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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
【冷眼の貴公子】ミレル・トランバレト ②
しおりを挟むトールティンデア帝国にある【戦神闘技場】に似た闘技場。そこは試練の場ではなく、選ばられた僕がゼノに恐怖を刻むために用意された場。
『 何処からでもかかってくるといいよ、お子ちゃま』
ゼノは馬鹿にするように笑って、僕を手招きする。僕を煽っているつもりなのだろうが、【劣等種】の言葉に感情が揺らぐわけがない。
「大した余裕だが、武器くらいは出した方がいいと思うが? 【劣等種】」
【武器生成】で生み出した剣を持たない方の手でメガネを押し上げる。
『そんな子供のおもちゃを相手に武器なんて可哀想だろう? 大人気ないじゃないか』
ゼノは相変わらず小馬鹿にするように答える。 僕はため息をつく。ここまで馬鹿な【劣等種】は初めて見た。
「遺言はそれだけで充分か? 【劣等種】」
『ははは、君こそ負けた時の為に言い訳を考えておくといいよ』
「ふん、つまらん戯れ言だ。僕が負けるわけがないというのに」
『ふーん。じゃあ、私から行かしてもらいますね!』
そう言うと共に、ゼノの姿が消えた。
…瞬間移動と言ったところか。
「【劣等種】にしてはやるが--僕には届かない」
僕は地を踏みしめ右上へと軽く跳んだ。すると、自分が先程までいた所を、気味の悪い黒いモヤを纏った掌が通り過ぎた。
『へぇ。よく避けたねえ』
攻撃を避けられたゼノは相変わらず小馬鹿にするように告げ、笑った。
「当然だ。【劣等種】如きに傷をつけられる僕ではない」
『そのすまし顔がいつ崩れるか、今からとても楽しみだよ』
再び、瞬間移動に似た歩術で消えるゼノ。並の人間では眼が追いつかないだろう。まぁ、それも当たり前だ。【劣等種】なのだから。それに比べて僕は選ばれし人間だ。この程度の速さなんて、あくびしても見れる。
「はぁ、つまらない」
剣を横へと振るう。途端、金属と金属がぶつかり合う耳障りな音が響く。
…遅すぎる。これが神の力と言うなら、審判神も大したことないな。
『って思ってるみたいだけどさ。まさか、これが本気だとでも思ってたの? それだったら、君はやっぱりお子ちゃまだよ』
剣で防いだのとは逆の方からゼノの声が聞こえ、脇腹に鋭く重い一撃が叩きつけられた。始まる前に【肉体強化】を掛けておかなければ致命傷となる一撃。 しかし、それは【劣等種】の考えだ。
「【幻霧体】」
ゼノの背後で僕は告げる。
『偽物かぁ、やられたよ』
ゼノが攻撃したのは【幻霧体】で作った僕の偽物。【劣等種】の攻撃が当たる寸前に唱えておいたのだ。
「今度はこちらの番だ、【劣等種】」
【瞬技絶剣】と言う剣術書の中に記された上級剣術を使用する。この剣術は、0.5秒間に十連撃を繰り出す技。普通で剣術訓練を3年かけてやっと使えるかどうかの技。しかし、僕は一回見ただけでモノにした。
『【瞬技空閃】』
「・・・!?」
微かに聞こえたゼノの言葉。それは僕が使用した剣術のさらに上、超級剣術【瞬技空閃】。0.5秒間に百連撃を繰り出せる技。その技が頭の中に浮かんだ時には、防ぐのは間に合わず、全身をとてつもない痛みが襲った。
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