50 / 60
決勝編
THE FINAL COUNT DOWN
しおりを挟む
場内から沸き起こる大音量の「テル」コール。 そして、それに同調するかの如く獣と化した干支乱勢達は鳴く。雄叫びをあげる。
「シン、ヴィーカ、ピエレ、マイ、ヒカル、アサヒ、レヴィ、ジュリエッタ、リコ、エリ、ウィン!!お前たちの魂を、俺に預けてくれ!!!」
テルの呼びかけに同調するが如く、各国の王の手に抱えられていた獣達は光に姿を変えたかと思えば、その光は矢の様にテルの体へと飛び、その矮躯に次々と入り込んでゆくではないか。
「さあ神様《ヤンセ》、俺たち12人の“闘魂”を受けてもらおうじゃねえか!!」
黄金に輝く光を纏ったテルは、ヤンセへと疾駆。牛の突進力は丑《ブル》の干支乱勢・シンの能力だ。
ヤンセはテルのショルダータックルを食らい、吹っ飛ばされながら思う。
ああ、何という 事だろう。このパントドンという世界を造り幾千年。世界を造った神に挑んだ者が現れたのも初めてならば、一人の干支乱勢に12人分の魂が宿る事など神である自分すら知り得なかった事だ。
「ウラーー!!!」
ロープの反動で跳ね返ってきたヤンセを、テルは巴投げで更に投げ飛ばす。柔道の猛者である寅《ティガ》の干支乱勢ヴィーカの技。
空中から落下するヤンセの背中に向かってテルは跳ぶ。卯《ヘア》の干支乱勢・ピエレが見せた飛び膝蹴り。
着地と同時にヤンセの鳩尾に掌を当てる。
「ホァタアっ!!!」
辰《ドラガォン》の干支乱勢マイが使う発勁。効果のほどは定かではない。
そしてテルは片手を床に付き、逆立ちする勢いで回し蹴りを放つ。カポエラの蹴り技、ハボ・ジ・アハイア!優勝を争い死闘を演じた最大のライバルであるヒカルの技だ。
「どすこい!!」
ヤンセが倒れる隙すら与えず突っ張り。午《ンマ》の干支乱勢アサヒのそれと同じく重い。
更にヤンセの喉へ、すかさず地獄突き。元は未《ラム》の干支乱勢・レヴィの使う名も無きクラヴマガの殺人技。
テルの攻撃は止まらない。申《エイプ》の干支乱勢・ジュリエッタから継承したテコンドーの蹴り・トゥルリチャギを放つと、今度はラ・ミスティカ。盟友であるリコのフィニッシュホールドである。
立ったまま脇固めの体勢になるが、あえてそれを解く。
「フラッシュ・ピストン・マッハパンチ!!!」
連続拳を上半身の至る所に叩き込む。戌《カニス》の干支乱勢エリの必殺ブロー!
