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第21話 悪役令嬢VSインキュバス!?
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私とマーニャによる夢魔討伐大作戦の内容は簡単に言うとこう。
まず、夢魔に取り憑かれている(推定)私が眠りにつく。マーニャは私の部屋にて待機→眠っている私が夢を見ている様子が確認出来たら、マーニャが私に解除魔法を掛ける→夢に潜る魔法を解除された夢魔が夢から追い出され現実に姿を現す→マーニャは急いで私を起す→二人で夢魔をしばき倒す…と言う物だ。
まぁまぁ行き当たりばったりのざっくりした計画ではあるけれど、マーニャから聞いた限り、夢魔は自分のフィールドである夢の中でこそほぼ無敵だが、反面現実ではほとんどその力を発揮する事は出来ないのだという。
そして、私もマーニャも何を隠そうこの国では指折りの魔法の使い手だったりする。
そんな訳で、いくら魔物とは言えど、夢から引きずり出してしまえば、決して負けるような相手ではない。
さすがに魔物と戦うと考えれば緊張や不安がないと言えば嘘になる。…けれど、それ以上に自分の純情を弄ばれた怒りと、アリシアに手を出されたら許せないという思いが強かった。
「エリスレア様、そんなに息巻いていたら眠れないのではないですか?」
気がつけば、マーニャがやれやれ…と言った雰囲気の、ちょっと呆れた顔を私に向けていた。
「…あ、…つ、つい力が入ってしまいましたわね…オホホホ…」
気恥ずかしさを誤魔化そうとしたら、つい普段しないような笑い方をしてしまった。マーニャは苦笑していて、余計に恥ずかしくなってしまう…。
「…気合を入れるのは構いませんが…、私としてはやっぱり、こんな囮作戦みたいなことを貴女にやらせるのは気が向かないのですけれどね…」
「…マーニャ、もうここまで来たのだから覚悟を決めて頂戴。わたくしが一度言い出したら聞かないことは貴女も知っているでしょう?」
「そうですね…。最近は、周りに迷惑をかけるようなことをしなくなっただけマシになったと思っていたのですけど…」
「ひ、酷い言い草ですわねぇ…」
「…とにかく……やると決めたからには、ちゃんと解決しなくてはなりませんからね…。まずはしっかりと眠れるように、もっとリラックスして下さいね」
マーニャはそう言いながら、先ほどマリエッタが淹れてくれたお茶のカップを一つ、私の方に差し出してくれる。これは確かジェイドが分けてくれたお茶の香りだ。何処か柔らかいような優しい…春の木漏れ日の中にいるような気持ちになる。
そうこうしているうちに段々と眠気が襲ってきたので、私はマーニャに促されるままベッドに入り瞼を閉じた。
・
・
・
如何わしい夢を見続けた3日間。夢の始まりはいつも優しいキスや愛撫から始まっていた―…のだけど、この日は違った。
顔の見えない男は、唐突に私の服を掴んで乱暴に引き裂いてしまう。
夢の中の私は、それが夢の中であることを認識できなかったので、そのビリビリと絹が引き裂かれる鋭い音と、肌に感じる冷たい空気に、恐怖を覚えた。
体が動けば少しはマシだったかも知れないが、どれだけ動け動けと心の中で叫んでも、指先一つ動かないし、声も出ない。
『こんなに焦らされて、抵抗されるなんて思わなかったよ。まだ穢れも知らない乙女なのだから、優しくしてあげようと思っていたのに…残念だ』
耳元で、甘く囁くような優しい口調でとんでもないことを言う声が聞こえる。
『本当は乱暴なんてしたくないのに…。全部キミが悪いんだからね』
つまり私がこの3日間、行為に到る前に奇声を上げて逃げ続けてしまったせいで、夢魔も相当イラついているらしかった。今日は何がなんでも最後まで…ということのようである。
服を破られて露になってしまったレース生地の豪奢な下着とそれに守られた私の豊満な胸を、男は乱暴に鷲掴んで揉みしだき始める。
「…っ、痛……」
もうこんなのほぼほぼ強姦だ。乱暴されるのが好きな特殊な性癖の方なら、荒っぽい愛撫も気持ちが良いのかもしれないが、私はそんな趣味はない。気持ちが良いどころか普通に痛いし気持ちが悪い。身の毛もよだつと言うのはこういうことを言うのだろう。
ここまで来るともう私は「えっちなことをされちゃう!!!!助けて!!」という危機感より、「こいつ、絶対ぶっ殺してやりますわよ…????(ビキビキ)」と言う殺意のほうが沸いてきてしまう。いたいけなお嬢様であるエリスレアも恋愛ビギナーな大人の波佐間悠子も、いつからこんな逞しくなってしまったんだろう?
身体は動かないままだったけれど、無理やりにでも動かしてやるわー!!!!と、私に覆いかぶさるその男をぶん殴ろうと拳に力を込めた時だった。
「………リ… …ス… …エリス!!!!!」
聞き覚えのある声が、私を呼んでいるのが聞こえた。
間違いない。
これは私の大好きな、大切なあの子の声だ。
その声は何だか酷く焦っているような、慌てているような、怒っているような、そんな声――――……
そんなに慌ててどうしたの?何かあったの?と私は心配になって、重たい瞼を必死に開こうとする。
―――――そう、私はいつの間にか目を閉じていたようだった。
でも、どうして目を閉じていたんだっけ?
ここは何処で、私は何をしていたんだっけ…??????
