23 / 42
第9-2話 再会は、ノルトアイルでっ!
しおりを挟む
おねむモードから一気に覚醒したクエリちゃんは、ノルトアイルの風景を見て嬉しそうに叫んだ。
今まで見たこともないくらい、心の底から嬉しそうな笑顔だね!
きっと、ずっとずっとここに帰ってきたかったんだろうなぁ~……お母さんに会うためにさ。
王様の命令でムリヤリ王城に連れて行かれちゃったあとも、ここの風景を夢に見るくらいだもの。
「月明りだからよく見えないけど……もしかして、まわりの森の葉っぱが紅葉してるのかな?? それに、やっぱりちょっと空気が肌寒いかもっ……!」
クエリちゃんと一緒に美しい景色に見とれてしまっていたけど……今更気付いた。
ここ、寒ーい! 想像以上に寒すぎる!
うぅぅ、ネムちゃんの背中にべったりくっ付いて寝てた時は気が付かなかったけど、空気がヒンヤリしてる!
王都から3時間くらいって言ってたけど、こんなに気温が変わっちゃうものなの!?
「ふはぁぁぁ……ク、クエリちゃん、だいじょうぶ?」
私はともかく、クエリちゃんが心配だ。
王城から一緒に逃げてきたときに着てたのが、ふんわりしたワンピースのパジャマだけだもん。
私は自分がつけていたケープを取り外すと、そっとクエリちゃんの背中にかけてあげた。
あ~~、私いますっごいお姉ちゃんっぽい事してるー!
なんてひとり舞い上がってたけど、当のクエリちゃんはけろりとした表情で振り返った。
「あっ、だいじょうぶです。わたし、ずっとここでおかあさんと暮らしてましたから、慣れてます。このくらいなら、全然寒くないですっ」
「ふえぇぇぇえぇ……す、すごいね……! 私は今すぐ温かいお茶が飲みたいよぉ……ぶるぶる」
「やれやれ、情けねえなぁピルタ。これくらいで寒いとか言ってんなよぉ」
「だ、だって仕方ないでしょおぉお!? ネムちゃんはこんなふっかふかの毛皮があるからいいだろうけど、私はろくに準備せずに来ちゃったんだから……はぅぅぅぅ! そう思うと余計に寒くなってきたっ。ど、どこか上着が買えるような町は無い!? も、もしくは、暖かいココアが飲みたいよぅ……」
「こ、ここあってなんですか?」
ぷるぷる震える私のことをきょとんと見上げながら、クエリちゃんが聞いてきた。
「えっとね……ココアっていうのは、私が生まれた国で飲まれていた、甘くてあったかーい飲み物のコトで……」
「諦めろピルタ、この世界にココアは無えよ」
「んもーーーーっ! 説明してる最中に存在否定しないでよっ!! うわーん! 身体が暖かくなるものが飲みたいよー! ネムちゃん、どうにかしてよー!?」
段々と冷えてくる身体に耐えかねて、つい大声で叫んじゃった。
すぐ横にいるクエリちゃんが、私を見て心配そうにしちゃってる。
あぁぁ、いかんいかん。これじゃ全然お姉ちゃんっぽくないじゃない!!
こんなに早くお姉ちゃんらしさが消滅してしまうとは、我ながら情けない……。
なるべく風が当たらないよう、身を小さくしてネムちゃんの毛皮に埋もれようとしていると……
「しょうがねぇなぁ……あそこに見える家で、お茶を飲ませて貰えるかお願いしてみるか?」
「ふぇっ?」
ネムちゃんが、ぐいっと顔を突き出す。
顎で指示した先……私たちが今立っている高台のはるか下の方に目をやると、そこには一軒の家が建っていた。
こんな山しかない場所に、家があるなんて。
「あっ……!」
それを見たクエリちゃんが、声を上げる。
あぁっ!? あの家って、もしかして……
「ネムちゃんっ! あ、あそこが、クエリちゃんの本当の家!? あそこにお母さんが居るのっ!?」
「ああ、恐らくそうだ。俺の鼻が反応してる。お姫様の夢を見ている人間が、あそこにいるのは間違いないぜ。まさかこんなに早く見つかるなんて、ラッキーだったな」
大くて長い鼻をすんすんと動かして、ネムちゃんは匂いを探っているような動作をした。
私に抱っこされるような姿勢でいたクエリちゃんは、思わず声を大きくした。
「あ、あの家ですっ! あそこが、わたしとお母さんが一緒に住んでいた家でっ……!」
「おーっ! じゃあ、間違いないねっ!」
「よし、あそこまで降りるぞ。しっかり掴まってな」
ネムちゃんは立っていた場所から下を見ると、軽くジャンプをしながら斜面を駆け下りた。
人間だったら足を踏み外したら下まで落ちちゃいそうな急斜面だったが、ネムちゃんは生えている木さえも避けながら器用に降りていく。
王城脱出時のトラウマ、ふたたび。
黙ってたけど、またもや私はビビってました。
だって本当に怖すぎるんだよ……掴まれるものといったらネムちゃんの背中に生えてる短い毛しかなくて、当然ながらシートベルトなんてものは無い。
なのにネムちゃんはほとんどノンストップで崖を駆け降りていく……。
これはさすがにクエリちゃんも怖がってるんじゃないかなー、と思い横を見てみると、やっぱりクエリちゃんはもう余裕しゃくしゃくの表情で前だけ見てました。
たぶん1年ぶりにお母さんに会えるから、こんな急斜面なんて気にもなってないんだろうけど……ううむ、クエリちゃんは見た目の可愛さに反してホントに度胸が据わってる。
今まで見たこともないくらい、心の底から嬉しそうな笑顔だね!
