グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
17 / 209

17 採取:近くの草原(日帰り)

しおりを挟む
 約束の日、東門の内側で待つ。
 都市全体を囲うに用に出来た巨大な塀、その内側と外側に見張りの兵士が立っている。
 私達は邪魔にならないような木陰へと入った。
 隣には、大きなカゴを背負ったノエが居る。

「ノエ重くない?」
「重くありませんっ! ごめんなさ、いおじょうさまに荷物を持たせてしまって」
「バスケット? いいのよ、これぐらい」

 中身は軽食だ。
 ノエが朝から張り切って、作っていたのを確認している。

「に、しても遅いわよね」
「そうなんでしょうか?」
「そう、こういう待合に女の子を待たせるのはダメなのよ」
「オレならここにいる」

 背後の木から声がして、私もノエも飛びのいた。
 赤毛の少年カインが不機嫌な顔でそこに立っている。

「い、いるなら声ぐらいかけなさいよ」
「…………次からそうする」
「まぁいいわ、今日はよろしくね」

 握手の手を差し出したら、いきなり小走りに門へと向かっていった。
 おーい、差し出した私の手どうするの。

 ノエが私の手を握ってくれた。
 優しくて涙がでそうよ。

 私たちも東門へ行き外に出るのに手続きをする。
 簡単な名簿、いくらでも偽造できそうだけど偽造する事もない。
 犯罪者かどうかを調べるだけだ。

 カインのほうを見る、兵士もまさか第二王子と思わないのか、それとも既に話は通じているのか解らないけど普通に出国するようだ。私たちも後に続く。

 近場の草原までは徒歩で一時間もかからない。
 主に取れるのは、魔法の草、土、色のついた花々など。
 魔物のほうは、ぽよぽよ、旅カラス、二本角の兎とかだろう。
 ちなみに、何度も名前が出ているぽよぽよというのはスライムみたいな者だ、体の中心に核があり、その核が中和剤の材料になったりもする。

 先頭にカイン、その後ろを私とノエが手を繋いで歩く。

「ノエ、外にでるのはじめてなんです」
「私もこうして徒歩は初めてね、グランに来た時は馬車だったし。
 こうドラゴンでもばーって出れば面白いんだけどね」
「ど、どらごんですかっ!」

 前を歩いていたカインが立ち止まる。
 剣を抜くと、その刀身が日の光に照らされて輝く。

「おじょうさまっまさか、どらごん……」
「いやね冗談。冗談よ? カイン?」

 カインは答えずに剣を一振りすると、鞘へと収め歩き出そうとする。
 カインの前には二つに切られた火ぽよぽよと、水ぽよぽよが溶けている。

「ちょっと、何か言いなさいよ」

 不思議そうな顔で振り向く。

「魔物が出たら出ましたとか、下がってろとか。
 倒しましたとか、そういう一言あっても、お姉ちゃんいいと思うなー。
 あっノエその丸いのが核と思うからカゴいれておいて」
「わかりました、おじょうさま」
「ちょっと、カイン聞いてる?」
「…………次回は気をつける」

 よく見るとカインの手から血がぽたぽたと地面へと落ちる。

「うわ、血でてるじゃない」
「気にするな、護衛として無能なだけだ」
「切り傷……じゃないわね」
「核を仕留める前に溶かされた」
「だー、久々の長文と思ったらソレ? ノエ傷薬と包帯もってる?
 そうそう、それ」

 ノエから液体の傷薬もらい、カインの傷口へと振り掛ける。
 初めて使うから下限がわからない……まぁ小さいし全部かければ問題ないでしょ。

「量が多い」

 イラ。

「いいのよ、そのほうが直り早いでしょっ」

 最後に包帯を巻こうとしたら、私の手からすべって落ちた。
 包帯は転がり、赤ぽよぽよだった液体へと吸い込まれた。

「ノエ……代えは」
「ご、ごめんなさい」

 しょうがない、私は自分のハンカチを出すとカインの傷口へと縛った。

「一応言うけど、綺麗なハンカチだからね」
「…………」
「き、聞いてる?」
「…………」

 カインは、勝手に歩き出す。
 まったくもう……、ノエのほうも終わったらしくカゴを背負いなおしていた。


 ◇◇◇

 草原へついた。
 綺麗に刈り取られた草、森との隙間にある広場だ。
 これ以上いくと『東の森』といって魔物も気持ち強くなる。

 大きな布を地面へと広げる。
 角を適当な石で押さえると私は座った。
 ノエを呼び寄せると、ノエは不思議な顔で近くに寄ってくる。

「とうっ!」
「あわっお、おじょうさまっ」

 私はノエに抱きつくと、シート代わりの大きな布の上をごろごろする。
 止まった所で、暗い顔のカインと目があった。

「何?」

 返事は返ってこない、カインは顔を背ける。別にいいんですけどねー。
 目の回っているノエを再度抱きかかえると、反対側へと転がる。
 気持ちいい。

 転生前でもこう童心に帰る事は少なかった気がする。
 ノエが腕の中でアワアワいって言う。

「気持ちいい、カインも混ざる?」

 カインのほうをみると、やっぱり私を見ていなく、なんだったら背中を向けている。

「おーい、依頼主が呼んでいるんだぞー」
「っ」

 私が呼ぶと一度振り返り、慌てて首を戻した。

「ノエ、目が回りますー……おじょうさまっ!!」
「なーに?」
「し、したっ」

 起き上がったノエがの足元を指差す。
 スカートがめくれており、生足がみえている、もちろんスパッツ的なのを履いているので下着は見えない。

「カイン、もういいわよ隠したから」
「…………悪かった」
「別にいいわよ、子供じゃあるまいし、それに仮に下着が見えたぐらいで――――」
「俺と同じ歳だよな……?」

 あ、そうよね。
 エルンとしてはまだ十六歳だった。

「それはそれって事で、さて採取でもしましょうか」
「おじょうさま、手伝います!」
「ありがと、では魔法の草でも取りましょうか」

 納得していないカインをほおって置いて、採取をしようとおもう。
 魔法の草は、他の草より栄養価もある、見分け方は根元が白ければそうで、何もなければただの草。

 採取する事数十分、私は布の上で大の字になる。
 そう、飽きた。
 そりゃゲームでも半日でも十本ぐらいしか数取れないわけよ、何十本も雑草の根元調べて魔法の草だったのはわずか一本だ。

 ノエは少し遠くで丁寧に草を別けて根元を調べてる。
 えらいなぁ……。

「ノエー休憩にしましょうー」
「はい、今戻りますー」

 顔に少し土汚れをつけたノエが立ちあがり私を見る。
 その背後に突然大きな影が出来た。
 ノエの背後には、身長の数倍のある様々な色に体を変化させるぽよぽよがノエに覆い被さろうとしていた。

「ノエええええええ」

 ノエは背後の気配で振り向き、そして固まった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...