「エリス!!!!!!!」
はっきり聞こえたその声に、咄嗟に目を開けた瞬間見えたのは自分自身の部屋。
そして、何故かそこには居るはずのないアリシアの姿があった。
まず、夢魔に取り憑かれている(推定)私が眠りにつく。マーニャは私の部屋にて待機→眠っている私が夢を見ている様子が確認出来たら、マーニャが私に解除魔法を掛ける→夢に潜る魔法を解除された夢魔が夢から追い出され現実に姿を現す→マーニャは急いで私を起す→二人で夢魔をしばき倒す…と言う物だ。
まぁまぁ行き当たりばったりのざっくりした計画ではあるけれど、マーニャから聞いた限り、夢魔は自分のフィールドである夢の中でこそほぼ無敵だが、反面現実ではほとんどその力を発揮する事は出来ないのだという。
そして、私もマーニャも何を隠そうこの国では指折りの魔法の使い手だったりする。
そんな訳で、いくら魔物とは言えど、夢から引きずり出してしまえば、決して負けるような相手ではない。
さすがに魔物と戦うと考えれば緊張や不安がないと言えば嘘になる。…けれど、それ以上に自分の純情を弄ばれた怒りと、アリシアに手を出されたら許せないという思いが強かった。
「エリスレア様、そんなに息巻いていたら眠れないのではないですか?」
気がつけば、マーニャがやれやれ…と言った雰囲気の、ちょっと呆れた顔を私に向けていた。
「…あ、…つ、つい力が入ってしまいましたわね…オホホホ…」
気恥ずかしさを誤魔化そうとしたら、つい普段しないような笑い方をしてしまった。マーニャは苦笑していて、余計に恥ずかしくなってしまう…。
「…気合を入れるのは構いませんが…、私としてはやっぱり、こんな囮作戦みたいなことを貴女にやらせるのは気が向かないのですけれどね…」
「…マーニャ、もうここまで来たのだから覚悟を決めて頂戴。わたくしが一度言い出したら聞かないことは貴女も知っているでしょう?」
「そうですね…。最近は、周りに迷惑をかけるようなことをしなくなっただけマシになったと思っていたのですけど…」
「ひ、酷い言い草ですわねぇ…」
「…とにかく……やると決めたからには、ちゃんと解決しなくてはなりませんからね…。まずはしっかりと眠れるように、もっとリラックスして下さいね」
マーニャはそう言いながら、先ほどマリエッタが淹れてくれたお茶のカップを一つ、私の方に差し出してくれる。これは確かジェイドが分けてくれたお茶の香りだ。何処か柔らかいような優しい…春の木漏れ日の中にいるような気持ちになる。
そうこうしているうちに段々と眠気が襲ってきたので、私はマーニャに促されるままベッドに入り瞼を閉じた。
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如何わしい夢を見続けた3日間。夢の始まりはいつも優しいキスや愛撫から始まっていた―…のだけど、この日は違った。
顔の見えない男は、唐突に私の服を掴んで乱暴に引き裂いてしまう。
夢の中の私は、それが夢の中であることを認識できなかったので、そのビリビリと絹が引き裂かれる鋭い音と、肌に感じる冷たい空気に、恐怖を覚えた。
体が動けば少しはマシだったかも知れないが、どれだけ動け動けと心の中で叫んでも、指先一つ動かないし、声も出ない。
『こんなに焦らされて、抵抗されるなんて思わなかったよ。まだ穢れも知らない乙女なのだから、優しくしてあげようと思っていたのに…残念だ』
耳元で、甘く囁くような優しい口調でとんでもないことを言う声が聞こえる。
『本当は乱暴なんてしたくないのに…。全部キミが悪いんだからね』
つまり私がこの3日間、行為に到る前に奇声を上げて逃げ続けてしまったせいで、夢魔も相当イラついているらしかった。今日は何がなんでも最後まで…ということのようである。
服を破られて露になってしまったレース生地の豪奢な下着とそれに守られた私の豊満な胸を、男は乱暴に鷲掴んで揉みしだき始める。
「…っ、痛……」
もうこんなのほぼほぼ強姦だ。乱暴されるのが好きな特殊な性癖の方なら、荒っぽい愛撫も気持ちが良いのかもしれないが、私はそんな趣味はない。気持ちが良いどころか普通に痛いし気持ちが悪い。身の毛もよだつと言うのはこういうことを言うのだろう。
ここまで来るともう私は「えっちなことをされちゃう!!!!助けて!!」という危機感より、「こいつ、絶対ぶっ殺してやりますわよ…????(ビキビキ)」と言う殺意のほうが沸いてきてしまう。いたいけなお嬢様であるエリスレアも恋愛ビギナーな大人の波佐間悠子も、いつからこんな逞しくなってしまったんだろう?
身体は動かないままだったけれど、無理やりにでも動かしてやるわー!!!!と、私に覆いかぶさるその男をぶん殴ろうと拳に力を込めた時だった。
「………リ… …ス… …エリス!!!!!」
聞き覚えのある声が、私を呼んでいるのが聞こえた。
間違いない。
これは私の大好きな、大切なあの子の声だ。
その声は何だか酷く焦っているような、慌てているような、怒っているような、そんな声――――……
そんなに慌ててどうしたの?何かあったの?と私は心配になって、重たい瞼を必死に開こうとする。
―――――そう、私はいつの間にか目を閉じていたようだった。
でも、どうして目を閉じていたんだっけ?
ここは何処で、私は何をしていたんだっけ…??????
「エリス!!!!!!!」
はっきり聞こえたその声に、咄嗟に目を開けた瞬間見えたのは自分自身の部屋。
そして、何故かそこには居るはずのないアリシアの姿があった。
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