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第1話 小さな魔女、前世の記憶を取り戻す
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現代日本では極々平凡な一般人だった主人公が、ふとしたことをきっかけに乙女ゲームの世界に転生・転移してしまい、その世界の男性キャラと恋に落ちてキャッキャウフフ…なんて…。今ではある意味で定番の展開だろう。
だから、それがある日突然自分の身に降りかかってきた時、私は当然滅茶苦茶にびっくりしたし、これからどうしたら良いんだろう…って不安にもなったのだけれど、それでも少しだけわくわくしていた。
存在こそ知っていたけれど、まさか当たると思っていなかった宝くじの高額当選だとか、そう言うのに近い感覚だと思う。
だって、それはそうだろう。自分が好きだった乙女ゲームの世界に、一人のキャラクターとして入ることが出来たなら、そのゲームのファンとして、一人の女の子として、嬉しくない訳がないと思う…!
そんな訳で、突然だが私、花村 歌穂は、10年近く前…学生時代に夢中になって遊んだ乙女ゲーム『黄昏のソルシエール』の世界へと異世界転生して来てしまっていた。
この世界は、所謂良くある"中世ヨーロッパ風"の世界観をベースに、魔王や魔物みたいな敵対種族・生物が当たり前のように存在し、人間側も防衛手段として魔法や科学の研究が盛んとなり、独自の文化や技術が発展した感じのファンタジー世界である。
本来このゲームの主人公シェニーは、この世界で魔女として迫害され、森で細々と暮らしていた女の子だ。そして、彼女は森で倒れていた一人の男の子を助けたことをきっかけに、城へと召し上げられ、そこで出会った複数の男性たちに愛され、執着され、大変なことになる―――――と言うようなストーリーだった。
私がこの記憶を取り戻したのはごく最近で、それは私のことを女手一つで育ててくれた大好きなお婆ちゃんが息を引き取って、一人ぼっちになってしまった日のことだった。
お墓の前で泣きじゃくる私は、気が付くとそのまま眠ってしまっていて、不思議な夢をみたのだ。
見たこともないくらい高い建物が立ち並ぶ不思議な街並み。小さな箱に同じような服を着た沢山の人々が雪崩れ込むように飛び込んで行き、それが彼らをどこかへと運んで行く…。
灰色の空と、何処か息苦しい空気、通り過ぎて行く見知らぬ人々。
知らないはずの景色。見たこともない服装の人々。そんな異世界の光景。
そう…知らない。知らないはずなのに、私はその知らないはずの世界を知っていて、懐かしい気すらしていた。
そして、再び目が覚めた時、私はすべての記憶を取り戻してた。
私が日本という場所でOLとして働いていた一般人だったこと。この世界が、昔遊んでいた乙女ゲーム『黄昏のソルシエール』の世界であり、現在の私がそのゲームの主人公シェニーであることを知ったのだ。
そして、ゲームの物語が描かれることになる時間軸は、確かシェニーが16歳の誕生日を迎えた頃。今の私は14歳。
ゲーム通りにこの世界の物語が進んで行くのであれば、もう2年もしたらこの森に、今の私…主人公であるシェニーの人生を大きく変える出会いが訪れることになる。
本当ならこの時に、自分が持っている前世での知識を活かして、来るべき未来に備え、しっかり準備を整えて置ければ良かったんだけど………。
私は、唯一の肉親だった大好きなお婆ちゃんを亡くした悲しみと喪失感、突然取り戻した前世の記憶で頭が滅茶苦茶になってしまっていて、ジェットコースターみたいに激しく上がったり下がったりする情緒と、前世と現在の記憶を整理するのに時間がかかってしまった。
そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎて行き、気が付けば私は16歳の誕生日を迎えてしまっていた。
これは私が、奇しくも転生してしまった乙女ゲームの世界で、ゲームのルートにはなかった展開に突入しとんでもないことになってしまうと言う波乱の物語である!
だから、それがある日突然自分の身に降りかかってきた時、私は当然滅茶苦茶にびっくりしたし、これからどうしたら良いんだろう…って不安にもなったのだけれど、それでも少しだけわくわくしていた。
存在こそ知っていたけれど、まさか当たると思っていなかった宝くじの高額当選だとか、そう言うのに近い感覚だと思う。
だって、それはそうだろう。自分が好きだった乙女ゲームの世界に、一人のキャラクターとして入ることが出来たなら、そのゲームのファンとして、一人の女の子として、嬉しくない訳がないと思う…!
そんな訳で、突然だが私、花村 歌穂は、10年近く前…学生時代に夢中になって遊んだ乙女ゲーム『黄昏のソルシエール』の世界へと異世界転生して来てしまっていた。
この世界は、所謂良くある"中世ヨーロッパ風"の世界観をベースに、魔王や魔物みたいな敵対種族・生物が当たり前のように存在し、人間側も防衛手段として魔法や科学の研究が盛んとなり、独自の文化や技術が発展した感じのファンタジー世界である。
本来このゲームの主人公シェニーは、この世界で魔女として迫害され、森で細々と暮らしていた女の子だ。そして、彼女は森で倒れていた一人の男の子を助けたことをきっかけに、城へと召し上げられ、そこで出会った複数の男性たちに愛され、執着され、大変なことになる―――――と言うようなストーリーだった。
私がこの記憶を取り戻したのはごく最近で、それは私のことを女手一つで育ててくれた大好きなお婆ちゃんが息を引き取って、一人ぼっちになってしまった日のことだった。
お墓の前で泣きじゃくる私は、気が付くとそのまま眠ってしまっていて、不思議な夢をみたのだ。
見たこともないくらい高い建物が立ち並ぶ不思議な街並み。小さな箱に同じような服を着た沢山の人々が雪崩れ込むように飛び込んで行き、それが彼らをどこかへと運んで行く…。
灰色の空と、何処か息苦しい空気、通り過ぎて行く見知らぬ人々。
知らないはずの景色。見たこともない服装の人々。そんな異世界の光景。
そう…知らない。知らないはずなのに、私はその知らないはずの世界を知っていて、懐かしい気すらしていた。
そして、再び目が覚めた時、私はすべての記憶を取り戻してた。
私が日本という場所でOLとして働いていた一般人だったこと。この世界が、昔遊んでいた乙女ゲーム『黄昏のソルシエール』の世界であり、現在の私がそのゲームの主人公シェニーであることを知ったのだ。
そして、ゲームの物語が描かれることになる時間軸は、確かシェニーが16歳の誕生日を迎えた頃。今の私は14歳。
ゲーム通りにこの世界の物語が進んで行くのであれば、もう2年もしたらこの森に、今の私…主人公であるシェニーの人生を大きく変える出会いが訪れることになる。
本当ならこの時に、自分が持っている前世での知識を活かして、来るべき未来に備え、しっかり準備を整えて置ければ良かったんだけど………。
私は、唯一の肉親だった大好きなお婆ちゃんを亡くした悲しみと喪失感、突然取り戻した前世の記憶で頭が滅茶苦茶になってしまっていて、ジェットコースターみたいに激しく上がったり下がったりする情緒と、前世と現在の記憶を整理するのに時間がかかってしまった。
そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎて行き、気が付けば私は16歳の誕生日を迎えてしまっていた。
これは私が、奇しくも転生してしまった乙女ゲームの世界で、ゲームのルートにはなかった展開に突入しとんでもないことになってしまうと言う波乱の物語である!
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