転生した俺、弱虫勇者の保護者(えいゆう)になりました

雪鵠夕璃

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第一章:神聖リディシア王国襲撃編

【神喰】と【書神】 ②

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神喰ソルグ】とは、『神を喰らう者』に与えられる称号と言われており、その称号は魔王に選ばれた一人の騎士しか名乗ることを許されない。そして現在そう名乗る騎士は、1人の青年。彼は、あらゆる武器を自身の血液から創成し、神の血肉を吸収する不思議な力を持っていた。行く所々で神を屠る彼を見てきた者達は口々に『【神喰】の悪魔』、【災厄の悪魔』と恐れていた。

その青年が【神喰】の騎士と呼ばれるようになったのは魔王に惚れられ、婚約者になった後だ。


彼にはとある目的があった。


それは--【全ての神を殺す事】。


そして、今、彼の前に憎き神の一体がいる。あの人を誑かした神の一体が。


「ルーシャ、こいつに手は出さないでね。君は邪魔が入らないように周囲の警戒をお願い」

「はっ!承知しました、【神喰】の騎士様」

ルーシャは返事をした後、【異界の間】を出る。それを確認した後、【神喰】の騎士は鎧を脱ぎ始めた。いきなりのストリップショーに呆けた顔をするミセレノ。だが、鎧の中から出てきたのは裸ではなく学院の制服。色んな国に学院は存在するが、神であるミセレノさえ見た事ない学院の服装だ。

『あぁ、そういう事ですか。貴方も彼と同じ異人いびとなんですね。通りで見た事のない服装に異人特有の髪色と瞳の色をしていると思いましたよ』

ミセレノは【異界文書レギナ・コード】とは別の本を召喚しながらそう告げる。

『ただ、おかしい点があります。【召喚指輪ルジェネ】は彼を召喚した際に機能を失った筈。何故、あなたは異界からこの世界に来れたのですか?』

「--へぇ、神にも分からない事ってあるんですね。やはり神ってのは完全の存在ではないということか。 あの子の言ってた通りだ」

【神喰】の騎士は自分が見聞きした情報に確信を得る。そして、自身の腕を思い切り爪で引き裂く。すると、当然のように血が噴出する。いきなりの自傷行為にミセレノは怪訝な表情を浮かべる。

「【血器形成けっきけいせい】、【血小刃けっしょうじん】・【れつ】」

そう彼が唱えると、腕から滴り落ちる血が形を変え始め、やがて一つ一つの小さな剣の刀身に変わり、ミセレノに向けて放たれた。その数、およそ五百。

『血を操る力・・・【操血そうけつ】と血から武器を創造する力【血器創けっきそう】。全く誰ですか、彼をこの世界に喚び出した召喚者バカは。よりにもよって、神殺しの武器【神血器】を唯一創り出せる者を呼び出してしまうとは』

ミセレノは呆れたため息をついた。しかし、それだけ。およそ五百もある【|血小刃】を避ける事も防ぐこともしない。戦いを知らない素人でも回避行動をする。それでもしないと言うことは、ただのバカか、見下しているかのどちらか。この場合、神であるミセレノは後者だろう。だが、それを確かめようはない。

しかし、その答えはすぐに明かされる。


縦横無尽に駆け襲いかかった【|血小刃】がミセレノにあたる瞬間、彼女を避けるように動き、背後の本棚へと直撃した。

「--!?」

その光景は【神喰】の騎士にとっては初めての事だった。何度も神と戦ってきたがこんな事は初めてだ。それに魔王から聞いた事だが、人界と魔界では神の強さが変わるらしい。というのも、人界の神は魔界の神と違い堕ちていないからだ。その為、世界神ユノグリアからの神力を色濃く受け取ることが可能になる。しかし、堕神ロストすると世界神ユノグリアから神力を受け取ることが不可能になる。オマケに堕神ロストをした神は罪人となり処分される為、魔界で息を潜めているのだ。ただ、魔界に潜むほとんどの神は【神喰】の騎士の手により葬られたが。

堕神ロストを葬ったからと言って、私のような聖神マリスに勝てると思ったのですか?自惚れるのもいい加減にするといい、異界の子よ』


その言葉に、その一言に、【神喰】の騎士は重力に襲われたかのように地面に叩きつけられた。なにかした訳では無い。ただ言葉を発しただけ。それだけでこの威力。先程までは言葉にここまでの圧は込められていなかった。

『あなた如きにはこれくらいの言霊で充分でしょう』

ミセレノはそう告げた後、【神への不敬な態度は死に値する。汝の血は蒸発し、肉は腐り落ちる】と唱え始める。そして--

『神の救いをあなたに』

その一言を最後に、ミセレノの持つ本の白紙のベージが輝き、そこから出てきたドロドロとした何かが【異界の間】を飲み込んだ。
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