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鉱山開放、俺達貧乏
激昂する少年
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「アンタら一体どういうつもりだったんだッ!!」
大声を張り上げ、目の前の机に拳を叩きつける優馬。
怒りの矛先は、あの巨大なモンスターの存在を知りながら、伝えもせずに鉱石堀をさせていた村人達だ。
その中でも特に、表向きの依頼人である武器屋の店主に向けられている。
「済まなかった……。本当に、本当に……!」
「装備貰ってはしゃいでた俺がバカみてぇじゃねぇか!どう考えても、この装備でどうこうできる相手じゃなかったぞ!」
すでに優馬は真実を語られたあとだ。
あの巨大なムカデのモンスターに、村の鉱夫のほとんどが食い散らかされ、討伐に向かった者達も大半が死んだ、と。
「アンタらアレか?どこからともなく現れた風来坊なら、適当に挑ませて死んじまっても問題ない、倒せたら倒せたで万々歳、違うのか?」
「そんなつもりは我々には……!」
優馬の怒りは止まることを知らない。
元の世界でも、これほど彼が怒ることはなかったはずだ。
「それとも、俺達が死ねば俺達の荷物は所有者が居なくなる。それが狙いだったのか!?」
「違う!我々は、決してそんな――」
その時、鈍い衝突音と共に、優馬が大きく頭を下げた。
否、衝撃で頭を下げさせられた。
「言いすぎですよ、ユーマくん。この人たちが、そんな最低なことするわけないじゃないですか」
エルの手には、『大和魂注入棒』と書かれた木材が握られていた。
かつて大日本帝国の時代、私的制裁用に利用されていたそれは、本来であれば失態の責任として振るわれるものだ。
もちろん、今の自衛隊等では廃止されているので、使用は許されない。
「っ……てぇな、エルぅぅ……!」
後頭部を押さえながら睨み付ける優馬の尻を、エルは遠慮することなくバシリと叩く。
「ア゛ァッッッガッッッ!」
正直、村人達は引いていた。
「よく聞いてください、ユーマくん。村の人たちは、確かにあのモンスターによって甚大な被害を受けています。でも、だからと言ってユーマくんや私を人柱にしようだなんて思ってませんよ」
「し、信じられるか……そんなこと……」
バシリッ。
使用は許されないはずだ。
「最後まで聞きましょう。……ユーマくんに恨まれたところでどうってことないので言っちゃいますが、鉱石堀の名目で鉱山に向かわせたのは、私の指図です」
「な……にぃ……?」
二度も叩かれた尻をさすりながら、どうとも形容しがたい目でエルを睨んでいる優馬。
その涙は、告げられた事実ゆえか、肉体の痛みゆえか。
「ユーマくんにはもっと強くなって貰わなければいけないので、この村で一番求められている肉体労働をやって貰いました。もちろん、最終目的はあの巨大ムカデの討伐ですが」
「俺に……俵藤太になれってのか……?」
「早い話がそう言うことです」
「ふざけんな!俺がそんな英雄になれるわけが――」
バシィンッ。
「やめてっ!ケツが割れる!!」
尻は元より割れている。
使用は許されないはずだが、ここでは彼女がルールだ。
怒気を含んだ真顔のまま、エルは優馬の胸ぐらを掴み上げた。
「甘えたこと言ってんじゃねぇぞ。魔王を倒せって言われてるヤツが、あんな虫けら相手にイモ引いてんじゃねぇよ」
「そうはいったって……!お前だって叫びながら逃げ出す相手じゃねぇか……!」
「不意打ち食らわなければ余裕で勝てますよあんなの。ナメてんですか、私を」
村人達は、ぶっちゃけ女の子の方で全然構わないから、倒せるならさっさと倒してくれないかな、などと思っているが、ここでは彼女がルールだ。
「魔王を倒せるくらいになってもらうには、そろそろアレくらいのモンスターを倒して貰わなきゃ困るんですよ。別に、真正面からバカ正直にプロレスやってこいなんて言いませんけど、どうあってもユーマくんに倒してもらいます」
「……断ったら?」
「やるというまで、大和魂を注入――」
「誠心誠意やらせていただきます」
