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2. 帰還者の逸話
先史からの帰還者が語る
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そこは地球ではなかった. だが銀河系の何処でもない. 男は,静かに眠る赤児を抱え,沈黙したまま立ち尽くしていた. 辺り一帯は, 眺める限り, " 荒廃“ という印象以外に似つかわしい言葉はない. 魔物はすでに去っている. 惑星全体が煤と灰と化していた. しかしその年代だけはマシンの計器の針がきちんと指している.
" CE1452 " .... 男は知っていたが,そこは紛れもなく地球であった. だが,その男の知っている宇宙にはない,異質な発展と異様な存在につねに脅かされた動乱の歴史を刻んだ星である....
ギライ・ナリの盟主は,1人しかいない.その眼はあらゆる世界,あらゆる星を,心の眼を通して, つねに直視している. 覗く世界とは,ランチタイムには,一億年前のサハラ砂漠である一方,シャワー室で" ゴールドバッハ予想" を愉しげに解く傍らで,空間に映写されるヒュパティアの講義風景でもある.
晩酌時には,銀河系のどこかにある衛星だったりする. その衛星の日没を13世紀のシエナ産ワインとともに堪能する. 実はその衛星は,球状星団のなかにあり,銀河系全体が夜空を,いや,寝室を彩る.
このようなロマンチックな日常を過ごす変わった嗜好を持つ盟主とは,ダヴィデその人だ. しかしこの男の日常には,つねにカオスが揺動する.
『ピピーッ ダヴィデ様.. 火星植民団のご一行が第一玄関に到着したようです. 』
『今から向かう. 先にミュージアムに案内しておくんだ. キッダーの武装は解除してあるな? 』
『はい. ですが,万が一のために瞬時で解除を取り消せるようにしておきます. 』
ダヴィデが第一玄関に滑るように降りてくる.
『 待たせたな...我が友よ...』大袈裟に両手を広げる.
『ダヴィデ.. 君が描いた『ダーク・アンギアーリ』は,いつ見ても見事だな... 君がダヴィンチに思えてくるよ.. 』視線を半分絵画に向けながら,感嘆の念を漏らす.
『純粋にレオナルドのようには描いたわけじゃない. 私の理想とするブラックホールをメタファーとしてちりばめたつもりだ... 』その表情には矜恃がちらつく一方何かを察したような眼光が射る.
『なんと... 破壊と創造を戦争に掛け合わせるとは... 大胆だな...』どうやらお世辞ではないらしい.
『さて,我が友.. 本題に入るとしよう. ギライ・ナリの時空探査艇を三十隻ほど購入したい. もちろん,それ相応の支払いは約束する. 』
『三十隻とは....一体何に使うつもりだ? 』訝しげに聞く.
『何に? ゴルドゥ対策に決まっているだろう我が友よ』
2人は視線を合わせながら, 相手の出方を探る. 一瞬の静寂が訪れる....
『それは違う. お前たちがゴルドゥの手先だ』ダヴィデは表情を少しも変えずに冷淡に言い放った.
そして素早く片手を挙げた.
キッダーが武装して照準を客たちに定める.
『ダヴィデ,お前を滅ぼす』友人は凄みを利かせて言い放った. と同時にあっという間に体が折りたたみ,戦闘キューブへと姿を変えた. 他の連れはスゥーッと消え失せた. 精巧なホログラムだったのだ.
ダヴィデを武装ロボ,通称キッダーがバリアを張って護衛する. 銃撃戦が始まった. すぐに展示作品が格納される.
敵がプラズマ砲を凄まじいペースで連射する.
あえなく,キッダーは全滅した.
懐に隠した短剣をダヴィデが抜きとるが,敵が光線をダヴィデの心臓めがけて射ろうとする. 『シュイーン...』
ダヴィデは片足を前に踏み出し,それ以上に俊速にキューブへとぶっ刺す. 『ブスッ...』動作に無駄がなく,剣は急所を突いた. キューブの光が点滅し, 消えた. 戦いは終わった.
執事ロボが駆け足でやって来る.
『ダヴィデ様,ご無事でなによりです. キューブの量子AIは解析室へ回します. 忌まわしいゴルドゥがご主人様のご友人,リム様をどのようになさったかわかるかもしれません. 』
『ああ,無事だといいのだが...』
ダヴィデにはわかっていた. 光線を射るとき,キューブは明らかに躊躇った.
アリストは,空間に木漏れ日のように映写されたコンピュータの画面を見やりながら,15世紀のルネサンス期に送ったキューブとのドッキング作業に集中している. 意識接続ヘルメット" ミュンフォン" が傍らの台に置かれている.
『ミュンホォンを装着しました. ではキューブとドッキングします... キューブの信号を捉えました. シエナ上空1500メートルに浮遊しています. 』
『ドッキング状態良好です. キューブの次元テンソルを仰角に設定しました. 』
『シエナが見えます! わぁ 相変わらずの美しさです. 』アリストは恍惚感に浸る. 林立する壮麗なゴシック建築と柔らかい日差しが何ともいえない美しさを醸し出す.
『 他のキューブと並行接続はできているかね? 』 博士が微笑みながら,訊ねる.
『はい. 他の5つのキューブはすべてドッキング・オンです. 』
『スキャンしてデータ送信を指示します. 大西洋域のキューブACTとアジア域で飛びまわっているキューブ・ミゾラの波動帯が不安定です. 』アリストの視界が4つの画面に分割され,世界各地の都市が映る.
『データ送信がすべて完了しました. 』
『夕食会までまだ時間に余裕があるわい.
シエナを探検するかね? 』
『はい ! 』アリストは,嬉しさがこみ上げるのを感じた.
夕食会が始まる.
『今夜は先ほど帰還された先史隊21f号の皆さまをお招きしております. 休眠カプセルの第一ステージは完了されたとのことですので,先史時代の冒険譚をぜひとも堪能させていただきましょう. 先史隊の皆さま,無事の帰還を願っておりました.ではみなさん,1時間のフルコースをご堪能あれ. 』
アリストが席に座り,前菜に手をつける.
『先史隊隊長のゲオルグ・ビストンだ. アリスト君だったね. 以前,白亜紀遠征で同じキャンプにいたのを覚えているかい? 』
『ええ. LIPの土壌サンプルの収集任務と獣脚類の遺伝子サンプルの収集任務を指揮されていましたね. 』
『先史隊士官のナカジマ・フォレスンだ. よろしく. 』
『同じく先史隊士官のダイアナ・レモンよ. 』
『先史隊軍医のロドリゲス・マイナーだ』アリストの眼には, 妙齢なイギリス紳士のように映った.
アリストは握手を交わす.
会話が弾むなか,アリストが隊長のゲオルグに訊く.
『先史隊の役割は大きく3つある. 第一に冒険心,第二に先史の解明のため,第三に, 過去の大幅な改変を防ぐためだ.
過去を変えたい輩はたくさんいるからな. 』
『我々のように純粋な学術調査を目的としない者から人類を守る必要がある. 一番たちの悪いのがゴルドゥだ. 』
『先史隊の任務内容は多岐にわたるが,最も重要なのはゴルドゥからリメスを防衛することだ』
『ゴルドゥが人類文明の黎明期に大規模な船団を送るのはなぜなんでしょうか. もしかすると彼らが文明の発展に影響を与えたとか? 』
『それはわからないわ. 技術レベルはタイプ4だと推定されているんだけど,タイム・トラベル技術は少なくとも人類より1000年は先に開発したようなのよ』フォレスンが素早く応える.
『ゴルドゥの母星が特定されていないことは何を意味するのでしょうか. もしかして時空ワープで文明狩りを稼業とする破壊者とか? 』アリストが冗談めいて言った.
『君もダヴィデ・オロリンの主張を認識しているんだね. 宇宙の秩序を保とうとする時空線の監視者がゴルドゥの正体だという』ロドリゲスがため息まじりで呟く.
" CE1452 " .... 男は知っていたが,そこは紛れもなく地球であった. だが,その男の知っている宇宙にはない,異質な発展と異様な存在につねに脅かされた動乱の歴史を刻んだ星である....
ギライ・ナリの盟主は,1人しかいない.その眼はあらゆる世界,あらゆる星を,心の眼を通して, つねに直視している. 覗く世界とは,ランチタイムには,一億年前のサハラ砂漠である一方,シャワー室で" ゴールドバッハ予想" を愉しげに解く傍らで,空間に映写されるヒュパティアの講義風景でもある.
晩酌時には,銀河系のどこかにある衛星だったりする. その衛星の日没を13世紀のシエナ産ワインとともに堪能する. 実はその衛星は,球状星団のなかにあり,銀河系全体が夜空を,いや,寝室を彩る.
このようなロマンチックな日常を過ごす変わった嗜好を持つ盟主とは,ダヴィデその人だ. しかしこの男の日常には,つねにカオスが揺動する.
『ピピーッ ダヴィデ様.. 火星植民団のご一行が第一玄関に到着したようです. 』
『今から向かう. 先にミュージアムに案内しておくんだ. キッダーの武装は解除してあるな? 』
『はい. ですが,万が一のために瞬時で解除を取り消せるようにしておきます. 』
ダヴィデが第一玄関に滑るように降りてくる.
『 待たせたな...我が友よ...』大袈裟に両手を広げる.
『ダヴィデ.. 君が描いた『ダーク・アンギアーリ』は,いつ見ても見事だな... 君がダヴィンチに思えてくるよ.. 』視線を半分絵画に向けながら,感嘆の念を漏らす.
『純粋にレオナルドのようには描いたわけじゃない. 私の理想とするブラックホールをメタファーとしてちりばめたつもりだ... 』その表情には矜恃がちらつく一方何かを察したような眼光が射る.
『なんと... 破壊と創造を戦争に掛け合わせるとは... 大胆だな...』どうやらお世辞ではないらしい.
『さて,我が友.. 本題に入るとしよう. ギライ・ナリの時空探査艇を三十隻ほど購入したい. もちろん,それ相応の支払いは約束する. 』
『三十隻とは....一体何に使うつもりだ? 』訝しげに聞く.
『何に? ゴルドゥ対策に決まっているだろう我が友よ』
2人は視線を合わせながら, 相手の出方を探る. 一瞬の静寂が訪れる....
『それは違う. お前たちがゴルドゥの手先だ』ダヴィデは表情を少しも変えずに冷淡に言い放った.
そして素早く片手を挙げた.
キッダーが武装して照準を客たちに定める.
『ダヴィデ,お前を滅ぼす』友人は凄みを利かせて言い放った. と同時にあっという間に体が折りたたみ,戦闘キューブへと姿を変えた. 他の連れはスゥーッと消え失せた. 精巧なホログラムだったのだ.
ダヴィデを武装ロボ,通称キッダーがバリアを張って護衛する. 銃撃戦が始まった. すぐに展示作品が格納される.
敵がプラズマ砲を凄まじいペースで連射する.
あえなく,キッダーは全滅した.
懐に隠した短剣をダヴィデが抜きとるが,敵が光線をダヴィデの心臓めがけて射ろうとする. 『シュイーン...』
ダヴィデは片足を前に踏み出し,それ以上に俊速にキューブへとぶっ刺す. 『ブスッ...』動作に無駄がなく,剣は急所を突いた. キューブの光が点滅し, 消えた. 戦いは終わった.
執事ロボが駆け足でやって来る.