そして顔面に頭突き。亥《バビルサ》の干支乱勢・ウィンが使うラウェイ殺法。
『テル選手、自分以外の干支乱勢11人の技を立て続けに連発!最後はもちろん、自身の技でしょうか!!?』
テルはフラフラになったヤンセを担ぎ上げる。
「これで……」
跳躍。
「終わりだぁぁぁぁぁっ!!!」
全力を以て、ヤンセの背中をリングへ叩きつけた。
『出たああああ!!アトラス・ボムーーー!!!』
干支乱勢12人分の技を受けたヤンセは、仰向けに倒れる。
テルは全ての力を使い尽くす寸前で何とか立っている。どんなに身体が強靭であろうと、この技の応酬を受けて立ち上がれる生命体などいるものか。しかし、 その予想は甘かった。
相手はこの世に生命を産みだした存在である神なのだから。
「我が手により作られし命よ、魂よ。その成長を見せてくれて嬉しいぞ……」
倒れたままヤンセは話し始める。その顔に浮かぶは満面の笑み。体のどこにも負傷は見えない。
テルを始めとする全ての生物は信じられないといった顔である。
ヤンセはゆっくりと立ち上がる。
「参った。お前の勝ちだよ、テル」
その言葉に、会場が静寂に包まれた。
「シン、ヴィーカ、ピエレ、マイ、ヒカル、アサヒ、レヴィ、ジュリエッタ、リコ、エリ、ウィン!!お前たちの魂を、俺に預けてくれ!!!」
テルの呼びかけに同調するが如く、各国の王の手に抱えられていた獣達は光に姿を変えたかと思えば、その光は矢の様にテルの体へと飛び、その矮躯に次々と入り込んでゆくではないか。
「さあ神様《ヤンセ》、俺たち12人の“闘魂”を受けてもらおうじゃねえか!!」
黄金に輝く光を纏ったテルは、ヤンセへと疾駆。牛の突進力は丑《ブル》の干支乱勢・シンの能力だ。
ヤンセはテルのショルダータックルを食らい、吹っ飛ばされながら思う。
ああ、何という 事だろう。このパントドンという世界を造り幾千年。世界を造った神に挑んだ者が現れたのも初めてならば、一人の干支乱勢に12人分の魂が宿る事など神である自分すら知り得なかった事だ。
「ウラーー!!!」
ロープの反動で跳ね返ってきたヤンセを、テルは巴投げで更に投げ飛ばす。柔道の猛者である寅《ティガ》の干支乱勢ヴィーカの技。
空中から落下するヤンセの背中に向かってテルは跳ぶ。卯《ヘア》の干支乱勢・ピエレが見せた飛び膝蹴り。
着地と同時にヤンセの鳩尾に掌を当てる。
「ホァタアっ!!!」
辰《ドラガォン》の干支乱勢マイが使う発勁。効果のほどは定かではない。
そしてテルは片手を床に付き、逆立ちする勢いで回し蹴りを放つ。カポエラの蹴り技、ハボ・ジ・アハイア!優勝を争い死闘を演じた最大のライバルであるヒカルの技だ。
「どすこい!!」
ヤンセが倒れる隙すら与えず突っ張り。午《ンマ》の干支乱勢アサヒのそれと同じく重い。
更にヤンセの喉へ、すかさず地獄突き。元は未《ラム》の干支乱勢・レヴィの使う名も無きクラヴマガの殺人技。
テルの攻撃は止まらない。申《エイプ》の干支乱勢・ジュリエッタから継承したテコンドーの蹴り・トゥルリチャギを放つと、今度はラ・ミスティカ。盟友であるリコのフィニッシュホールドである。
立ったまま脇固めの体勢になるが、あえてそれを解く。
「フラッシュ・ピストン・マッハパンチ!!!」
連続拳を上半身の至る所に叩き込む。戌《カニス》の干支乱勢エリの必殺ブロー!
そして顔面に頭突き。亥《バビルサ》の干支乱勢・ウィンが使うラウェイ殺法。
『テル選手、自分以外の干支乱勢11人の技を立て続けに連発!最後はもちろん、自身の技でしょうか!!?』
テルはフラフラになったヤンセを担ぎ上げる。
「これで……」
跳躍。
「終わりだぁぁぁぁぁっ!!!」
全力を以て、ヤンセの背中をリングへ叩きつけた。
『出たああああ!!アトラス・ボムーーー!!!』
干支乱勢12人分の技を受けたヤンセは、仰向けに倒れる。
テルは全ての力を使い尽くす寸前で何とか立っている。どんなに身体が強靭であろうと、この技の応酬を受けて立ち上がれる生命体などいるものか。しかし、 その予想は甘かった。
相手はこの世に生命を産みだした存在である神なのだから。
「我が手により作られし命よ、魂よ。その成長を見せてくれて嬉しいぞ……」
倒れたままヤンセは話し始める。その顔に浮かぶは満面の笑み。体のどこにも負傷は見えない。
テルを始めとする全ての生物は信じられないといった顔である。
ヤンセはゆっくりと立ち上がる。
「参った。お前の勝ちだよ、テル」
その言葉に、会場が静寂に包まれた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる