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第三章
第101話 そりゃヤることヤったら、まあ……そうなるわな?②
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頭を冷やすという意味では、井戸に飛び込む行動は最善と言えよう。何せ近くの小川から引いてきたこともあってか水温はキンキン……ありがたくもあり、犯罪的でもあったからだ。
しかし、それは私視点だから言えること。愛する妻と娘からしたら身投げ同然の行為であり、当然引き上げられた後、こってり――
「大丈夫⁉ あなた⁉」
「パパっ! しんじゃやだよぉ! えぇぇええぇぇん!」
怒られるかと思ったが……普通に心配された。
リリスは決して咎めることをせず、サブロウの身体をタオルで拭き、リリンは自分が濡れることも厭わず、泣きながら父へと抱きついていた。
身体は冷え切っていたが心は温かい……。そんな温度差のある状況にサブロウは――
「この状況、明らかにおかしい……。仮にドッキリだとしても意図が分からない。主人公としての自覚を持たせる為……? その線も考えれられるが、子供まで用意できるとは到底思えない。となると、もしや……」
頭も冷え切っていた。
さすがはサブロウ。幾つもの修羅場を潜り抜けてきたとあってか、己を律することなどお手の物だった
サブロウは暫しの思索ののち、当てがついたのか突然立ち上がると、そのまま畑の間を抜けるように歩き始める。
「ちょっと、あなた⁉ どこ行くの? 朝ご飯は?」
「パパ……」
サブロウは又もや妻子の制止を振り切り、何やらブツブツ呟きながら森の中へと消えていった。
◆
おい、サブロウ。
「やはり、カオスコードが……」
おい……!
「だとしたら、あの人以外……」
聞いてるのか、サブロウ⁉
「え? あ、あぁ……どうした、『N』?」
私の声が届き、漸く立ち止まるサブロウ。
いきなり飛び出して、どうしたはないだろう? 一体、どこへ行くつもりだ?
「兄貴のところさ」
兄貴……? 何故、ブリッツのところへ?
「これがドッキリ……もしくはドッキリでないにしても、かなりの力が働いていることは間違いない。それこそ世界改変級の力がね。そんなことできるのは、世界広しと言えど兄貴しかいないだろう?」
世界改変って……流石にぶっ飛びすぎじゃないか? まだ、幻惑魔術を疑った方が自然だぞ。
「だから、その幻惑魔術が世界級なのさ。……兄貴は」
まあ、カオスコードを用いれば、それも可能かもしれんが……。だからって、それだけで決めつけるのはなぁ……
「理由はそれだけじゃない。君は気付かなかったか? ……家の中にあった違和感を」
そんなもん違和感だらけだっただろ? あのリリスが嫁になってるし、子供まで出来てたんだ。それ以外あるか?
「実はもう一つあったんだ。いや、厳密には無かった。違和感はあったけど、有ったはずの物が無かったんだ。玄関横に備えられていた【昇華】……そのModel-Tが」
Model-T……? Model-Tって確か別のと連結して、その場所に転移するヤツだったよな? 繋がってた場所はソフィアとブリッツの……あ!
「そう。何故か三種あるうちのModel-Tだけが、そこには無かったんだ。これは明らかにおかしい。寧ろヒントと言って差し支えない。恐らく僕が気付いても、すぐに来れないように排除しといただんだろうね」
なるほど……。となると、ブリッツのところまで行く道中、まだ何か仕込んでる可能性はあるな。
「ああ。油断はできない。気を引き締めていこう」
こうして我々は世界の中心である魔天籠、そのエリアを根城にするブリッツの下へと向かうのだが……結論から言おう。
この推測は外れることになると……
しかし、それは私視点だから言えること。愛する妻と娘からしたら身投げ同然の行為であり、当然引き上げられた後、こってり――
「大丈夫⁉ あなた⁉」
「パパっ! しんじゃやだよぉ! えぇぇええぇぇん!」
怒られるかと思ったが……普通に心配された。
リリスは決して咎めることをせず、サブロウの身体をタオルで拭き、リリンは自分が濡れることも厭わず、泣きながら父へと抱きついていた。
身体は冷え切っていたが心は温かい……。そんな温度差のある状況にサブロウは――
「この状況、明らかにおかしい……。仮にドッキリだとしても意図が分からない。主人公としての自覚を持たせる為……? その線も考えれられるが、子供まで用意できるとは到底思えない。となると、もしや……」
頭も冷え切っていた。
さすがはサブロウ。幾つもの修羅場を潜り抜けてきたとあってか、己を律することなどお手の物だった
サブロウは暫しの思索ののち、当てがついたのか突然立ち上がると、そのまま畑の間を抜けるように歩き始める。
「ちょっと、あなた⁉ どこ行くの? 朝ご飯は?」
「パパ……」
サブロウは又もや妻子の制止を振り切り、何やらブツブツ呟きながら森の中へと消えていった。
◆
おい、サブロウ。
「やはり、カオスコードが……」
おい……!
「だとしたら、あの人以外……」
聞いてるのか、サブロウ⁉
「え? あ、あぁ……どうした、『N』?」
私の声が届き、漸く立ち止まるサブロウ。
いきなり飛び出して、どうしたはないだろう? 一体、どこへ行くつもりだ?
「兄貴のところさ」
兄貴……? 何故、ブリッツのところへ?
「これがドッキリ……もしくはドッキリでないにしても、かなりの力が働いていることは間違いない。それこそ世界改変級の力がね。そんなことできるのは、世界広しと言えど兄貴しかいないだろう?」
世界改変って……流石にぶっ飛びすぎじゃないか? まだ、幻惑魔術を疑った方が自然だぞ。
「だから、その幻惑魔術が世界級なのさ。……兄貴は」
まあ、カオスコードを用いれば、それも可能かもしれんが……。だからって、それだけで決めつけるのはなぁ……
「理由はそれだけじゃない。君は気付かなかったか? ……家の中にあった違和感を」
そんなもん違和感だらけだっただろ? あのリリスが嫁になってるし、子供まで出来てたんだ。それ以外あるか?
「実はもう一つあったんだ。いや、厳密には無かった。違和感はあったけど、有ったはずの物が無かったんだ。玄関横に備えられていた【昇華】……そのModel-Tが」
Model-T……? Model-Tって確か別のと連結して、その場所に転移するヤツだったよな? 繋がってた場所はソフィアとブリッツの……あ!
「そう。何故か三種あるうちのModel-Tだけが、そこには無かったんだ。これは明らかにおかしい。寧ろヒントと言って差し支えない。恐らく僕が気付いても、すぐに来れないように排除しといただんだろうね」
なるほど……。となると、ブリッツのところまで行く道中、まだ何か仕込んでる可能性はあるな。
「ああ。油断はできない。気を引き締めていこう」
こうして我々は世界の中心である魔天籠、そのエリアを根城にするブリッツの下へと向かうのだが……結論から言おう。
この推測は外れることになると……
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