
歴史の闇に葬られ決して表に出ることのなかったそれの存在をを何を思ったか日本は全世界に公表し平然ともちいるようになった「大告白事件」から20余年。
混乱を最小限に収めた日本はいまだ爪痕の残る他国を尻目に眠れる虎として安眠の日々を送っていた。
そんな色々あって日本人以外いなくなった日本の片隅でとある女性が人生の門出を迎えようとしていた。
「便利屋きずな。安直すぎるかな?」
水色髪の女性がピンク髪の女性に問いかける。
「気取った名前は後から恥ずかしくなっちゃうよ。」
派手な髪色に似合わず控えめな性格なのだろう困ったような顔をして長い桃色髪の女性がそう答えた。
「そうね、中二病じゃないんだから。」
古臭い建物にかかる真新しい看板をみながらあはは、と快活にわらうのはこの事務所の所長を務める田中きずな。水色の髪に黄色い目をしている。活発そうなショートヘア。
もう一人、伊藤きずな。長髪で桃色髪に緑の目、ついたあだ名は桜餅。名前が同じことが縁になって大学時代に知り合った二人はともにベンチャーを起業しついに事務所を持つまでになった。
「事務所を持ったわいいものの来週から一週間二人とも出張なのよねー。」
「荷物運び込むだけで今日は終わってしまいそうね。」
荷物をとりあえず並べつつ頭を抱える。荷物を異空間に収納する異能、いわゆる異空間収納は若者にとってメジャーな異能の一つだ。べつに異空間にしまったまま仕事に持って行ってもいいのだが余計な疑いの種は持ち歩くべきではない。特に刃物。
「ももは月曜日の朝には帰ってこれるんだっけ。」
「そうね、そうなると思うわ。ななは?」
親しくなってからももは髪色から、ななはラッキーセブンにあやかって互いをあだ名で呼ぶようになったのは必然だった。
なお、桜、桜餅、ピンクは問答無用で却下されたのはまた別の話。
取り敢えず荷物を下ろした二人は感傷に浸る間もなく別々の仕事へと向かうことになるがその前に事務所の前に人がいることに気がついた。
「ねえねえ、なにかごようですかー?」
「ちょ、こら。すみません。この事務所の伊藤です、こちらは田中。初めまして、うちの事務所になにか御用でしょうか?」
「べつに用ってほどではないんだけど。ねえ、これ何する場所?あ、私はそこの斜め向かいの鈴木っていうの。というか挨拶は?」
恰幅のいいおばさんのマシンガントークに若い二人は一から十まで聞き出され、非常に疲れた状態でそれぞれの車に乗り込むのだった。
スピーカーおばさんは噂話が大好き。その名の通り聞いた情報は誰彼構わず言いふらす。その情報を聞くのは必ずしも無辜の市民とは限らない。
「この家に住むのは身寄りのない女性二人きりなんだな。」
「どうやら来週から長期間家をあけるようです。事情通の女性から聞き出しました。」
「発覚までは1週間、あるいはそれ以上。十分だな」
「SNSアカウントありました。どうやらこの春大学を卒業したようです。」
黒髪黒目の男たちがひそひそと物陰で話し合っている。とうぜん、企むことは悪事ばかり。
その目は欲に満たされていた。
ー---------
終わり!!!!
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