きっと、ずっとずっとここに帰ってきたかったんだろうなぁ~……お母さんに会うためにさ。
王様の命令でムリヤリ王城に連れて行かれちゃったあとも、ここの風景を夢に見るくらいだもの。
「月明りだからよく見えないけど……もしかして、まわりの森の葉っぱが紅葉してるのかな?? それに、やっぱりちょっと空気が肌寒いかもっ……!」
クエリちゃんと一緒に美しい景色に見とれてしまっていたけど……今更気付いた。
ここ、寒ーい! 想像以上に寒すぎる!
うぅぅ、ネムちゃんの背中にべったりくっ付いて寝てた時は気が付かなかったけど、空気がヒンヤリしてる!
王都から3時間くらいって言ってたけど、こんなに気温が変わっちゃうものなの!?
「ふはぁぁぁ……ク、クエリちゃん、だいじょうぶ?」
私はともかく、クエリちゃんが心配だ。
王城から一緒に逃げてきたときに着てたのが、ふんわりしたワンピースのパジャマだけだもん。
私は自分がつけていたケープを取り外すと、そっとクエリちゃんの背中にかけてあげた。
あ~~、私いますっごいお姉ちゃんっぽい事してるー!
なんてひとり舞い上がってたけど、当のクエリちゃんはけろりとした表情で振り返った。
「あっ、だいじょうぶです。わたし、ずっとここでおかあさんと暮らしてましたから、慣れてます。このくらいなら、全然寒くないですっ」
「ふえぇぇぇえぇ……す、すごいね……! 私は今すぐ温かいお茶が飲みたいよぉ……ぶるぶる」
「やれやれ、情けねえなぁピルタ。これくらいで寒いとか言ってんなよぉ」
「だ、だって仕方ないでしょおぉお!? ネムちゃんはこんなふっかふかの毛皮があるからいいだろうけど、私はろくに準備せずに来ちゃったんだから……はぅぅぅぅ! そう思うと余計に寒くなってきたっ。ど、どこか上着が買えるような町は無い!? も、もしくは、暖かいココアが飲みたいよぅ……」
「こ、ここあってなんですか?」
ぷるぷる震える私のことをきょとんと見上げながら、クエリちゃんが聞いてきた。
「えっとね……ココアっていうのは、私が生まれた国で飲まれていた、甘くてあったかーい飲み物のコトで……」
「諦めろピルタ、この世界にココアは無えよ」
「んもーーーーっ! 説明してる最中に存在否定しないでよっ!! うわーん! 身体が暖かくなるものが飲みたいよー! ネムちゃん、どうにかしてよー!?」
段々と冷えてくる身体に耐えかねて、つい大声で叫んじゃった。
すぐ横にいるクエリちゃんが、私を見て心配そうにしちゃってる。
あぁぁ、いかんいかん。これじゃ全然お姉ちゃんっぽくないじゃない!!
こんなに早くお姉ちゃんらしさが消滅してしまうとは、我ながら情けない……。
なるべく風が当たらないよう、身を小さくしてネムちゃんの毛皮に埋もれようとしていると……
「しょうがねぇなぁ……あそこに見える家で、お茶を飲ませて貰えるかお願いしてみるか?」
「ふぇっ?」
ネムちゃんが、ぐいっと顔を突き出す。
顎で指示した先……私たちが今立っている高台のはるか下の方に目をやると、そこには一軒の家が建っていた。
こんな山しかない場所に、家があるなんて。
「あっ……!」
それを見たクエリちゃんが、声を上げる。
あぁっ!? あの家って、もしかして……
「ネムちゃんっ! あ、あそこが、クエリちゃんの本当の家!? あそこにお母さんが居るのっ!?」
「ああ、恐らくそうだ。俺の鼻が反応してる。お姫様の夢を見ている人間が、あそこにいるのは間違いないぜ。まさかこんなに早く見つかるなんて、ラッキーだったな」
大くて長い鼻をすんすんと動かして、ネムちゃんは匂いを探っているような動作をした。
私に抱っこされるような姿勢でいたクエリちゃんは、思わず声を大きくした。
「あ、あの家ですっ! あそこが、わたしとお母さんが一緒に住んでいた家でっ……!」
「おーっ! じゃあ、間違いないねっ!」
「よし、あそこまで降りるぞ。しっかり掴まってな」
ネムちゃんは立っていた場所から下を見ると、軽くジャンプをしながら斜面を駆け下りた。
人間だったら足を踏み外したら下まで落ちちゃいそうな急斜面だったが、ネムちゃんは生えている木さえも避けながら器用に降りていく。
王城脱出時のトラウマ、ふたたび。
黙ってたけど、またもや私はビビってました。
だって本当に怖すぎるんだよ……掴まれるものといったらネムちゃんの背中に生えてる短い毛しかなくて、当然ながらシートベルトなんてものは無い。
なのにネムちゃんはほとんどノンストップで崖を駆け降りていく……。
これはさすがにクエリちゃんも怖がってるんじゃないかなー、と思い横を見てみると、やっぱりクエリちゃんはもう余裕しゃくしゃくの表情で前だけ見てました。
たぶん1年ぶりにお母さんに会えるから、こんな急斜面なんて気にもなってないんだろうけど……ううむ、クエリちゃんは見た目の可愛さに反してホントに度胸が据わってる。
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる