37 / 73
29
しおりを挟む
ソウンディックとアルベルトが部屋から出て行ってから、一人になった部屋はすごく静かになってしまった。
エディルが旅立つ姿を思い出しそうになる度に、その後のソウンディックの瞳がちらつく。
「んー。」
恥ずかしさで身悶えしてしまうのが、いたたまれない。
バタバタと手足をバタつかせて見るが、思い出す度に動悸が激しくなる。
すると、外からガサガサと木々を揺らす音がする。
「ん?」
気のせいじゃないよね。
ドサッと何かが落ちる音がした後、ガチャガチャと取っ手をいじっている。
マリアなら扉から元気に来るはずだし、アルベルトやソウンディックなら、声がかかるはずだ。
誰か呼んだ方が良いかしら。
その前に、何が居るのか確認した方が良いのかしら?
風の音でしたってなったら、大騒ぎしてもみっともないし…ね。
そっと重いカーテンに手をかけると、外をちらりと覗く。
ふと、顔を上げた瞳と目があった。
「あっ。」
思わず、ぱっとカーテンに隠れる。
くるくるの金髪の巻き毛に、真っ赤な瞳、レティの胸元位の背丈。
間違いない。あの少女だ。
森の中で会った、捕虜の…。
「ん?何で此処にいるのかしら?」
ガシャン。
大きな音とともに、風が吹き込む。
外に流されるカーテンの隙間から、割られたガラスの破片が床へと落ちた。
「お前、あの時の魔女か。」
血まみれの手に、石を握り締めた少女は、ゆっくりと部屋に歩み入る。
「待って。」
足元にはガラスが散らばっているのに、彼女は素足だ。
「あの時、何をした。お前のせいで、話してしまったせいで。」
「待って。怪我しちゃう。」
少しずつ近づいて来る彼女に、手を上げて静止を促す。
彼女は白く小さな足が傷付くのを気にもせず、真っ直ぐにレティから目を反らさない。
バタバタバタ。
扉の外が騒々しい。
ガラスが割れた音が、部屋の外にまで聞こえていたのだろうか。
「レティ。大丈夫?」
ソウンディックの声が聞こえる。
背後からは数人はいるだろう、喧騒もする。
「だ、大丈夫です。」
彼女と向き合ったまま返事をしたせいで、思わず声が上ずってしまった。
しまった。と思った時には遅かった。
「開けるよ。」
掛け声とともに開けられた扉の方へ顔を向けると、険しい顔をしたソウンディックと剣を構えるアルベルトがいた。
「だ、大丈夫ですよ?」
「とてもそうは見えないよ。レティシア。」
首を振る。
血塗れで石を握る少女と、両手を掲げて微動だに出来ないレティ。
確かに、大丈夫そうには見えないかもしれない。
エディルが旅立つ姿を思い出しそうになる度に、その後のソウンディックの瞳がちらつく。
「んー。」
恥ずかしさで身悶えしてしまうのが、いたたまれない。
バタバタと手足をバタつかせて見るが、思い出す度に動悸が激しくなる。
すると、外からガサガサと木々を揺らす音がする。
「ん?」
気のせいじゃないよね。
ドサッと何かが落ちる音がした後、ガチャガチャと取っ手をいじっている。
マリアなら扉から元気に来るはずだし、アルベルトやソウンディックなら、声がかかるはずだ。
誰か呼んだ方が良いかしら。
その前に、何が居るのか確認した方が良いのかしら?
風の音でしたってなったら、大騒ぎしてもみっともないし…ね。
そっと重いカーテンに手をかけると、外をちらりと覗く。
ふと、顔を上げた瞳と目があった。
「あっ。」
思わず、ぱっとカーテンに隠れる。
くるくるの金髪の巻き毛に、真っ赤な瞳、レティの胸元位の背丈。
間違いない。あの少女だ。
森の中で会った、捕虜の…。
「ん?何で此処にいるのかしら?」
ガシャン。
大きな音とともに、風が吹き込む。
外に流されるカーテンの隙間から、割られたガラスの破片が床へと落ちた。
「お前、あの時の魔女か。」
血まみれの手に、石を握り締めた少女は、ゆっくりと部屋に歩み入る。
「待って。」
足元にはガラスが散らばっているのに、彼女は素足だ。
「あの時、何をした。お前のせいで、話してしまったせいで。」
「待って。怪我しちゃう。」
少しずつ近づいて来る彼女に、手を上げて静止を促す。
彼女は白く小さな足が傷付くのを気にもせず、真っ直ぐにレティから目を反らさない。
バタバタバタ。
扉の外が騒々しい。
ガラスが割れた音が、部屋の外にまで聞こえていたのだろうか。
「レティ。大丈夫?」
ソウンディックの声が聞こえる。
背後からは数人はいるだろう、喧騒もする。
「だ、大丈夫です。」
彼女と向き合ったまま返事をしたせいで、思わず声が上ずってしまった。
しまった。と思った時には遅かった。
「開けるよ。」
掛け声とともに開けられた扉の方へ顔を向けると、険しい顔をしたソウンディックと剣を構えるアルベルトがいた。
「だ、大丈夫ですよ?」
「とてもそうは見えないよ。レティシア。」
首を振る。
血塗れで石を握る少女と、両手を掲げて微動だに出来ないレティ。
確かに、大丈夫そうには見えないかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
わたしたちの庭
犬飼ハルノ
恋愛
『夜明けになるまで絶対に寝室の扉を開けないで』
未来の義母が告げたのは奇妙な夜の掟だった。
父に売られる形でブルーノ伯爵子息の婚約者になったフィリスの物語。
ヒロインのフィリスが自らの力と周囲の人々に支えられて幸せをつかむ話ですが、しばらくは暗く重い展開です。
タグを途中から追加します。
他サイトでも公開中。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる