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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
王との謁見 ③
しおりを挟むえぐれた床。肌を突き刺すような威圧。少しでも気を抜けば瞬く間に恐怖に心を支配されるこの状況。それを目の前に俺は必死に耐えていた。今すぐにでもこの場から逃げ出したい。こんな息が詰まりそうな程、恐ろしい場所に一分一秒もいたくない。ただ、それでもここにいるのは、単純に迷子になるからだ。この城の構造を知らない俺では、この部屋を出た所で迷うだけだ。それに自分で言うのもなんだが、こんな格好をして城内を歩いてたら、不審者扱いされて捕まる自信がある。
「どうする? まだやるかい?」
リンゲルは余裕そうに、神使徒に尋ねる。それに対し、顔面が床にめり込んだ状態の神使徒は、
『け・・・【剣神ディセルヘリアズ】の使徒が命ず。愚かで醜い人間を刺し穿つ殺意の剣を此処に--【天獄剣・『絶』】』
小さな声でそう唱えた。瞬間、リンゲルの周囲に無数の剣が出現し、放たれた。その剣達は一本一本、とんでもないほどの殺意を纏っている。並の人間では避けられないであろう攻撃。しかし--リンゲルは違った。
「【剣神ディセルヘリアズ】の剣神魔法…。やれやれ、数千年前にも言ったけど、君のように未熟な神使徒がその魔法を使うのはまだ早いよ」
彼はそう告げた後、自身に向かって放たれた剣達に視線を向け--
「【無殺泡域】」
そう呟く。すると、リンゲルの周囲約1メートル範囲の場所に虹色の泡状障壁が現れた。そして、彼に向けられていた殺意の剣達が障壁に触れた瞬間、泡となり消える。1本、また1本と泡となる。
「これが本当の魔法だよ、【アグラスド・ヴェイン】」
神使徒の魔法を容易く無効化したリンゲルは、神使徒にとって酷く悲痛であろう残酷な言葉を突きつけた。
「そして、これが真の剣神魔法」
リンゲルは右の掌を前に出し、
【剣神ディセルヘリアズ】に賢者が命ず。汝の力は我が力。神の力をもって、彼に一時の夢を与えたまえ--【天葬剣・『夢』】」
そう唱える。そして現れたのは数千本の虹色の光を放つ剣達。神使徒の放った殺意のこもった剣達とは違い、彼が出した剣達には殺意がこもっていない。代わりに篭もっているのは【安らぎ】。
「少し眠ると良いよ、【アグラスド・ヴェイン】」
その一言を最後に、【安らぎ】を与える剣達が、神使徒に突き刺さった。
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