『ダヴィデ様,ご無事でなによりです. キューブの量子AIは解析室へ回します. 忌まわしいゴルドゥがご主人様のご友人,リム様をどのようになさったかわかるかもしれません. 』
『ああ,無事だといいのだが...』
ダヴィデにはわかっていた. 光線を射るとき,キューブは明らかに躊躇った.
アリストは,空間に木漏れ日のように映写されたコンピュータの画面を見やりながら,15世紀のルネサンス期に送ったキューブとのドッキング作業に集中している. 意識接続ヘルメット" ミュンフォン" が傍らの台に置かれている.
『ミュンホォンを装着しました. ではキューブとドッキングします... キューブの信号を捉えました. シエナ上空1500メートルに浮遊しています. 』
『ドッキング状態良好です. キューブの次元テンソルを仰角に設定しました. 』
『シエナが見えます! わぁ 相変わらずの美しさです. 』アリストは恍惚感に浸る. 林立する壮麗なゴシック建築と柔らかい日差しが何ともいえない美しさを醸し出す.
『 他のキューブと並行接続はできているかね? 』 博士が微笑みながら,訊ねる.
『はい. 他の5つのキューブはすべてドッキング・オンです. 』
『スキャンしてデータ送信を指示します. 大西洋域のキューブACTとアジア域で飛びまわっているキューブ・ミゾラの波動帯が不安定です. 』アリストの視界が4つの画面に分割され,世界各地の都市が映る.
『データ送信がすべて完了しました. 』
『夕食会までまだ時間に余裕があるわい.
シエナを探検するかね? 』
『はい ! 』アリストは,嬉しさがこみ上げるのを感じた.
夕食会が始まる.
『今夜は先ほど帰還された先史隊21f号の皆さまをお招きしております. 休眠カプセルの第一ステージは完了されたとのことですので,先史時代の冒険譚をぜひとも堪能させていただきましょう. 先史隊の皆さま,無事の帰還を願っておりました.ではみなさん,1時間のフルコースをご堪能あれ. 』
アリストが席に座り,前菜に手をつける.
『先史隊隊長のゲオルグ・ビストンだ. アリスト君だったね. 以前,白亜紀遠征で同じキャンプにいたのを覚えているかい? 』
『ええ. LIPの土壌サンプルの収集任務と獣脚類の遺伝子サンプルの収集任務を指揮されていましたね. 』
『先史隊士官のナカジマ・フォレスンだ. よろしく. 』
『同じく先史隊士官のダイアナ・レモンよ. 』
『先史隊軍医のロドリゲス・マイナーだ』アリストの眼には, 妙齢なイギリス紳士のように映った.
アリストは握手を交わす.
会話が弾むなか,アリストが隊長のゲオルグに訊く.
『先史隊の役割は大きく3つある. 第一に冒険心,第二に先史の解明のため,第三に, 過去の大幅な改変を防ぐためだ.
過去を変えたい輩はたくさんいるからな. 』
『我々のように純粋な学術調査を目的としない者から人類を守る必要がある. 一番たちの悪いのがゴルドゥだ. 』
『先史隊の任務内容は多岐にわたるが,最も重要なのはゴルドゥからリメスを防衛することだ』
『ゴルドゥが人類文明の黎明期に大規模な船団を送るのはなぜなんでしょうか. もしかすると彼らが文明の発展に影響を与えたとか? 』
『それはわからないわ. 技術レベルはタイプ4だと推定されているんだけど,タイム・トラベル技術は少なくとも人類より1000年は先に開発したようなのよ』フォレスンが素早く応える.
『ゴルドゥの母星が特定されていないことは何を意味するのでしょうか. もしかして時空ワープで文明狩りを稼業とする破壊者とか? 』アリストが冗談めいて言った.
『君もダヴィデ・オロリンの主張を認識しているんだね. 宇宙の秩序を保とうとする時空線の監視者がゴルドゥの正体だという』ロドリゲスがため息まじりで呟く.
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