甘酸っぱい恋の味

第六章 聖なる夜に、願いを込めて

笑って、語って、クリスマス

「メリークリスマス！」

陽菜の明るい声がアパートの部屋いっぱいに響く。
12月24日。今日は、4人で集まるクリスマスパーティー。会場は陽菜と航太が暮らすアパートだった。キッチンには手作りの料理が並び、テーブルの上にはケーキとサンタ帽。BGMはクリスマスソング。

「陽菜、飾りつけ頑張ったなあ～」と航太が感心すると、陽菜は得意げに胸を張る。

「でしょ！今年は初めて、カップル2組で過ごすクリスマスなんだから、気合い入れたんだから！」

玄関が開いて、憧子と和真が揃って登場。
「おじゃましまーす！」と笑顔の憧子。
和真は手にシャンメリーの瓶を抱えている。

「おー来た来た！憧子、めっちゃ可愛いじゃん！」
陽菜がすぐに憧子に駆け寄る。

憧子は白いニットに赤のスカート。少しだけ巻いた髪に、ふんわりしたメイク。どこか大人びて見えた。

「和真、憧子に似合う服、選んだんじゃねーの？」と航太が茶化すと、和真は少し照れながらも、「まぁ、ちょっとだけな」と笑った。

＊＊＊

料理を囲んで、4人は笑い合った。
高校の思い出、部活の話、今の仕事の話。ふざけたり、真面目になったり、話題は尽きなかった。

「高校のクリスマスって、なにしてたっけ？」と憧子が言うと、航太が「俺、陽菜に手編みのマフラーもらった！」と思い出す。

「でも、翌年は違う彼女とつけてたよね？」と陽菜がツッコんで、部屋中に笑いが広がった。

「ていうか、憧子と和真って、クリスマス一緒に過ごすの、今年が初めてか？」
陽菜のその言葉に、憧子と和真が顔を見合わせ、同時にうなずいた。

「ほんと、いろいろあったけど、こうして集まれてよかったよね」
憧子のその言葉に、みんながしみじみと頷いた。

「これからも、毎年こうやって集まりたいね」と陽菜が言うと、

「うん、次は誰かの結婚報告だったりして」
誰かの何気ない言葉に、一瞬だけ、部屋の空気がふわっと揺れた。

でも、それもまた、心地よい未来の話だった。

＊＊＊

パーティーが終わるころ、外には雪が舞い始めていた。

「……ホワイトクリスマス、だね」

憧子の言葉に、4人が窓の外を見た。

「来年も、こうやって笑って過ごせますように」
それぞれが、心の中でそっと願いを込めた、そんな夜だった。