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高校生

第72話 新学年早々で修羅場?!

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 悪夢のような春休みが終わり4月に入った。
 学校の敷地内を囲むように植えられた桜の木には花が満開に咲き誇り、始業式である今日の天気は快晴だ。
 肝心のクラスはというと、3年B組。
 朝登校するなり、俺は教室中を見渡す。
 今回は全員バラバラかと思った瞬間、

 「おはよう!隼人元気にしてたか?」

 後ろからいきなり声をかけられた。
 俺はもしやと思い、振り返ると、今登校してきたばかりなのか、リュックを背負った美月がいた。
 そして、その後ろには…

 「おはよぉ!隼人くん」

 元気よく手を振る水姫がいた。
 まじか…なんか嫌な予感がしてきたぞ。

 「どうしたんだい?そんなに顔を青白くして」

 美月が俺の顔の変化に気づき、後ろにいる水姫もまた心配そうな顔をしている。
 そんなに青白くなったのだろうか…
 
 「い、いや、なんでもないよ!」

 「ならいいけど…」

 美月は少し心配そうな表情を見せたものの、自分の席に向かっていった。
 なんていい友人を持ったんだろう!ありがと、ごめんね。
 と、どこかの大罪司教みたいなことを思っていると、教室の入り口に六花らしき人物を発見した。
 
 「もしかして…」

 今日は六花と一緒に登校しなかったため、まだどのクラスなのか知らない。
 でも、俺のその予想は見事に的中し、

 「え?!隼人も同じクラス?」

 「うん、そうだね。」

 「やったぁ!また一緒だね!」

 「うん、そうだね。」

 まだ六花だけならいいんだが、亜美も同じクラスだったらもう俺の手には負えません!
 なんて思っているときに限って予想が的中しちゃうから神様も意地悪だよね!
 もう神様なんて信じない!

 それから時間は過ぎ、放課後の部室。
 
 「なんで、あんたがまた一緒のクラスなの?!」

 「それはこっちのセリフよ!」

 六花と亜美がいつも通りに争っていた。
 その争いを止めようと、水姫が間に入る。

 「まぁまぁ、2人とも落ち着きましょ!」

 すると、六花と亜美の口論は一瞬止まり、

 「「あんたが言うな!泥棒猫!」」

 と、口をそろえて言った。

 「うぅ……2人とも酷い…」

 そして、水姫は涙目になりながらそう言うと、俺に抱き着いてきて、

 「慰めて…?」

 と、上目遣いでそう言った。
 それを見た六花と亜美はさらに激怒。
 俺までもがまき沿いで罵声を浴びることとなり、

 「やれやれ…」
 
 美月はその光景を見て、肩を竦めたのだった。
 …あ。忘れてた。
 ちなみに奈々と瑠璃も同じクラスになったんだった。
 でも、今この現場…というか修羅場とかした部室には来ていない。
 あいつらとは最近あまり交流がないけど何してんだろ?

 「「隼人!話聞いてんの?!」

 「はい!聞いてます聞いてます!」
 
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