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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
逆転主従契約 ①
しおりを挟む一旦、冷静になろう。まず扉を閉めて、そして深呼吸しよう。うん、あれは見間違い。きっと疲れてるんだ。うん、そうに違いない。
「すぅー、はぁー」
俺は大きく息を吸い、吐く。それを数回繰り返して、ドアノブを回し扉を開ける。ギィーと音がなり、部屋の中が映し出される。
「待っていましたよ、ア」
俺は即座に扉を閉めた。おっかしいなぁ、幻聴が聞こえるぞ~?
「HAHAHA、ほんと疲れてるなぁ、俺」
扉を開け、
「待っていま」
再び、扉を閉める。
「・・・うーん?」
俺は冷や汗をダラダラ流しながら、首を傾げ、三度、扉を開けると、
「待っていましたよ?アクツ・エイタさん?」
すぐそこに微笑みを絶やさないお姫様が立っていた。俺はあまりの怖さに扉を閉めようとしたが、閉まらない。否、お姫様が閉められないように抵抗しているのだ。
「ちょ、お前! ドアノブから手を離せ!」
「ふふふ、そう言うあなたこそドアノブから手を離してください」
そう叫ぶ俺に、お姫様は微笑みを絶やさず告げる。
「ふ、ふざけんな!お前が手を離せばそれで解決だろうがっ!」
「いいえ、あなたが手を離せば解決です」
「こ、この、くそ女ぁ!」
「…くそ女? ふふふ、笑えない冗談ですね、ヘタレ男さん?」
罵詈雑言を放つと、それよりも鋭い口撃が俺の心にクリティカルヒットした。その一瞬の隙をお姫様は狙い、俺の手を掴み部屋の中へと引きずり込んだ。
「のわぁ!?」
お姫様に軽々と投げられた俺は床に転がり落ちる。痛む背中を擦りながら立ち上がると、ガチャリと鍵をかける音がした。
「おまっ!? 」
「これで貴方に逃げ場はありません。さぁ、私と契約の儀を!! 大丈夫です、痛くしませんから」
お姫様はそう微笑んで、自身の右手の甲をさすった。すると、手の甲に白光を帯びた交差する剣の紋様が浮かび上がった。それに伴い、俺を白光が包み込む。
「・・・痛っ!? 」
俺は白光から出ようとしたが、白光に触れた瞬間、焼けるような痛みが右胸を襲った。正しくいえば、
あのガキの命と俺の命を繋ぐ【契約命鎖】とかいう痣がだ。
ただ、叫ぶほどの痛みではない。
「代々神聖リディシア王国の王と契約を結びし
剣竜【アグラスド・ヴェイン】よ。
我、レティリア・ミラドウェルの声に応じ、契約の剣をこの手に」
レティリア・ミラドウェルと名乗るお姫様が、意味不明な呪文を唱えた。すると、お姫様が開いた右手に1振りの豪奢な装飾がされた剣が姿を現した。
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