こうして、優馬は気持ちを新たに特訓と労働に励むこととなった。
目指すは英雄、俵藤太の再現だ。
大声を張り上げ、目の前の机に拳を叩きつける優馬。
怒りの矛先は、あの巨大なモンスターの存在を知りながら、伝えもせずに鉱石堀をさせていた村人達だ。
その中でも特に、表向きの依頼人である武器屋の店主に向けられている。
「済まなかった……。本当に、本当に……!」
「装備貰ってはしゃいでた俺がバカみてぇじゃねぇか!どう考えても、この装備でどうこうできる相手じゃなかったぞ!」
すでに優馬は真実を語られたあとだ。
あの巨大なムカデのモンスターに、村の鉱夫のほとんどが食い散らかされ、討伐に向かった者達も大半が死んだ、と。
「アンタらアレか?どこからともなく現れた風来坊なら、適当に挑ませて死んじまっても問題ない、倒せたら倒せたで万々歳、違うのか?」
「そんなつもりは我々には……!」
優馬の怒りは止まることを知らない。
元の世界でも、これほど彼が怒ることはなかったはずだ。
「それとも、俺達が死ねば俺達の荷物は所有者が居なくなる。それが狙いだったのか!?」
「違う!我々は、決してそんな――」
その時、鈍い衝突音と共に、優馬が大きく頭を下げた。
否、衝撃で頭を下げさせられた。
「言いすぎですよ、ユーマくん。この人たちが、そんな最低なことするわけないじゃないですか」
エルの手には、『大和魂注入棒』と書かれた木材が握られていた。
かつて大日本帝国の時代、私的制裁用に利用されていたそれは、本来であれば失態の責任として振るわれるものだ。
もちろん、今の自衛隊等では廃止されているので、使用は許されない。
「っ……てぇな、エルぅぅ……!」
後頭部を押さえながら睨み付ける優馬の尻を、エルは遠慮することなくバシリと叩く。
「ア゛ァッッッガッッッ!」
正直、村人達は引いていた。
「よく聞いてください、ユーマくん。村の人たちは、確かにあのモンスターによって甚大な被害を受けています。でも、だからと言ってユーマくんや私を人柱にしようだなんて思ってませんよ」
「し、信じられるか……そんなこと……」
バシリッ。
使用は許されないはずだ。
「最後まで聞きましょう。……ユーマくんに恨まれたところでどうってことないので言っちゃいますが、鉱石堀の名目で鉱山に向かわせたのは、私の指図です」
「な……にぃ……?」
二度も叩かれた尻をさすりながら、どうとも形容しがたい目でエルを睨んでいる優馬。
その涙は、告げられた事実ゆえか、肉体の痛みゆえか。
「ユーマくんにはもっと強くなって貰わなければいけないので、この村で一番求められている肉体労働をやって貰いました。もちろん、最終目的はあの巨大ムカデの討伐ですが」
「俺に……俵藤太になれってのか……?」
「早い話がそう言うことです」
「ふざけんな!俺がそんな英雄になれるわけが――」
バシィンッ。
「やめてっ!ケツが割れる!!」
尻は元より割れている。
使用は許されないはずだが、ここでは彼女がルールだ。
怒気を含んだ真顔のまま、エルは優馬の胸ぐらを掴み上げた。
「甘えたこと言ってんじゃねぇぞ。魔王を倒せって言われてるヤツが、あんな虫けら相手にイモ引いてんじゃねぇよ」
「そうはいったって……!お前だって叫びながら逃げ出す相手じゃねぇか……!」
「不意打ち食らわなければ余裕で勝てますよあんなの。ナメてんですか、私を」
村人達は、ぶっちゃけ女の子の方で全然構わないから、倒せるならさっさと倒してくれないかな、などと思っているが、ここでは彼女がルールだ。
「魔王を倒せるくらいになってもらうには、そろそろアレくらいのモンスターを倒して貰わなきゃ困るんですよ。別に、真正面からバカ正直にプロレスやってこいなんて言いませんけど、どうあってもユーマくんに倒してもらいます」
「……断ったら?」
「やるというまで、大和魂を注入――」
「誠心誠意やらせていただきます」
こうして、優馬は気持ちを新たに特訓と労働に励むこととなった。
目指すは英雄、俵藤太の再現だ。
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