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第一章:神聖リディシア王国襲撃編
リレウ・アンティエール ①
しおりを挟む【奇跡剣アロンフェグラル】、この剣は神剣の下位互換である聖剣と呼ばれる代物だ。聖剣というモノは、神剣と同じで剣が持ち主を選ぶ。その剣に選ばれた者は大体が【奇跡】・【救済】・【光】を求める人間だ。ただ、聖剣は神剣と違い一つだけ違うところがある。
それは、選ばれてなくても扱える点だ。
そこで疑問を抱くと思うが、『なら、選ぶ必要は無いのでは?』と。確かにそう考えるのが当たり前だ。しかし、選ばれた者にしか聖剣の真の力を発揮することは出来ない。
そして、彼女、リレウ・アンティエールは聖剣に選ばれた一人。 彼女が求めたのは、どんな理不尽をも覆してくれる【奇跡】。その想いは誰よりも根強くリレウの心に存在していた。狂気とも呼べるほどに彼女は【奇跡】を求めていた。
というのも、彼女は治る事の無い病を抱えていた。その病の名前は【蝕病】。十年に一度、半魔半人族の少女に宿ると言われる謎の病。その病に侵されていたリレウは孤独だった。日に日に全身を蝕む赤黒い痣に誰もが気味悪がった。唯一の肉親でさえも彼女を捨てた。
それが6才の出来事。
6才の少女が毎日を生きるには盗み以外に選択肢はなかった。毎日毎日、食べ物を盗んだ。飲み物を盗んだ。偶に毛布といった生活品を盗んだ。盗んで盗んで盗みまくって、やがて彼女の心を闇が支配した。日に日に増す世界への憎しみ。その憎しみは止まることを知らず、ついに、彼女は人を殺めた。
初めて殺したのは両親。
そして、友人。村の人達。
自分を『化け物』と忌み嫌った者達に復讐した。
それが17才の出来事。
生き延びるために『盗み』・『殺害』を行ってきたリレウだったが、どこか心の片隅でスッキリしないモヤモヤが存在していた。そのモヤモヤが何なのか分からなくて、でも生き延びるためには罪を犯すしかない。そんな意味のわからない感情にリレウは耐えきれなくなり、死に場所を探すようになった。
そんなある日、彼女の運命を変える人間が現れた。
それが、レティリア・ミラドウェル。
彼女はリレウと違い、恵まれた健康な体と家族、友人がいた。何もかもが恵まれていた。そんな彼女と真逆なリレウが出会ったのは、国王がレティリアの為に開いたパーティーの会場に盗みに入った時だ。宝物庫を探して歩いていたリレウに彼女は突然話しかけてきた。
「ねぇ、そこのお嬢さん。そちらはお父様が行っては行けないと言ってたわ」
綺麗な声だった。私の様に醜く汚れた人間が聞くのはもったいないほどの。
「ねえ、私の声聞こえる?ねえー!」
うるさい。ほっといて。そんな苛立ちが心に湧く。
「ねえー!ねえってば!」
不意に手に温かい感触を感じ、
「っ触らないで!!」
その温もりを振り払った。『キャッ』と小さな少女の声が聞こえた。その声に罪悪感は湧いてこなかった。
「ねえ、待って!いきなり手を掴んできたら、誰でもそうなるわよね。ごめんなさい。私が愚かだったわ」
「・・・は?」
思わずそんな声が漏れた。でも、仕方ない。だって、こんな私に謝る人間がいるなんて思わなかったからだ。いつも腫れ物のように扱われてきたから意味がわからなかった。
「まずは自己紹介よね。えっと、初めまして。私は、神聖リディシア王国国王の娘、レティリア・ミラドウェルよ。よろしくね、お嬢さん」
まだ状況に追いつけていない私を放ったらかしにして、彼女は聞いてもいないのに自己紹介をした。
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