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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
神聖リディシア城 ④
しおりを挟むどのぐらい経っただろうか…よく分からずに突然、城の前で女騎士に怒られ捕まり、牢屋にぶち込まれてから。時間が分からない。外の景色は見えないし、ポケットに入ったスマホを取り出すには、俺の手を封じる手枷をどうにかしなければならない。全く、異世界に来てから良い事がない。まぁ、元の世界でも良い事なんてなかったけど。
「っと、自虐はこんくらいにして、マジでどうしてこうなった?」
女騎士に蹴られてそのまま転がっていた状態からなんとか起き上がり、胡座をかいて首を傾げる。生まれてこの方、悪事に手を染めたことはない。そういうことをするやつは『人間のクズ』と父から教えられたし、そんなことする理由がない。生活面は両親に負担してもらっている。だから、俺が金に困ることは無い。という訳で悪事で捕まったというのは除外。じゃあ、なんで牢屋にぶち込まれたのか。そんなこと、俺が知りたい。確かに逃げたのは悪かったかもしれない。でも、怖いものは怖いのだ。誰だって、鬼気迫る表情でこちらへ人が向かってきたら逃げるに決まってる。
「はぁ…元の世界に帰りたい」
正直、元の世界に帰っても楽しいことは無いのだが、こんな世界よりはマシだ。勇者を導く『導き手』にさせられるわ。チンピラに殺されかけるわ。女騎士に捕まって牢屋にぶち込まれるわ。元の世界より良いことの無いクソッタレな世界で、死ぬか、世界を救うか、までこのままなんてゴメンだ。そもそもなんで俺が喚び出されたんだ。自分で言うのもなんだが、RPGに出てくるスライムより弱い自信があるぞ。
「もう…辛い」
俺は体育座りで壁にもたれ掛かり、涙を流した。ここまで理不尽な目に会うと、さすがにメンタルだけは強い俺でも泣くよ。だって何もしてないのに罪人扱いだぞ。酷いよ…。
と、シクシク泣いていると、俺の耳にカツンカツンという靴で石階段を叩く音が聞こえた。その音は徐々に大きくなっていく。
「・・・?」
俺は涙を拭い音のする方に視線をむける。甲高い音が鳴り響き、やがてその音を出していた誰かの姿が現れた。
綺麗な長い金色の髪にクリスタルの様に透き通った蒼い瞳。体型はスレンダーというのが正解だろう。オシャレなドレスをみにつけたその姿は、大きなお城のお姫様といった印象を与えてくる。
「はじめまして。先程は私の騎士が失礼しました」
そのお姫様は柔らかな微笑を浮かべて、言葉を紡ぐ。俺は、アイドル顔負けの彼女の美貌に見惚れて、反応が少し遅れた。
「あ、いや。俺が城の前でウロウロしてたのが悪いし…あの女騎士は悪くない」
俺は頬をかき、苦笑する。すると、目の前のお姫様の瞳がとてつもない程の光を放った。因みに放ったというのは物理とかじゃなく、例えだ。まじで光放ったら、俺が死ぬ。
「あぁ、なんて心優しい寛大な心の持ち主なんでしょう!そんなあなたには是非とも、我が国が誇る最強の騎士団『六聖騎士団』に配属していただけませんか!?」
なんかすごいキラキラした表情で突然、見ず知らずの俺に勧誘を持ちかけてくるお姫様。
それに対し俺は--
・・・え?このお姫様、怖っ。
ただただ恐怖した。
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