わたしは

momo

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第一章

わたしは…合格の

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あの、いつも佐倉くんといっしょに帰り道に通った公園。
初めて手を繋いで周りを歩いた公園に…。

彼は待っていた。

『ごめんね、遅くなっちゃって。』

慌ててそう駆け寄ると、

「来ないかと思った」

っとフイっと横向いてしまう。

『ご、ごめんね。』

「いい、うそ。怒ってない。
    こうやって来てくれたし。」

『ありがとう。お待たせですっ。』

笑顔で向き合うとやはり恥ずかしい。
思わず下を向いてしまう。

っと、グイっと腕を引寄せられ、
ふわっと佐倉くんの香りに包まれた。

ぎゅっと抱き締められた。
胸がきゅんきゅんとまらないよー。

「ご褒美だ。」

『えっ。』

「○○高校合格したろっ。よくやった。」

『あ、ありがとう。佐倉くんのおかげだよ。自分でも受かったのが不思議なくらいで…。』

「受かってもらわないと困るから。」

『そ、そうだよねっ。バカでごめんね。』

ぎゅっ。

「俺が、こうやって抱き締められないだろ。これで堂々と付き合えるな。」

佐倉くんの鼓動まで伝わってくるかのように、
トクントクン振動がくる。

「はい。」

急に離れたかと思うと、目をつむる彼。

『へっ!えっ、どゆこと?』

「キス。はじめては君とって決めてたから。はいっ。」

そう言ってまた目をつむっている。

ええええええええーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

わ、わたしからぁっ!!

いやぁ、それは無理無理ぃー!!

わたしだって…柴野くんとキスくらいしたことあるけど…。

いつも柴野くんからだったし…。

わたしからなんて、無理だよーーーっ!!

た、助けてーーー!!!

心のなかは大騒ぎ。でもでも…なんて困っていると、


「早く。きて。」

さらに追い討ちがぁぁぁあああっ!!

逃れられないと悟り、覚悟を決めて、

えいっと、

ちゅっ。

目をつむってアタックしてみる。
ううっ、めちゃくちゃ恥ずかしい。

『もっと。』

「えっ!いや、もう、恥ずかしいよー!!」

さすがに、顔から火が出ちゃうよー。

『わかった。』

ホッとして胸を撫で下ろすと、

グイっ、また腕を引寄せられて

ちゅう~。唇が重なる。

鼻息がこそばゆい。あれっ、いつ息すればいいの。
どうしようっ。うっ、息が苦しくなってきた…。

っぱあ、はぁはぁ。

「息していいのに。」

いやっ、もう色々限界突破口しちゃってるよー。
パニック状態のわたしを見て、

「クスっ、これはおもしろい。」

いぢわるに微笑む佐倉くん。

『もーいぢめないでぇー。もうっ。』

「ふふふ、わーたっ。わーった。」

ヨシヨシ頭を撫でてくれる。

微笑み合うわたしたちは卒業の寂しさよりも、合格の幸せをかみしめていたのでした。

そう、いつまでもこうして佐倉くんと…笑い合っていれたらずっと幸せでいられたのかな。

この先待ち受ける高校生活は…決して楽しいものではなかった。

                                                

 
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