グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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41 嵐の前の静けさあり

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 自宅に帰ると、ノエが出迎えてくれる。
 何か、どっと疲れた。

 今日の学園での出来事は、補習で呼び出されて、マギカに誹謗中傷ひぼうちゅうしょうを受けて、マギカが涙目で走って逃げて、しょうがないから探しに行かせたら帰った後と。
 さらに、その報告を聞くのにカフェで待っていたら、前作の主人公であるミーナに絡まれて、なぜか奢る羽目になった。
 
 うん、疲れないほうがおかしい。

「おかえりなさい、おじょうさまっ!」
「はい、ただいま」

 お土産を渡すと嬉しそうな顔でお辞儀をする。
 あー癒される。
 これよ! こういう癒しが欲しいのよ。


「あの、カー助ちゃんは?」
「ああ、帰ってこないから置いて来たわ。何時もどおり窓開けとけば帰ってくるわよ」
「わかりましたっ!」


 ナナの所の、おりこうさんなクマたんと違い、こっちのカー助は本当に自由だ。
 最初に勝手に飛んで行った時は二日ほど帰ってこなかった。
 三日目の朝にしれっと帰ってきて、餌をねだるという。本当に精霊ちゃんなの? と聞くとそこは元気良く頷く中々の奴。

「さてと、おやつにしましょう」
「はいっ」

 応接室に行き豪華な椅子に座る。
 直ぐにノエが、ケーキとホットミルクを用意してくれた。
 一口食べてホットミルクを少し飲む。

 それにしても、錬金術師ミーナかぁ。
 いえ、冒険者ミーナだったわね。
 ディーオってあんな子が好きなのかしら……って、それとも胸は小さいほうが好きな……何考えいるんだが、下らないわね。

 人の恋路に首突っ込む事でもないしー。


「…………さまっ! さまっおじょうさまっ!! ミルクがっこぼれ!!」
「何、ナナ? うわっあっつあっつあっつ!!」

 ホットミルクを飲んでたつもりが半分以上服に染込んでいた。
 慌てて服を脱ぐ、火傷はしてないようで私もノエも安心した声になった。

「危なく火傷する所だったわ」
「危なかったですね……あの、タオルです」
「ありがと、悪いけどじゃ洗濯と掃除お願いね」
「はい! 任せてください」


 まったくディーオのせいだ。
 二階へとあがろうとすると、ドアノッカーの音が聞こえた。
 誰だ、こんな時に。
 一応お金で雇った門番も居るので、変な人は来ないようにはなっている。
 
「ノエが今でますー」

 応接室から聞こえるノエの声だ。


「ノエー私が出るからいいわよーそっちお願いー」
「そ、それではお願いします」


 何でもかんでもメイドに押し付けるのもよくない。
 私は小走りで玄関の扉を開けた。
 鼠色の髪の男が私を見ている。

「あら、ディーオじゃない」
「………………」

 ディーオは私を見ると、そのまま何も言わない。

「ちょっと、何かいいなさいよ」
「す、すまないな」
「顔赤いわよ? っと、後ろ向いてどうしたのよ、用あるんでしょ?」


 私の背後からタッタッタと足音が聞こえる、ノエだろう。
 
「お、お、おおじょうさまっ!」
「あら、掃除終わった? ちょっと、慌てているけどノエどうしたのよ」
「お、おじょうさま下着、下着です」

 あっ。
 良く見ると門番がちらちらとこっちを見ている。
 私が首の部分を親指を使って空中で真横に線を引くと慌てて前を向いた。
 クビという合図だけど、こっちが悪いんだし冗談にしておきましょう。

 扉を閉め、外のディーオに声をかける。

「ごめんあそばせっ。着替えてくるからちょっと待ってて」

 優雅に答えると扉越しに返事が返って来た。

「いや、そこでいい。アイツが迷惑をかけたようで、その金を持ってきた」
「アイツって」
「ミーナだ、金も持ってないのに色々食べさせたと聞いた」

 ああ、さっきの事か。

「別にたいした金額でも無いしいいわよ」
「アレは昔から金銭に緩くてな、余計なトラブルは起こしたくない。
 ここに使った分を置いておくから後で確認してくれ」


 こっちの意見を聞かずに言うだけ言うとディーオの気配がなくなる。
 
 下着姿の私ではなく、ノエが扉を開けて外を確認した。
 封筒が二つ置いてあります! と私に手渡してくれた。

「ありがとう、ノエ」

 中身を確認すると、片方の封筒には金貨一枚と、もう片方にはレースのハンカチが入っている。
 なるほど、これがお礼ですか。


「綺麗なハンカチですね」
「そ、そうね」


 ふーん。
 アイツでもこんな気配り出きるのね。


「おじょうさま、嬉しそう」
「べ、べつに嬉しいとかはないわよ? でも、折角もらったんだし。
 良く見るとそんな高い物でもないわよね、そもそも私みたいな貴族にこんな安物とか」

 
 ふと、目線を落とすとノエがニコニコと笑顔で私を見ている。
 私はノエの頭に手を置くと、その頭を強引に動かす。脳が揺さぶられるので、人や動物に長くやってはにダメな可愛がりだ。


「あわわわわ、おじょうさまっ」
「うーりゃー」
「目が回りますー」

 コンコンコンコンコン!

 玄関の内側でふざけていると、ドアノッカーが連打される。
 今出ますーと言うノエは、言葉ではそういうけど目が回って立てなくなっている。

「あっノエさんっこんにちは! ナナです!」

 こっちが確認する前に扉の外からナナの元気いい声が聞こえてくる。

「はいはいはい」

 私が扉をあけると、ノエがホウキを持って立っていた。
 私とナナはお互いに姿を確認しあった。


「…………掃除だったら、間に合ってるわよ」
「こんにちはエルンさ……あの何で下着で……」
「特に意味はないわ」
「そうなんですか……? あの、掃除じゃなくて、出来たんです!」
「子供が?」


 ナナは私の言葉を聞いて言葉をとめた。
 暫く考えたのか、突然顔が赤くなる。
 小さい声で私に尋ねてくる。

「き、貴族流の冗談なんでしょうかっ……?」
「いいえ。ただの低俗なジョークよ。所で何が出来たの?」
「そ、そうでした。見てください『飛んでるホウキ』です!」

 私に見せてくれたのは、真ん中に布で補強されたクッション付きのホウキだ。

「え、これって」
「はい。ミーナさんの折れたのを貰い。先ほどエルンさんから頂いた浮遊石を入れた所出来たんです!」


 出来たんですというが、これだから天才は。


「一緒に飛びたくて飛びたくて、ぜひエルンさんに見てもらいたく!」
「はいはい、着替えてくるからちょっと待ってて」

 ノエに後はお願いねと言うと、私は着替える事にした。
 一通り着替えた。
 念のため飛ぶと聞いて下もズボンに履き替える。

 小さな庭に出ると、既にナナはホウキに跨り地上から1メートル前後をふよふよと浮いていた。
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