転生した俺、弱虫勇者の保護者(えいゆう)になりました

雪鵠夕璃

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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

先代導き手と勇者が刻みしページ ①

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目を開けると、俺の血で全身を染めたエルケイスと、リンゲルがこちらを見つめていた。 その二人を見て、先程の出来事が俺の頭を過り、盛大に吐いた。汚いとかそんなこと言ってる場合じゃない。1度しか味わえない【死】をこの体で受けたのだから。

『・・・汚い』

「ははは、無理もないよ。あんな事、僕でも味わうことの出来ない体験なんだからさ」

吐いた理由を作ったのがコイツらだというのに、反省なんてこれっぽっちもしていない。神と賢者だって言うし、長く生きすぎてそういう感情が薄れたのか? 

ふざけんな!

怒りしかこいつらに湧かない。

『怒りを感じるのは構わないけど、行動に移すのはやめた方がいい。それにだ、選択を間違えたのはお前で、僕らじゃない』

「悪いけど、エルの言う通りだよ、アクツ君。それに僕らが君に怒りを向けられる理由がない。だって、導き手を降りると言ったのは君だ。要するに、自業自得ってやつさ」

2人のめちゃくちゃな発言に俺は絶句する。いや、呆れるしかなかった。こいつらはバカだ。自分が世界の中心だと勘違いしてる大馬鹿者だ。こんなヤツらが神と賢者? 向いてねえから、早くその座を降りてくれ。

『何度言えば、学ぶんだ?異人』

「これでも数千年生きてるからねえ。あまり調子に乗らない方がいいよ、クソガキ」

エルケイスとリンゲルはそう言うと共に、魔法を放ち、俺を脅す。背後の壁にクレーターが生まれた。いつでもお前なんて殺せると言わんばかりの一撃。俺はゴクリと生唾を飲み込む。

『それで、異人よ。 貴様が死ななければ他の導き手が喚べないと話したのは覚えてるか?』

「あぁ、その件なら俺は導き手を降りない」

『まぁ、先程と言葉は変わらぬだろうな…、って、おい。今、なんて言った?異人』

「導き手を降りないって言ったんだよ。俺は2度も死を味わいたくない。それに俺が死なないとわかった以上、何度殺しても無駄だって、アンタらも理解したろ?」

意外な発言だったのか、しばしの沈黙が生まれる。最初にそれを破ったのはリンゲル。

「突然、心境を変えてどうしたんだい?なにか目的でも出来たのかい?」

「いや、目的はねえよ。ただ死にたくないだけだ。俺、痛いの嫌いだし」

こういうのは諦めが肝心だ。断った所でまたこいつらに殺されるだけで、話が先に進まない。単なる時間の無駄遣いだ。本題をさっさと終わらせて、玉座の間に戻らなければ。というのも試練でシエラが死ねば俺も死ぬからだ。その死が生き返る条件に入るか定かではない以上、そんな無駄なことは出来ない。

『ふん。ならば仕方ない。本当は貴様なんぞに導き手の役目を託すのは気に食わないがいいだろう。その役目に恥じぬようにしろよ、異人』

「あぁ、身の丈に合う事だけは頑張ってみるさ。後のことは勇者アイツら頼りだけどな」

『・・・ヘタレな奴だ』

エルケイスは俺にそう罵った後、リンゲルにあとを任せ姿を消した。残された俺とリンゲル。

「それじゃあ、ここからは数千年以上を生きる僕が先代の導き手と勇者の運命の結末について語るとしよう」

リンゲルはそう言って右手に喚びだした杖を振ると、俺を淡い白い光が覆い、次に俺の視界に映ったのは、

「・・・は?」

太陽を覆い尽くした黒雲と白雷、そしてそんな空を飛翔する無数の竜だった。

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