グラン王国の錬金術師 if 悪役錬金術師に転生してました!

えん水無月

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197 楽しい所ですわね!

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 ふーん……思っていたよりも凄いわね。
 場所は秘密のカジノ。

 辺りを見回す。
 主にトランプを使ったゲームとルーレットがメインっぽいのね。
 錬金術を使った照明とシャンデリアでまるで夢のような大きなフロア。
 顔半分を隠したマスクや、目の部分だけのマスク、なぜか獣耳をつけた女性などがあちらこちらにみえる。

 これは仮装パーティーのようにみえるけど、お客のプライバシーを守るためとか何とか。
 私も目と鼻部分をかくした狐面をつけている。
 

「驚いた表情を顔に出すな」
「出せるわけ無いでしょ! 仮面つけてるんだから」


 私に文句を言ってくるのは、顔全部を隠したガルドだ。
 目の部分しか開いていなく、知らない人がみたらガルドとは気づかない。いや、知ってる人でも怪しいわね。
 私がわかるのは、お面の部分に私とガルドだけわかるようにした印をつけているからだ。


「コインに変えてきた」


 そういうと、私に白、赤、黒のゲーム用コインを渡してくれた。
 それぞれ白金、金貨、銀貨相当で、それ以下は無し。
 飲み物と軽食は無料で、暴れない限りは退去もない。
 チップから現金に変えるときに手数料として二十%渡す事となってる。

 さらには客同士のトラブルを避けるために、顔を隠す事。
 本名をベラベラ言わない事。
 数人の知人同士で来るのは許可するが、外でのトラブルを中に持ち込まない事、などまぁ決まりが多い事多い事。

 その代わりチップ即日換金してくれると……過去に一晩で白金貨千枚分を勝ち取った人もいるとか。
 うん、行った事なかったけど東京の裏カジノみたい、うん。行った事ないわよ?


「で、ガル……っと、犬のお兄さん。アレはどこ?」
「なんだ、女狐」
「む、女狐とか酷い呼び方じゃないの? アレといったらアレよ。掛け金が白コインが一枚で当ったら白コインが一万枚ぐらいになるゲームどこ?」
「ないぞ……だから家にある現金を全部用意させたのか……」
「えっ!?」


 あったりまえじゃない。
 この世界にパチンコはないから特殊なルーレットと思うのよね。
 きっと当り穴に入れたらじゃんじゃんばりばりって思っていたのに……支配人を呼べ、支配――。


「支配人をっ! っと、声に出てしまった」


 気づけば周りの視線が私達に向いては離れていく。
 直ぐに筋肉質で頭が禿げ上がっており、純金のクマのような仮面をつけた老人が近くに寄ってきた。


「どうかなされましたかな? 支配人のオオグマでございます」
「ガもごもごごごごもごごご!」
「すまない連れはこういう所が初めてなもので少し興奮した。こんなに凄いカジノで支配人の顔が見てみたいと叫んだだけだ」
「そうですが、それではごゆっくり」


 支配人が遠くに行くと、私の口を塞いでいたガルドの手が離れた。


「突然叫ぶな……」
「ご、ごめん。ねぇ支配人ってガーもごごごご」
「だから名前を言うな、静かにしろ」
「ごめん!」


 私は二回目も謝った。
 鳥でももう少し賢いぞ。と、いう嫌味は聞き流す。
 今は主人と執事の立場ではなく、一友人として来てもらってるし。

 そうかそうよね、これだけのカジノ経営を国に秘密でするって言ったら国の重役じゃないと無理よね。
 むしろ国も絡んでる? いやはやガール補佐官が支配人とか、顔は純金のマスクで隠してるけど頭まで光っていたらわかるわよっ!


「でも、だったら相手の財布を心配する事はないわね。稼ぐわよ! 荒稼ぎするから!」



 ◇◇◇


 私はガルドが座っている横に座った。
 トランプのゲームね。


「調子はどう?」
「ぼちぼちだな、特に大きく負けてもいない」


 私は小さい声でガルドだけに聞こえるように用件を伝える。


「その……手持ち無くなったわ。先に帰るわよ」
「はぁ? お前金庫から現金全部持ってきただろ……どうした?」
「聞いてよ! 水ぽよぽよのレースがあるんだけど、オッズが1.3倍よ! ぜったい儲かるじゃない」
「…………一応聞くがどうなったんだ?」
「それがぽよぽよレースがあるじゃない。大穴の水ぽよぽよが一番人気を吸収して一番が消えたのよ……それで外れたわ」



 ぽよぽよレースとは、魔物の水ぽよを使い一着二着を当てるゲームだ。
 簡単にいうと、お馬のレースと同じである。

 私は赤と黒の色のぽよぽよに全額を賭けた。
 それまで一位だったのよ、突然よ! 隣のコースからはみ出た緑色の水ぽよぽよが、隣の赤ぽよぽよを吸収とか……。

 結局色が変わり黄色になった、黄色ぽよぽよと黒ぽよぽよが勝ちオッズが四十七倍というレースに荒れた。

 もちろん抗議したけど、だからこそ大穴もあって公平性があります。って返された。
 同時に私の横にいた、小さい女性二人組が、当った! とか、外れました。と喜んでいる。
 
 そうね、私がここで騒いで周りのお客の結果が代わるとかなったら困るわよね。
 エルン・カミュラーヌ成長しましたわよ。オホホホホホホ……。


「というわけで手持ちがないのよ。偉いでしょ」
「騒がないのは普通だ。使え、ノエには迷惑かけるなよ……」


 ガルドはコインを半分くれた。
 優しい、でも白金貨八十七枚分を回収するのに金貨二十枚程度じゃもはや焼け石に水である。

 しかしまぁ、イケメンは素でこういう事をするのよね。
 普段乱暴な言葉使いの男がチラっとみせる優しさ、私が悪役令嬢のままだったらイチコロである。
 ……このさいデートの先が裏カジノと言う些細な事は置いておいておこう。
 さてと。


「気持ちだけ貰っておくわ」
「そうか、では俺も切り上げよう」


 二人でカジノから出る。
 秘密のカジノというだけあって、行き帰りは外が見えない馬車に乗り込んでランダムな待合場所へと降ろされるのだ。


 そこから徒歩で家へと帰ると思わず欠伸が出た。
 負けた腹いせに、高そうなワインをウン十本飲んだのも今になって眠気に代わって襲ってくる。
 玄関をあけると、パタパタとノエが走って来た。


「お帰りなさいませっ」
「ちょ、起きてたの!?」
「ノエ先輩……寝てろと言ったはずだ……」


 私とガルドの言葉が伝わると、ノエはシュンと小さくなった。


「ち、ちがうのよ。怒っているわけじゃなくて、寝てていいって言ったのに明日の仕事大変でしょうに」
「エルンさんのお世話は大丈夫です!」
「ありがとう、でも無理したらだめよ……私も昼過ぎまで寝るから明日は朝起こさなくていいわよ……そうだ。ノエ明日休みなさい。命令よ命令」
「あわわわ」


 そう私は基本命令はしない、お願いが殆どだ。
 だからこそ、命令っていうとノエは緊張してそれを受け入れる。


「じゃ、戸締りと明日はガルドお願いね」
「了解した。だ、そうだ。ノエ先輩も寝たほうがいい」
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