ローファンタジーの導入ってこんなかんじだよね!

頭フェアリータイプ

文字の大きさ
1 / 1

本編

しおりを挟む
誰もが持ちうる化学法則にとらわれない力「異能」。それを用いる「異能力者」。
歴史の闇に葬られ決して表に出ることのなかったそれの存在をを何を思ったか日本は全世界に公表し平然ともちいるようになった「大告白事件」から20余年。
混乱を最小限に収めた日本はいまだ爪痕の残る他国を尻目に眠れる虎として安眠の日々を送っていた。
そんな色々あって日本人以外いなくなった日本の片隅でとある女性が人生の門出を迎えようとしていた。

「便利屋きずな。安直すぎるかな?」

水色髪の女性がピンク髪の女性に問いかける。

「気取った名前は後から恥ずかしくなっちゃうよ。」

派手な髪色に似合わず控えめな性格なのだろう困ったような顔をして長い桃色髪の女性がそう答えた。

「そうね、中二病じゃないんだから。」

古臭い建物にかかる真新しい看板をみながらあはは、と快活にわらうのはこの事務所の所長を務める田中きずな。水色の髪に黄色い目をしている。活発そうなショートヘア。
もう一人、伊藤きずな。長髪で桃色髪に緑の目、ついたあだ名は桜餅。名前が同じことが縁になって大学時代に知り合った二人はともにベンチャーを起業しついに事務所を持つまでになった。

「事務所を持ったわいいものの来週から一週間二人とも出張なのよねー。」

「荷物運び込むだけで今日は終わってしまいそうね。」

荷物をとりあえず並べつつ頭を抱える。荷物を異空間に収納する異能、いわゆる異空間収納は若者にとってメジャーな異能の一つだ。べつに異空間にしまったまま仕事に持って行ってもいいのだが余計な疑いの種は持ち歩くべきではない。特に刃物。

「ももは月曜日の朝には帰ってこれるんだっけ。」

「そうね、そうなると思うわ。ななは?」

親しくなってからももは髪色から、ななはラッキーセブンにあやかって互いをあだ名で呼ぶようになったのは必然だった。
なお、桜、桜餅、ピンクは問答無用で却下されたのはまた別の話。



取り敢えず荷物を下ろした二人は感傷に浸る間もなく別々の仕事へと向かうことになるがその前に事務所の前に人がいることに気がついた。

「ねえねえ、なにかごようですかー?」

「ちょ、こら。すみません。この事務所の伊藤です、こちらは田中。初めまして、うちの事務所になにか御用でしょうか?」

「べつに用ってほどではないんだけど。ねえ、これ何する場所?あ、私はそこの斜め向かいの鈴木っていうの。というか挨拶は?」

恰幅のいいおばさんのマシンガントークに若い二人は一から十まで聞き出され、非常に疲れた状態でそれぞれの車に乗り込むのだった。

スピーカーおばさんは噂話が大好き。その名の通り聞いた情報は誰彼構わず言いふらす。その情報を聞くのは必ずしも無辜の市民とは限らない。
「この家に住むのは身寄りのない女性二人きりなんだな。」
「どうやら来週から長期間家をあけるようです。事情通の女性から聞き出しました。」
「発覚までは1週間、あるいはそれ以上。十分だな」
「SNSアカウントありました。どうやらこの春大学を卒業したようです。」

黒髪黒目の男たちがひそひそと物陰で話し合っている。とうぜん、企むことは悪事ばかり。
その目は欲に満たされていた。

ー---------

終わり!!!!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

処理中です...