転生輪廻の伝承記 ~一から作る異世界文化~

菊一片

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序生 只のサラリーマン 天崎 奏多

第2話 そこは生と死の狭間にして魂の領域

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直樹を自分ごとマンションから落ちて死んだと思っていたのに
「俺は・・・?あの時いっしょに落ちて・・・」
そうして俺は体を起こして辺りを見渡す。
「ここは・・・?」
そこは、壁一面が真っ白で天井と床が真っ黒な空間だった。
「明かりになりそうなモノがないのに明るいな・・・」
ここがどこなのか、手がかりになりそうなモノを探しつつ考える。
「まさか・・・死んで無いってオチはないよな・・・」
そんな事を考えながら辺りを見渡していると、
「あっ!ホントにいた!!」
急に背後から声がしてビックリしながら振り返ると、
「ユナちゃん!?」
なぜここに?と問いかける前にある事に気付く。
「って!?おお!!」
の状態で彼女が立っているのが視界に入ってきて・・・
「カナちゃんの・・・スケベー!!!」
俺の視線が下に下がった瞬間に鋭いキレのワンツーが俺の顎を的確に捉えた。
「がびしっ!?」
「もう!そこは気づかないフリをするのが普通でしょ!?」
腰に手を当てて胸を張りながら説教をするユナちゃんに俺はかろうじで質問する。
「ユナちゃんは・・・いつからここに?」
彼女は悲しそうに目を伏せてゆっくりと首を振りながら答える。
「誕生日のかな・・・」
俺は予想通りだった事を改めて聞いて、
「そうか・・・」
そう一言絞り出すのがやっとだった。
しばらく沈黙が二人の間に流れて、ユナちゃんがポツリポツリとどうしてを語り始めた。
「まず一番最初にね、ナオ君と付き合う時にね・・・私、の事が好きって言って何回かナオ君の事・・・」
「ナオの奴そんなに前から知ってたのか?」
俺がそう聞き直すと、ユナちゃんはゆっくりと首を縦に振った。
「でもね、カナちゃん・・・正直ちょっと人間不信だったでしょう?その事をわかっちゃった時にナオ君が、カナちゃんの人間不信が治るまでの間でもいいからって言い出して・・・」
「・・・それで?」
ユナちゃんは悲しそうにしながら続けた。
「それで大学を卒業した辺りから付き合い始めたの・・・」
「それでそのままあの日まで続いてたの?」
今にも泣きそうな表情をしながら彼女は続ける。
「最初の一年、二年くらいは普通だったの・・・でも、その辺りを過ぎたくらいからどんどんおかしな事を言い出して・・・それで一回、別れようとしたの・・・余りにも様子がおかしかったから・・・」
ずっと誰にも言わず抱えていたのだろう、彼女の瞳から涙が溢れ出す。
「でもね、そしたらカナちゃんを!奏多君を殺すって言い出して!?だから!!奏多君の事が好きだから!!私のせいで迷惑なんて・・・」
俺はその先を言わせない為に彼女を抱きしめた。
「ありがとな・・・そんなに好きでいてくれて・・・ごめんな、全然気づかなくて・・・もし、俺が気づいていたらもっと違った結果を出せたかも・・・」
知れないと言おうとしたら、俺の口は彼女の口で塞がれた。
「・・・あっ!?」
「その先は言わせないもん!確かにカナちゃん本気出すと何でも出来ちゃうけど、一人で全部背負っちゃうんだもん・・・私にも手伝わせて欲しかったなぁ・・・」
俺の腕の中で頬を赤く染めながら、可愛く上目遣いで訴えてくる彼女に応える。
「わかったよ、来世はしっかり手伝ってもらうから・・・な?」
そう言って今度は俺が彼女の口を
「あの・・ね?私の方は言ったし・・・カナちゃんの事も聞きたいなぁ~」
破壊力抜群な上目遣いに負けて、軽く頭を撫でながら、
「このタイミングまで自分の気持ちに気づかないとはな・・・」
さすがに苦笑を禁じ得なくって、軽く自嘲してから
「ユナ、大好きだよ!来世では必ず幸せにしてみせるから!!」
