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第4章 ペンライトvs推しぬいぐるみ
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しおりを挟む――それから3日後。
大事件発生です!
学校から帰ってきたら【痛バック】がなくなっていました!
髪を振り乱して騒ぎすぎ?
物が人間になったり大人気アイドルの仮カノになったことと比べれば、大したことないって?
宝物がなくなったら、誰だって血まなこになって探すでしょ。
部屋じゅう家じゅう探したけど、どこにもないんだよ。
痛バックというのは、わたしの3大推しグッズの一つ。
同じ顔のノエル君缶バッチが42個もきらめいている、ぜいたく肩がけバックのこと。
真っ赤だから派手すぎてさすがに中学には持っていけないけれど、お出かけの時はいつも一緒なんだ。
痛バックってすごいんだよ。
いわば『推し友発見器』
見ず知らずの人が『わたしもノエル君ファンです』って話かけてくれるの。
オタクって、推しへの愛を語りまくりたい生き物でしょ。
麗しいお顔のノエルくん缶バッチを眺めているだけでハッピーな気持ちになれるから、いやし効果ももちろんあるんだけどね。
自分の部屋で、痛バックの定位置である壁をもう一度見る。
うん、やっぱりない。
おかしいな、今朝は掛けてあったんだよ。
まさか盗まれた?
犯人は……
う~んと首をかしげながら視線を天井に。
「あっ!」
犯人の心当たりが有り有りで、開いた口を手で塞いじゃった。
わたしへの執着が強すぎる、ペンライトの光くんが犯人で間違いない。
大人気アイドルのノエル君に、ライバル心ギラギラだし。
この前もね同じようなことがあったんだよ。
学校から帰ってきたら、部屋に貼ってあったノエル君のポスターがなくなってたの。
『捨ててないよね?』と光くんを問いただしたら、凛とした背中がシュン。
『魔が差した。ノエルのポスターはクローゼットに隠してある』だって。
『朝起きた時、陽葵の目に一番に映るのがこの顔だって思ったら、なんかムカついて』
本当に申し訳なさそうに『ごめん』と謝られたから、その時は簡単に許しちゃったんだけど、甘かったみたい。
今回は2度目。
光くんが帰ってきたら、二度とノエルくんグッズを隠さないようにきつく言い聞かせなきゃ!
ノエルくんのぬいぐるみを勉強机の上に置く。
椅子に座り、頭をつついてみた。
うん、何も起きない。
ゆらゆらと揺れているだけで、やっぱりぬいぐるみのままだ。
学校で突然推しぬいが人間になったのは3日前のこと。
かわいい美少女顔で『ぬい』って名乗ってたな。
倒れそうになる私を抱きとめてくれて、ノエルくんを敵視して大泣きをはじめて。
ぬいぐるみに戻りそうって言われたから、ぬい君の腕をひっぱり廊下に連れ出たんだけど、間一髪ボワンだったの。
ぬい君はぬいぐるみに戻って、床にコテン。
それからずっとぬいぐるみの姿をキープしている。
瞬きをするとか、しゃべるとかも一切ない。
この推しぬいが、もう一度人間になることはあるのかな?
光くんはどうなんだろう。
ずっと人間でいてくれる?
ペンライトに戻って、二度とおしゃべりできない未来がやってきちゃう可能性もあるよね。
光くんとの永遠の別れを想像したら、胸が苦しくなってきちゃった。
自分でも理由はわからないけど、なぜかものすごく悲しくて。
痛む胸を押さえながらベッドにバタリ。
光くんのことで頭がいっぱいだったのに、ノエル君のポスターが瞳に映ってドキリ。
今度は別の件で、ハートがくすぐられたようにうずきだす。
「推しに会っちゃった、ひまりちゃんって名前を呼ばれちゃった」
目が合って、微笑まれて、恋人つなぎをされちゃって。
そのうえノエル君の仮カノに選ばれちゃうなんて。
「あぁもう、現実だなんて信じられない! 心臓がいくつあっても足りないよ!」
ぐんぐん上がる顔の熱。
火照るほっぺを両手で包み、頭を思い切りブンブンブン。
3日前のことなのに、ノエル君の甘い微笑みを鮮明に思い出せちゃうから、体中の血がふっとうしそうになる。
変に意識しちゃダメだ。
わたしとノエル君は本物の恋人じゃない。
カップルっぽいことをするのだって、お芝居がうまくなるための修行なんだ。
推しのため、自分のため、そう思って仮カノになりきらなきゃ!
とは思うけど。
「ノエル君と恋人ごっこを続けるなんて、無理だよ」
童話から出てきた王子様ですか?っていうくらい麗しいんだよ。
優雅に微笑んでくれるし、他人との距離を取るタイプかなと思いきや、急に顔を近づけてきたりもするし。
「また至近距離で見つめられたら、今度こそ脳が溶けちゃうんだってば!」
焦りながら、ベッドを右に左に転がるわたし。
「どうしよう。やっぱり仮カノはできませんって言おうかな? でも引き受けたのはわたしだし、無責任なことはしたくない。でもでもやっぱりわたしには荷が重くて」
興奮した時の必需品を手で探す。
ハートが暴れている時はペンライトを振るのがわたしのクセでって……な・い!
そっか、ペンライトはただいま人間の姿なんだった。
光くんはお父さんとお出かけ中。
心を鎮めたい。
ペンライトがない以上、ほかの物に頼らなきゃ。
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