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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
二人の悪魔は庭園で嗤う ①
しおりを挟む神聖リディシア城内で始まったひとつの戦いと同時刻。場所は城外にある庭園。美しい花々に囲まれた中央に建つ小さな建物。お金持ちが花を愛でながらお茶会をするのに使う建造物。そこに設置された白い椅子に腰を下ろす瓜二つの少女が二人、机の中心に置かれたクッキーをつまんでいた。
「ん~、ここのクッキーはアイツが作るゲロマズクッキーより美味しいわ♪ そう思わない?姉様」
「えぇ、そうね。ただ残念なのは・・・この状況かしら」
姉様と呼ばれた薄水色の髪で右眼を隠した少女は、自分達を囲む花々--ではなく、銀色の鎧を纏う騎士達をゆっくりと見渡して呟く。彼等の鎧の右胸部分、そこには神聖リディシア王国の騎士を示す賢者の杖と世界神の剣が刻まれている。その騎士達の奥から二人の騎士が姿を現す。ほかの騎士達とは違う暴力的で破壊的な強者の威圧。それもそのはず、彼らは--
「待ってたわよ。【六聖騎士団】団長:ラージェイド・イル・ミーゼネルアと、副団長:シェルエ・ミア・キージェント」
姉様と呼ばれる少女はその強者の名を告げた。名を呼ばれた二人の騎士は兜を外し、素顔を見せる。
「久しいな、セリナとセリア。貴様らとこうして顔を合わせるのは十年前の【アウセリオ戦争】以来か?」
右眼に刀傷を持つ強面の男、ラージェイドは微かに瞳に憎悪の炎を宿らせながら口を開く。
「そうえばそうね。懐かしいわぁ♪ 貴方の大切な恋人が亡くなった戦争。 あれは本当に興奮したわぁ♪」
姉様と呼ばれる少女、セリナは自身の体を抱き、昔のことを思い出したのか頬を朱に染める。
それはラージェイドにとって禁句とも言える言葉。
「貴様ァ!!ソレをお前が言うのか!? 団長の前で恋人を殺した貴様が!!」
そう怒鳴るのは、ラージェイドの傍らに立つ美しいブロンド髪の女性、シェルエだ。彼女もラージェイドと同じで【アウセリオ戦争】に参加していた。 あの戦争は神聖リディシア王国に得はなかった。ただただ失うだけの最悪な戦争。
その【アウセリオ戦争】で勝利し、彼らから全てを奪った相手--それこそが、
「ねぇ、姉様。ここで無駄話してるとアイツにグチグチ文句言われるわ。早く片付けましょうよ」
手に付いたクッキーの粉を払って、椅子から立ち上がる薄水色髪で左眼を隠した少女、セリアと、
「えぇ、それもそうね。という訳で、久々の再会で申し訳ないけど、お別れの時間よ。ラージェイドとシェルエ」
薄水色髪で右眼を隠した少女、セリナ。
通称、【呪双悪娘】と呼ばれる双子だ。
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