ユナは嬉しそうに笑顔のまま泣いた。
「うん!私も必ず奏多君の事幸せにするから!」
そうして再びくちびるを重ねた。
するとユナの体が輝き始めた。
「ユナ!?」
俺がぎゅっとユナを抱き締めると、
「あうっ!?へ、平気だから!!ここでの時間は終わりってだけで・・・」
「ここでの時間?」
俺が疑問に思っていると、
説明してくれると思うから、だから先に行ってるね!」
そう言ってまた俺の唇を奪って、こう付け足した。
「カナちゃん!生まれ変わっても遅刻と浮気は厳禁だからね!!」
そうユナは光となって消えた。
ユナが立っていた場所を呆然と見ていると、
「やれやれ、逝ってしもうたか・・・」
突如、女性の声が辺りに響いた。
俺はビクッとしながら声を出す。
「だ、誰だ?」
「にゃ~」
突然、背後から聞き覚えのある猫の鳴き声を聞いて振り向くと、
「ルー!?」
何故か我が家の愛猫マイスウィートハートが散歩していた。
「お、お前まで死んでしまったのか!?」
俺はショックの余りに動揺しながら抱き上げると、
「別に死んだわけではないぞ?」
再び声がするので、今度はようで声のする方に視線を向けると、
「ル、ルー!?今しゃべったのはお前か!?」
俺が驚愕しながら見つめていると、
「ふふっ!中々いいリアクションじゃの主殿。」
すると抱き上げている手の中から宙に浮いて、空中でおすわりをする。
「さて、主殿がここにいる理由を伝える前に我の事を教えようか。」
前足で顔を擦りながら、ごく自然に自らの事を切り出した。
「我が名は、オリジン。オリジン=ルー始源じゃ。を司ると理解してくれればよい。」
そう言ってルーは急に発光しだした。
「えっ!?まさかお前も・・・」
逝ってしまうのか?そう思った瞬間、
「違うぞ?主殿、特別に我の真の姿を見せよう!」
光は大きくなりやがて、人の形になって収まっていく。
「どうじゃ?主殿?これが儂の真の姿じゃ♪」
スタイル抜群のボン・キュッ・ボンな猫耳な美女が姿でそこにいた。
「前を隠せ!前を!?」
俺が慌ててルーにそう喋ると、
「むっ!?忘れておったわい・・・でもまぁ、主殿ならよいか。」
「いや、良くねぇし!?」
動揺する俺をよそに、ルーは俺の隣に歩いて来て、
「主殿、儂も神霊等と言う肩書きがあるが女である事には変わりない、いつものように撫でてくれぬか?」
ロングの銀髪についている猫耳を目の前に俺は触る事を我慢出来なかった。
「ふみゃあん!」
いつものように耳をマッサージしながら頭を撫でると、声が聞こえる。
「変な声を出すな、こっちが変な事をしてるみたいだろ!?」
そう言ってると今度は座るように言われる。
「こうか?」
「ん」
短い返事と共に俺の足の上に座る。
「まったく、ユナの前じゃ出来ないな・・・」
「主殿、こういう時に他の女の名前を出すのはエチケット違反ぞ?」
そう言いながらゴロゴロと俺にすがりつく。
「さて、そろそろ諸々の説明に入るかの・・・」
「この空気でか・・・」
「とりあえず、主殿が並々ならぬ不運に遭遇したのは主殿にスキルと言うモノを所持してしまっているからじゃ」
犬も歩けば棒に当たる、奏多が歩けばトラブルが起きる。
子供のころはそんな事を言われていたし、実際そのぐらいトラブルが起きた。
学校の修学旅行だと絶対にバスか新幹線が止まるし、高校の時は飛行機も止まった。
運動会や体育祭だと飾り付けした備品が飛び、マイクが故障して極めつけが放送に使うスピーカーまでもが壊れた。
最初のうちは偶然で済んだが高校ぐらいからは俺がいるからだと理解した。
「まぁ、そのスキルなんだが本来であれば地球には存在しない力なんじゃそれを持ってしまった故に偶然が偶然では無くなってしまった。」
「つまり、本来起こらない筈の事故やトラブルが発生したって事か?」
「そうじゃ、主殿がスキルを持ってしまった事は有り体に言ってしまえばバグなんじゃ、だからそれを取り除こうと世界は主殿に厳しく当たった。」
「・・・」
「そして我は、緩和する為に主殿の傍に行ったのじゃよ。まぁここまで愛してしまうのは誤算じゃったが、それでも我は幸せじゃったぞ!主殿!」
「そっか・・・」
短く返事をしてから額に軽くキスをした。
「ふにゅっ!?主殿それはそれで嬉しいのだが出来ればユナと同じように・・・」
ルーが全部を言い切る前に俺の口でルーの口を塞いだ。
「にゅふふ♪だ~♪」
「ひょっとして、キスってなんか意味があるのか?」
「何、只のマーキングじゃ♪ユナの場合は来世で結ばれる為のおまじないのようなモノじゃ♪」
若干口調が変わっているのをスルーして俺は疑問をルーに質問する。
「俺のスキルってどういう効果があるんだ?」
そう質問するとルーは笑顔で、
「スキルの名は、輪廻転生りんねてんしょう。今世の記憶と能力を来世にそのまま持っていく事が出来る能力じゃよ。」
「じゃあ、俺は生まれ変われるのか・・・」
「そうゆう事じゃ、ただ能力と記憶を引き継げるだけでそれしかないのじゃがな、来世を男に出来るのは今回だけじゃし・・・」
「なるほど、女に生まれ変わる事もあるのか・・・」
「しかも、主様たちが生まれ変わる世界はまだ出来るか出来ないか限りなく原始的だと思ってよいぞ、現代の地球のような便利な道具はまだ存在しない」
「マジか!?」
「その代わりと言ってはなんだが、魔法と言うモノがある。正直科学の代わりにはなると思うぞ?」
「魔法ってどこまで出来るんだ?」
?それこそ魔力があれば何でも、火の玉を出したり飛ばしたりはもちろん、食品の発酵や鏡の研磨まで極めつけが顕微鏡のように眼に魔力を纏わせ微生物を見ることも可能じゃ♪」
「何でもありすぎじゃね?」
「ただし、これらは出来ると・・・存在していると理解していないと使えぬ、姿形を知らぬモノを作れと言っているのと変わらんからな、そして我がどれだけ神に近くても主様にチートを与える事は出来ぬのじゃ、すまぬ。」
そう言って耳がぺたんとなった頭を下げる。
その頭を撫でながら、
「地球と違うのは魔法だけかい?」
俺に撫でられて沈んだ気持ちが紛れたのだろう、幸せそうな顔をしながら
「ふみゃ?そうだのう、あとは地球に存在する食品とは植生が違ったりしていることかのう?とりあえずその星は人が生まれて100年足らずと言った所だからのう。」
「100年で国が出来るのか?」
「元々、人という存在はが作ったモノだからのう、自らを追いかける存在として作ったのが人という存在の始まりと我らの間では言われておる。だが実際はわからぬ、世界を造り出した際の神の力のが人になったとも言われておるしのう。」
「なるほどな・・・」
要は人間は突然変異に近い方法で生まれるって事か。
「それと獣人にエルフとドワーフ、魔族もこの世界にはおるからそれらに生まれ変わる事もあるかも知れんの。」
「それはそれで楽しみだしその時はその時さ!」
「それと主様とユナの魂はこの世界の輪廻に固定されるから違う名前の世界に生まれ変わる事は無いからそれだけは覚えておいてくれ。」
「わかった。」
そう言ってある事に気付く、
「そう言えばその星、ていうか世界の名前は?」
「ふむ、そう言えば言っておらんの。」
そう言って区切り、告げる。
「その世界の名は、エルシェンタ、我らの間で古来よりという意味が込められている。」
古来より存在する世界、エルシェンタ。
俺が新たに生まれいずる世界。
「先程も言った通り、人が生まれてまだ日が浅い自分の暮らしやすいように暮らすがよい。」
そう言うのと同時に俺の体は光に包まれた。
「では、またの♪主様♪次に会うことが出来たら・・・いや、やっぱりいいのじゃ、思いのほか恥ずかしいし・・・」
後半が聞き取れず、急に赤くなってそっぽを向いてしまった。
「ルー」
「なんじゃ?っ!?」
「・・・またな?」
不意討ちを食らったせいか、首を縦に動かすのが精一杯なようだ。
そんな彼女を見ていると光が強くなり、それに包まれて俺の記憶は途絶えた。
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