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第六章 聖なる夜に、願いを込めて
はじめまして、和真の家
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憧子と和真は、冬の帰省にあわせて、和真の実家を訪れた。
「ただいまー。……母さん、父さん、連れてきたよ」
「こんにちは、佐藤憧子です。よろしくお願いします」
憧子は少し緊張しながらも、丁寧に頭を下げた。
和真の母は、にこやかに迎えてくれた。
「まあまあ、憧子ちゃん! よく来てくれたわね~。寒かったでしょ。入って入って!」
「あ、ありがとうございます。お邪魔します……」
和真の父も優しく頷く。
「息子がいつもお世話になってます。落ち着いた雰囲気の、いい子だな」
手作りの家庭料理。憧子は緊張しつつも、会話を楽しんだ。
「和真くん、昔からよく食べるんですね」
「うん。たぶん今も、部活後の夕飯は3杯は食べてると思うよ?」
「えっ、そこ言う? いや、実際その通りだけどさ」
と、和真が少し照れくさそうに笑い、場が和んだ。
食事のあと、母がそっと台所で憧子に声をかけた。
「和真がね、あなたとまた出会えて、すごく嬉しそうなのよ。昔よりも、ずっといい顔してる」
「……ありがとうございます」
憧子の胸に、じんと温かさが広がった。
食事も終わり、ひとときの団らんを経て、憧子がそっと立ち上がった。
「今日は本当にありがとうございました。お料理も、とっても美味しかったです」
玄関まで見送りに来てくれた和真の父と母は、やわらかく微笑んだ。
「いえいえ、こちらこそ。遠いところ、来てくれてありがとうね」と母。
「また、いつでも遊びに来なさい。次はもっとゆっくりしていっていいから」と父もにこやかに言った。
憧子は、少しだけ頬を赤らめながら、深く頭を下げた。
「はい。またお邪魔させていただきます」
その横で和真も、家族に向かって一言。
「ありがとう。俺、ちょっと外まで送ってくる」
「気をつけてね」と母の声が、あたたかく響いた。
そして――
ふたりは並んで玄関の外へ出た。
冷たい風がそっと吹き込む中で、和真はドアの前に立ち、憧子の顔を見つめた。
「今日は、来てくれてありがとう。……このあと、実家に帰るんだよね? 気をつけて」
和真の言葉はあたたかくて、でもどこか名残惜しさがにじんでいた。
「うん。和真も、お父さんとお母さんと、ゆっくり過ごしてね」
憧子が微笑むと、和真も小さく笑い返した。そして、ふっと真剣な表情になり、まっすぐ目を見て言った。
「明日、憧子の実家に、ちゃんとご挨拶に行くよ」
その言葉に、憧子の胸がじんわりと熱くなる。
「……うん。ありがとう。待ってるね」
ふたりの間に、短い沈黙が流れる。
その時、冷たい風が吹いた瞬間――
和真がそっと憧子の腕を引き寄せて、抱きしめた。
「……寒くない?」と、ぽつりとつぶやくように。
驚いた憧子は、少し遅れてその胸に顔を埋めた。
「……ちょっとだけ、あったかくなった」
「よかった」
しばらく、そのまま静かに抱き合っていた。
言葉は少なくても、心が通じ合っている証のように、心地いい時間だった。
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日」
小さく手を振って、憧子は背を向ける。
けれど、ドアの向こうから感じる和真のまなざしが、ずっと背中にあたたかく寄り添っている気がした。
そして、憧子は和真の実家をあとにし、自分の実家へと向かった。
電車の中、ふとスマホを見ると、和真からLINEが届いていた。
「今日、すごく嬉しかった。ありがとう」
憧子は、小さく笑って返信した。
「こちらこそ、ありがとう。
とっても楽しかったよ。
和真の家族、すごくあったかかった。
じゃあ、また明日ね」
静かで、やさしい――そんな冬の日だった。
「ただいまー。……母さん、父さん、連れてきたよ」
「こんにちは、佐藤憧子です。よろしくお願いします」
憧子は少し緊張しながらも、丁寧に頭を下げた。
和真の母は、にこやかに迎えてくれた。
「まあまあ、憧子ちゃん! よく来てくれたわね~。寒かったでしょ。入って入って!」
「あ、ありがとうございます。お邪魔します……」
和真の父も優しく頷く。
「息子がいつもお世話になってます。落ち着いた雰囲気の、いい子だな」
手作りの家庭料理。憧子は緊張しつつも、会話を楽しんだ。
「和真くん、昔からよく食べるんですね」
「うん。たぶん今も、部活後の夕飯は3杯は食べてると思うよ?」
「えっ、そこ言う? いや、実際その通りだけどさ」
と、和真が少し照れくさそうに笑い、場が和んだ。
食事のあと、母がそっと台所で憧子に声をかけた。
「和真がね、あなたとまた出会えて、すごく嬉しそうなのよ。昔よりも、ずっといい顔してる」
「……ありがとうございます」
憧子の胸に、じんと温かさが広がった。
食事も終わり、ひとときの団らんを経て、憧子がそっと立ち上がった。
「今日は本当にありがとうございました。お料理も、とっても美味しかったです」
玄関まで見送りに来てくれた和真の父と母は、やわらかく微笑んだ。
「いえいえ、こちらこそ。遠いところ、来てくれてありがとうね」と母。
「また、いつでも遊びに来なさい。次はもっとゆっくりしていっていいから」と父もにこやかに言った。
憧子は、少しだけ頬を赤らめながら、深く頭を下げた。
「はい。またお邪魔させていただきます」
その横で和真も、家族に向かって一言。
「ありがとう。俺、ちょっと外まで送ってくる」
「気をつけてね」と母の声が、あたたかく響いた。
そして――
ふたりは並んで玄関の外へ出た。
冷たい風がそっと吹き込む中で、和真はドアの前に立ち、憧子の顔を見つめた。
「今日は、来てくれてありがとう。……このあと、実家に帰るんだよね? 気をつけて」
和真の言葉はあたたかくて、でもどこか名残惜しさがにじんでいた。
「うん。和真も、お父さんとお母さんと、ゆっくり過ごしてね」
憧子が微笑むと、和真も小さく笑い返した。そして、ふっと真剣な表情になり、まっすぐ目を見て言った。
「明日、憧子の実家に、ちゃんとご挨拶に行くよ」
その言葉に、憧子の胸がじんわりと熱くなる。
「……うん。ありがとう。待ってるね」
ふたりの間に、短い沈黙が流れる。
その時、冷たい風が吹いた瞬間――
和真がそっと憧子の腕を引き寄せて、抱きしめた。
「……寒くない?」と、ぽつりとつぶやくように。
驚いた憧子は、少し遅れてその胸に顔を埋めた。
「……ちょっとだけ、あったかくなった」
「よかった」
しばらく、そのまま静かに抱き合っていた。
言葉は少なくても、心が通じ合っている証のように、心地いい時間だった。
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日」
小さく手を振って、憧子は背を向ける。
けれど、ドアの向こうから感じる和真のまなざしが、ずっと背中にあたたかく寄り添っている気がした。
そして、憧子は和真の実家をあとにし、自分の実家へと向かった。
電車の中、ふとスマホを見ると、和真からLINEが届いていた。
「今日、すごく嬉しかった。ありがとう」
憧子は、小さく笑って返信した。
「こちらこそ、ありがとう。
とっても楽しかったよ。
和真の家族、すごくあったかかった。
じゃあ、また明日ね」
静かで、やさしい――そんな冬の日だった。
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