グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

文字の大きさ
91 / 209

87 それぞれの下準備

しおりを挟む
 交渉に交渉をして結局金貨三枚と銀貨三枚を失った。
 こうやって観光客から金を奪う店なのね。
 とはいえ、大きくもめて、こわーい人が出てきても面倒だし、あっでもアマンダが居るからその辺は大丈夫なのかしら。
 どっちにしろ、あまり揉め事はしたくない。

「って、他に何か面白い商品ないの?」
「当店の物は全て限定品色々ありますよ。例えば『飛んでるホウキ』の派生である『ぶっとんだ靴』なんと、空を飛べます」
「飛ぶのは靴だけって事はないわよね?」
「…………さて、こちらはどうでしょう。この薬を飲めば一時間だけ時を止めれますになれるのです」
「飲んだ本人のも止まってるから、飲んでも効果がわからないとかって事は?」

 アルマゲ? ハルマゲドンはわざとらしく溜め息をだす。
 本当なのかーい。

「では、この薬はどうでしょう? 笑顔になれる薬です…………失礼お客様には効果がないかもしれません」
「どういう意味よ! それにそれって飲んだら笑いが止まらないとかオチじゃないでしょうね?」
「お客様、そう疑っては楽しい事など何も無いですよ? 当店は錬金術師のお店です。
 冷やかしだけであればお帰りになってください」

 ハルマゲドンが不機嫌になる。
 おっと、別に怒らせに来たわけじゃない。
 情報を聞きたいのだ。

「ごめんなさい、私も錬金術師をかじっていてお店に興味あったのよ」
「ほうほう! それは失礼」

 ハルマゲドンが急に笑顔になった。

「ちまたでは、中々に認められない職業ですからなぁ。
 これでも錬金術師のメッカ、グラン王国にある学校に入った事もあるんですよ。
 しってますか? あの知の錬金術師ディーオ、あれこそはわたくしの弟子だったんですよ」
「え、ディーオの先生なの!?」
「おや、知っていましたが」
「まぁ、一応生徒なので」
「ほうほうアイツも今は先生ですか、世界は狭いですなぁ……故郷の人に幸あれ、よしでは、全品二割引きにしましょう、ゆっくり見てください。いやあ嬉しいですなぁ、このような場所で同郷の錬金術師にであるとは、この国は錬金術師の扱いが低すぎて胡散くさいって良く注意されてね。いやー若いのに関心だ」

 え。絶対に何か買わないといけない空気じゃないのこれ。
 欠陥商品なんて、どれも要らないんだけど……しかも一個一個が微妙に高いし。
 錬金術師に出会えて凄い嬉しそうになったのは、こっちにとっても大チャンスだ。

 さりげなーく、さりげなく聞いてみる。


「そ、それよりも。最近変な錬金術師こなかった?」


 えるんちゃん、さりげないって何にゃと、小さく聞こえたような気がするけど気のせいね。
 だってこんなにも、さり気ないんですもの。
 それに、なんちゃらドンの人は答えてくれそうだし。


「はて…………お客様の事はいちいちおぼえておりませんが。
 ああ、そうだ! 物が売れれば思い出すかもしれません」


 あれほど笑顔だったのに、急に商売人の顔になった。

 く、なんてあくどい。酷くない? ぜええったい覚えてるわよね。
 やっぱり買わないといけないのか……。
 これって経費で落ちるのかしら。


 ◇◇◇


 毎度ありーと背後から声をかけられる。
 結局、凝縮された裏中和剤セット、お値段なんと金貨四枚と風邪のマント。
 風ではなく風邪で仮病を使う時に羽織るマントを金貨二枚で買った。

 私じゃ使いようがないから中和剤はナナに送っておこう。
 仮病のマントはこれはもって置く事にする。

「何がディーオはわしが育てた。結局嘘だったじゃない」
「にゃはは」

 そう、営業トークという奴で、私がディーオの昔の事を聞くと適当な事を言い出した。
 曰く昔は坊主だったとか。
 基礎は俺が教えたとか。
 女遊びを教えたのも自分とか。
 

「でもにゃあ……」
「そうね。操り草と睡眠草、それと毛生え薬の本を一緒に買った人物は居たみたい」


 操り草あやつりそうは、煎じて飲ませると一晩だけ相手を自由に出来る。
 睡眠草すいみんそうは、煎じて飲ませると半日寝かす。

 どっちもグラン王国では取り扱い禁止な草だ。
 こっちの国でも禁止であるけど、そこはそれ割りと何でもなるのが世の中なのだ。

 …………。

 ……………………。

 毛生え薬けはえくすりは、まぁうん……男は髪の毛だけが魅力じゃないし、無くてもかっこいい人はかっこいいのよ。
 そんなに気にするものなのかしら、いや、気にするか……私も自分が薄くなったら嫌だし。
 でも男性は別に坊主でもよくない? よくないのかしら。

 購入から既に七日以上経っている。
 サミダレからの報告で、第二王女の屋敷には使用人しか居ないといわれた。
 私達は怪しい錬金術師を探す事、でも、深入りはだめよと見得ないハート付きで女王にお願いされている。

「あれ。結構無茶苦茶な依頼よねこれ」
「………………今気づいたのかにゃ?」
「し、失礼ね、前から気づいていたわよっ…………ごめん、今気づいた」
「にゃはー」

 でも、あの状態で断れないし、私の命も掛かってるんだし、しょうがないわよね。

「別にえるんちゃんがあの時断れば、グラン王国まで逃がすわよ?」

 心を読んだようにアマンダが突っ込みを入れてきた。

「え?」
「だって、そのための護衛なんだし」


 何時もの猫語ではなく真面目に言われた。
 確かに、アマンダなら出来そう。
 いや、出来るから言うんだろう。

「その場合シンシアとガルドは?」
「えるんちゃーん、何事も諦めは肝心なのよー忘れる事にゃ」

 アマンダは少しだけ笑うが、何か悲しげだ。
 諦め、つまりは何か起ころうとも忘れろと言う奴。
 そりゃ…………うん。反論は出来ない。

「でも、助ければ、皆ハッピーなのよね」
「その皆に第二女王は入ってにゃいなー、にゃごめん。別に泣かせるつもりは」
「泣いてませんしー! 砂が目に入ったのよ」

 これはマジで。
 なんであった事も無い第二王女まで心配しないといけないんだ。
 しょうがないじゃない。
 やった事にはやったなりの責任は付くのよ、だから、私だって打ち首されたんだから。

 多少は割り切らないと生きていけない、これがナナだったら違うんでしょうけど……。
 


 ◇◇◇

 目が覚めました。
 何か長い夢をみていたようです。

「起きたか?」
「はい」

 ここは何所でしょう。
 頭を動く度に、一緒に髪の毛が動く知らない男性が、わたしをみています。
 壁には見た事がある女性が座っています、でも表情が無くお人形みたいです。

「いいかい女王は敵、女王は敵なんだ」

 何を言っているのでしょうか。
 女王が敵なのは子供でも知っています。
 だって私はパトラ女王の子なんですから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...