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第五章 あの日の続きを、今
あの冬の続きを
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カフェを出たあと、ふたりは並んで歩いた。
静かな夜の公園。
ベンチに並んで座るふたりの間に、冬の風がそっと吹き抜けた。
街の灯りが遠くでまたたき、木々のざわめきが時折、言葉を探す沈黙をやさしく包む。
和真は、憧子の目を見つめたまま、ふっと息を吸い込むようにして、言葉を探した。
「……ずっと、言えなかったことがあるんだ」
憧子の心臓が、音を立てて鳴る。
「俺、あのとき――
あの高一の冬、ちゃんと向き合えなかった。
勝手に離れて、勝手に忘れようとして……でも、忘れられなかった。
ずっと、憧子が好きだった。
今でも、変わらずに」
凍えるような空気の中で、胸の奥がじんと熱くなる。
憧子は、そっと口を開いた。
「あのとき、言いかけた言葉……覚えてる?」
「……うん。ずっと、聞きたかった」
「私も、ずっと好きだったよ。
好きで、どうしようもなかった。
今でも……変わらないの。
ほんとは、別れたくなかったの。
でも、勇気がなくて、和真に
ちゃんと言えなかった…」
和真の手が、ゆっくりと憧子の手を包んだ。
それは、はじめてじゃないはずなのに――どこか新しくて、なつかしくて。
「……もう、一度、俺と……」
「うん。今度は、離さないでね」
「もう絶対、離さない」
そう言って、和真はゆっくり顔を上げて、憧子の瞳を見つめた。
そして、そっと唇を重ねた。
ぬくもりと、懐かしさと、これからのすべてを閉じ込めるように。
雪が、静かに舞い始めていた。
二人の時間が、ようやくまた動き出した瞬間だった。
やがて二人は、手をつないで和真のアパートへ向かった。
玄関を開けると、どこか緊張した空気が流れた。
でも、それは不安じゃなくて、確かめ合える喜びだった。
部屋に入ると、和真はもう一度、憧子を抱きしめた。
キスを重ね、指を絡め、静かに名前を呼び合いながら――
言葉にならない想いを、肌で、心で、確かめていった。
優しく、丁寧に、憧子の頬や首筋にキスを落とす和真。
憧子もまた、和真の手を取り、自分から寄り添っていく。
その夜、二人は、互いを深く、甘く、愛し合った。
途切れてしまったあの夏の続きを、ようやく取り戻すように。
――やっと言えた「好き」。
そして、やっと触れられたぬくもり。
冬の夜は、あたたかいぬくもりで満ちていた。
静かな夜の公園。
ベンチに並んで座るふたりの間に、冬の風がそっと吹き抜けた。
街の灯りが遠くでまたたき、木々のざわめきが時折、言葉を探す沈黙をやさしく包む。
和真は、憧子の目を見つめたまま、ふっと息を吸い込むようにして、言葉を探した。
「……ずっと、言えなかったことがあるんだ」
憧子の心臓が、音を立てて鳴る。
「俺、あのとき――
あの高一の冬、ちゃんと向き合えなかった。
勝手に離れて、勝手に忘れようとして……でも、忘れられなかった。
ずっと、憧子が好きだった。
今でも、変わらずに」
凍えるような空気の中で、胸の奥がじんと熱くなる。
憧子は、そっと口を開いた。
「あのとき、言いかけた言葉……覚えてる?」
「……うん。ずっと、聞きたかった」
「私も、ずっと好きだったよ。
好きで、どうしようもなかった。
今でも……変わらないの。
ほんとは、別れたくなかったの。
でも、勇気がなくて、和真に
ちゃんと言えなかった…」
和真の手が、ゆっくりと憧子の手を包んだ。
それは、はじめてじゃないはずなのに――どこか新しくて、なつかしくて。
「……もう、一度、俺と……」
「うん。今度は、離さないでね」
「もう絶対、離さない」
そう言って、和真はゆっくり顔を上げて、憧子の瞳を見つめた。
そして、そっと唇を重ねた。
ぬくもりと、懐かしさと、これからのすべてを閉じ込めるように。
雪が、静かに舞い始めていた。
二人の時間が、ようやくまた動き出した瞬間だった。
やがて二人は、手をつないで和真のアパートへ向かった。
玄関を開けると、どこか緊張した空気が流れた。
でも、それは不安じゃなくて、確かめ合える喜びだった。
部屋に入ると、和真はもう一度、憧子を抱きしめた。
キスを重ね、指を絡め、静かに名前を呼び合いながら――
言葉にならない想いを、肌で、心で、確かめていった。
優しく、丁寧に、憧子の頬や首筋にキスを落とす和真。
憧子もまた、和真の手を取り、自分から寄り添っていく。
その夜、二人は、互いを深く、甘く、愛し合った。
途切れてしまったあの夏の続きを、ようやく取り戻すように。
――やっと言えた「好き」。
そして、やっと触れられたぬくもり。
冬の夜は、あたたかいぬくもりで満ちていた。
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