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待ち合わせの君
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「亜依はさ、彼氏ができたら待ち合わせは待ちたい派?待たれたい派?」
今日も今日とて放課後の教室。千紗の恋に恋する恋バナは毎日話題に事欠かない。
「二人とも待ち合わせ2、3分前にぴったり来るのが理想かな」
亜依は昨日買った雑誌をぺらぺらとめくりながら答える。
「えー、めっちゃ真面目やん、ほんで亜依やから間に合うやん、私は絶対待たれたい派!」
「そもそも遅刻魔やん」
「ちゃんと待ち合わせ場所にいてくれて、全然待ってないよって言われたい!」
「いや遅れてんねん、まずは反省して」
「というのもさ、最近ずーっと駅で待ち合わせしてる人を見かけて、」
「人の話聞いてる?」
◆◆◆
毎日、千紗の帰宅時間は同じくらいだ。
この2週間ほど、改札を出ると同じ男の人が改札を見ながら立っている。
お迎えだろうか。
それにしても、1、2本電車が前後しても、彼はいつも改札の外に立っている。
あまりにも毎日見かけるので、さすがに千紗も気になってきた。
そんなに毎日待てるということは、きっと相当に愛しているはずだ。
そんなに愛されている人を、一目見てみたい。
そう思った次の日、改札を出ると、やはりその人はいた。
もう少し待てば現れるだろう。
軽い気持ちで、待ち合わせを装ってスマホを触りはじめた。
しかし――
待てど暮らせど、というにはまだ短いかもしれないが、全然待ち人は現れない。
SNSももう一周したし、お腹は空いてきたし、お母さんからメッセージも来てしまった。
その日は諦め、次の日は気合いを入れて待つことにした。
◆◆◆
「……それ、ストーカーとかにならへん?」
「……追いかけてないから大丈夫ちゃう?」
「まあいるだけなら大丈夫か。続けて?」
◆◆◆
次の日、お母さんには遅くなると伝え、スマホで見れるものが終わったとき用に、文庫本も持ってきた。
これなら1時間以上でも余裕で待てる。
前日と同じように、ひとしきりSNSのチェックとメッセージの返信を終え、文庫本を取り出したところだった。
改札の中から元気に手を振って駆け寄ってくる女の人が見えた。
「ごめんごめん、今日も待った?」
あの人の方に笑いかけている。
ちなみに、芸能人かと思うくらいの美人だ。
「ううん、全然待ってへんよ」
男の人も優しく笑いかける。
嘘やん!!めっちゃ待ってるやん!1時間、いや、2時間くらいは待ってる勢いやん!
「途中までやけど一緒に帰ろ」
男の人が手を差し出し、女の人は笑顔でその手を取った。
◆◆◆
「めっっっちゃよくない!?」
千紗が手をバタバタとする。
「それは、めっちゃいい」
亜依も思わずため息をつく。
「きっとすぐそこやけど毎日送ってるんやわ……あんなに待つなんて愛やわ……」
「ほんまやな……そんなふうに待たれたいな、待たせるんは落ち着かんけど、そんくらい愛されたいな……」
二人で憧れを膨らませる放課後。
今日も今日とて放課後の教室。千紗の恋に恋する恋バナは毎日話題に事欠かない。
「二人とも待ち合わせ2、3分前にぴったり来るのが理想かな」
亜依は昨日買った雑誌をぺらぺらとめくりながら答える。
「えー、めっちゃ真面目やん、ほんで亜依やから間に合うやん、私は絶対待たれたい派!」
「そもそも遅刻魔やん」
「ちゃんと待ち合わせ場所にいてくれて、全然待ってないよって言われたい!」
「いや遅れてんねん、まずは反省して」
「というのもさ、最近ずーっと駅で待ち合わせしてる人を見かけて、」
「人の話聞いてる?」
◆◆◆
毎日、千紗の帰宅時間は同じくらいだ。
この2週間ほど、改札を出ると同じ男の人が改札を見ながら立っている。
お迎えだろうか。
それにしても、1、2本電車が前後しても、彼はいつも改札の外に立っている。
あまりにも毎日見かけるので、さすがに千紗も気になってきた。
そんなに毎日待てるということは、きっと相当に愛しているはずだ。
そんなに愛されている人を、一目見てみたい。
そう思った次の日、改札を出ると、やはりその人はいた。
もう少し待てば現れるだろう。
軽い気持ちで、待ち合わせを装ってスマホを触りはじめた。
しかし――
待てど暮らせど、というにはまだ短いかもしれないが、全然待ち人は現れない。
SNSももう一周したし、お腹は空いてきたし、お母さんからメッセージも来てしまった。
その日は諦め、次の日は気合いを入れて待つことにした。
◆◆◆
「……それ、ストーカーとかにならへん?」
「……追いかけてないから大丈夫ちゃう?」
「まあいるだけなら大丈夫か。続けて?」
◆◆◆
次の日、お母さんには遅くなると伝え、スマホで見れるものが終わったとき用に、文庫本も持ってきた。
これなら1時間以上でも余裕で待てる。
前日と同じように、ひとしきりSNSのチェックとメッセージの返信を終え、文庫本を取り出したところだった。
改札の中から元気に手を振って駆け寄ってくる女の人が見えた。
「ごめんごめん、今日も待った?」
あの人の方に笑いかけている。
ちなみに、芸能人かと思うくらいの美人だ。
「ううん、全然待ってへんよ」
男の人も優しく笑いかける。
嘘やん!!めっちゃ待ってるやん!1時間、いや、2時間くらいは待ってる勢いやん!
「途中までやけど一緒に帰ろ」
男の人が手を差し出し、女の人は笑顔でその手を取った。
◆◆◆
「めっっっちゃよくない!?」
千紗が手をバタバタとする。
「それは、めっちゃいい」
亜依も思わずため息をつく。
「きっとすぐそこやけど毎日送ってるんやわ……あんなに待つなんて愛やわ……」
「ほんまやな……そんなふうに待たれたいな、待たせるんは落ち着かんけど、そんくらい愛されたいな……」
二人で憧れを膨らませる放課後。
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