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プロローグ
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ある日の夜。
俺は夕食を買いに自宅付近のコンビニを訪れていた。
店内に入ると、まだ春だというのに冷房が効いてて肌寒い。
身震いをしながらも適当に選んだハンバーグ弁当とペットボトルのお茶をレジに持っていく。
会計を済ませ、弁当を温めてもらっている間、出入口の方から仲睦まじい親子三人が店内に入ってきた。
母親と父親、子ども。
その親子の様子を見ると、どうやら夕食を買いに来たらしい。
一人暮らしならともかく、家族で夕食がコンビニ弁当はどうかと思ったが、俺はきっと羨ましがってたのかもしれない。
俺の家族は一年前飛行機の墜落事故で死んだ。
母、父、妹、祖父母全員一瞬にしていなくなった。
――……俺だけが生き残ってしまった……。
◆❖◇◇❖◆
コンビニを出て、自宅まで歩いている時。
後ろから一台の中型トラックが近づいてきた。
俺は気にもせず、歩いていたが、誰かが「危ない!」と叫んだ。
――なんなんだ?
俺は首だけを後ろに向けると……先ほどの中型トラックが手を伸ばせば届く距離まで来ていた。
その瞬間、世界がゆっくり動いているように見えた。
――ああ、もう死ぬのか。この17年間、桜坂優希の人生終わるのか。
俺はゆっくり目を閉じた。
次に目を開ける時は奇跡的に助かり、病院のベッドの上か死後の世界か。
でも、どう考えたって助かるはずもないよな。
「桜坂優希よ……」
俺の名前を呼ぶ声がした。
目を閉じているから目の前はもちろん真っ暗である。
「桜坂優希……目を開けんか」
そう言われ、目を少しずつ開けていくと、澄み切った青空が広がっていた。
どうやら仰向けで寝ている状態らしく、身を起こすと当たり一面草原が広がっている。
「ここは……どこだ?」
見覚えのない土地。
何より俺の名前を呼んだであろう人物はどこにもいなかった。
ただ……声だけが聞こえる。
「ここは……知らん」
「は?」
「すまんの。神様のワシでも歳が歳だから物忘れが酷くてな」
ドン引きした。
神様にも人間と同じく老化現象があるとは……。
「そ、それより俺は死んだのか?」
「いや、死んではおらんよ。桜坂優希にはこの異世界で勇者になってもらう」
「ちょ、ちょっーと待て!」
話がいきなり急展開したから全然意味が分からない。
このジジイ……いや、神様何言ってんだ?
「心配せんでもよろしい。技は使えるようにしてある」
「技?」
「うむ。日本にいた時、中二病っていう病にかかっておったじゃろ?」
「……ああ」
俺のザ・黒歴史。
あれのせいで中学の時は友だちが一人また一人とだんだん減っていった。
ようするに「あいつと関わるとやべぇ」とかなんとかあったのだろう。
「その技現実で使えるぞ?」
マジか。
なら、やるほかない。
俺は中二病時代の思い出したくないことを無理やり思い出し身構えた。
「全てを焼き尽くす魔剣!レーヴァテイン!」
その瞬間、俺の手にレーヴァテインが顕現した。
光を全て闇に変えてしまいそうな雰囲気を放っている。
「……桜坂優希。お主……勇者だぞ?」
「知ってます」
「なら、なぜ魔剣なんじゃ?普通は聖剣じゃろ?」
言われてみれば、たしかにそうだ。
世界を救う、魔物をやっつける勇者が魔剣を使っているとか聞いたことがない。
でも、これは仕方がない。
「俺……このレーヴァテインしか知らないんです」
中学の時、かっこいい剣がないか調べた時があった。
その時、すぐにこのレーヴァテインを見つけたもんだから他の剣とか知らん。
「はぁ……まぁ、よかろう。せいぜい頑張るんじゃぞぉ」
その後声は聞こえなかった。
聞こえるのは風に吹かれ、草が揺れる音だけ。
とりあえず、俺は歩くことにした。
「あ。これもここに来てたのか」
俺のすぐ近くを見ると、コンビニの袋があった。
中身を確認すると……ぐちゃぐちゃだが、食えないことはない。
ひとまず腹ごしらえしてから行くとするか。
俺は夕食を買いに自宅付近のコンビニを訪れていた。
店内に入ると、まだ春だというのに冷房が効いてて肌寒い。
身震いをしながらも適当に選んだハンバーグ弁当とペットボトルのお茶をレジに持っていく。
会計を済ませ、弁当を温めてもらっている間、出入口の方から仲睦まじい親子三人が店内に入ってきた。
母親と父親、子ども。
その親子の様子を見ると、どうやら夕食を買いに来たらしい。
一人暮らしならともかく、家族で夕食がコンビニ弁当はどうかと思ったが、俺はきっと羨ましがってたのかもしれない。
俺の家族は一年前飛行機の墜落事故で死んだ。
母、父、妹、祖父母全員一瞬にしていなくなった。
――……俺だけが生き残ってしまった……。
◆❖◇◇❖◆
コンビニを出て、自宅まで歩いている時。
後ろから一台の中型トラックが近づいてきた。
俺は気にもせず、歩いていたが、誰かが「危ない!」と叫んだ。
――なんなんだ?
俺は首だけを後ろに向けると……先ほどの中型トラックが手を伸ばせば届く距離まで来ていた。
その瞬間、世界がゆっくり動いているように見えた。
――ああ、もう死ぬのか。この17年間、桜坂優希の人生終わるのか。
俺はゆっくり目を閉じた。
次に目を開ける時は奇跡的に助かり、病院のベッドの上か死後の世界か。
でも、どう考えたって助かるはずもないよな。
「桜坂優希よ……」
俺の名前を呼ぶ声がした。
目を閉じているから目の前はもちろん真っ暗である。
「桜坂優希……目を開けんか」
そう言われ、目を少しずつ開けていくと、澄み切った青空が広がっていた。
どうやら仰向けで寝ている状態らしく、身を起こすと当たり一面草原が広がっている。
「ここは……どこだ?」
見覚えのない土地。
何より俺の名前を呼んだであろう人物はどこにもいなかった。
ただ……声だけが聞こえる。
「ここは……知らん」
「は?」
「すまんの。神様のワシでも歳が歳だから物忘れが酷くてな」
ドン引きした。
神様にも人間と同じく老化現象があるとは……。
「そ、それより俺は死んだのか?」
「いや、死んではおらんよ。桜坂優希にはこの異世界で勇者になってもらう」
「ちょ、ちょっーと待て!」
話がいきなり急展開したから全然意味が分からない。
このジジイ……いや、神様何言ってんだ?
「心配せんでもよろしい。技は使えるようにしてある」
「技?」
「うむ。日本にいた時、中二病っていう病にかかっておったじゃろ?」
「……ああ」
俺のザ・黒歴史。
あれのせいで中学の時は友だちが一人また一人とだんだん減っていった。
ようするに「あいつと関わるとやべぇ」とかなんとかあったのだろう。
「その技現実で使えるぞ?」
マジか。
なら、やるほかない。
俺は中二病時代の思い出したくないことを無理やり思い出し身構えた。
「全てを焼き尽くす魔剣!レーヴァテイン!」
その瞬間、俺の手にレーヴァテインが顕現した。
光を全て闇に変えてしまいそうな雰囲気を放っている。
「……桜坂優希。お主……勇者だぞ?」
「知ってます」
「なら、なぜ魔剣なんじゃ?普通は聖剣じゃろ?」
言われてみれば、たしかにそうだ。
世界を救う、魔物をやっつける勇者が魔剣を使っているとか聞いたことがない。
でも、これは仕方がない。
「俺……このレーヴァテインしか知らないんです」
中学の時、かっこいい剣がないか調べた時があった。
その時、すぐにこのレーヴァテインを見つけたもんだから他の剣とか知らん。
「はぁ……まぁ、よかろう。せいぜい頑張るんじゃぞぉ」
その後声は聞こえなかった。
聞こえるのは風に吹かれ、草が揺れる音だけ。
とりあえず、俺は歩くことにした。
「あ。これもここに来てたのか」
俺のすぐ近くを見ると、コンビニの袋があった。
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ひとまず腹ごしらえしてから行くとするか。
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