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第二章 転生後の世界

第22話 孤児院

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貴族領主の館を出て、ホリーとセシルは孤児院へ向かった。

「セシル久々の孤児院だね。その孤児院には、古くからいる人はいるかい?」
「あまりいい思い出ないから感慨深くはないかなあ。古くからいる人は、雑用と調理のスタッフかなあ。あの孤児院は教会が運営していて、大半の人は定期的に変わるんだよね」
「そうかあ。院長に挨拶したら、その人達から話を聞いてみよう。私の父は、教会を庇護しているから悪いことにならないと思うんだけどね」

「この孤児院かい?」
「そうね。ここだわ」
「行こう」
二人は、孤児院に入った。
「失礼します。院長にお会いしたいのですが、いらっしゃいますか」
「どうぞこちらへ」
二人は、院長室に通された。
「はじめまして。私は院長のジルと申します。本日は斯様なところにお越しいただきありがとうございます。セシルさんお久しぶりね」
「私は、ホリーと申します」
「領主様よりお話を伺っております。ホリー様は、ベゼル領主のご子息でいらっしいますよね。お父様には、当協会も大変なご慈悲を賜っております。今後も引き続き何卒よろしくお願いいたします」
「こちらこそ父が大変お世話になっております」
「さて、本日は、セシルさんのことをお聞きになられたいとか。当方で残っております資料は、別室にご用意させていただきました。お恥ずかしながら院長によっては、こういった資料を作るのが苦手なものもおりまして、ご期待に沿えるものであれば良いのですが」
「気になさらずに。誰しも得意、不得意もありますし、敢えて書かなかったということもありえます」
院長の顔が一瞬曇った。
「敢えてなどとそのようなご冗談を」
「院長。こちらで雑用と調理を担当しておられる方で古くからいらっしゃる方を紹介いただきたいのですが。お願いできますか?」
「わかりました。資料をご覧になられましたら再度お声掛けください。ご紹介させていただきます。では、別室へ」
二人は、別室へ案内された。
(さっき院長の表情が一瞬変わった気がしたけどサーベスどう思う?)
《確かにそうね。何かがあるわね。院長の記憶領域をみていたけど、先日のセシルの暴走のことだけだったわ。内容もセシルから聞いた内容だわ。ただセシルを犯そうとした院長は、その時死んでるわ。事態を重くみた協会は、後任にシスターを任命したみたいね》
(では、あの院長から得られる情報はなさそうだね。ありがとう)
「資料をみようかあ」
「紙も風化してるから気をつけてよもう」

今から約10年近く前
9月10日 森で赤ん坊を拾ったという若者が
     教会にくる
     赤ちゃん以外に取得物品なし
     赤ちゃんの特徴としては、
       
9月11日 教会から当孤児院に移送、受け入
     れをおこなう
同日   街の妊婦情報を集めるも該当なし
9月18日 本件に関する教会への問い合わせ
     もなし
同日     を手掛かりに捜索を開始
9月19日 孤児院への正式収容を決定
     セシルと名付ける

「字が見えない箇所があるなあ。風化というより、消したという方が正しいかもしれない。これが手掛かりだなあ。しかしどんなものかわからないから難易度たかいなあ」
「私は、何かしらとのつながりがあるようね。それが何かはわからないけど」
「そうだね。この資料からは、次の点が情報として受け取れる。
①若者は、今どこにいるかということ
②何かしらとつながりがあるということ
③教会でまず受け入れられたこと
とすると、その若者、教会がその何かの情報を持っている可能性が高い。さらに、若者は、拾った際の情報を持っていると言えね」
「私はいったい」
「次は、古くから働いている人に聞いてみよう」
二人は、院長に雑用と調理を担当している人と話したいと伝えた。
10年以上前から勤めているのは、二人おり、順番に別室にて面談することとなった。

一人目は、雑用担当者 セダン
「セダンと申します」
「よろしくお願いします」
「10年前こちらのセシルが教会から移送されたときのお話をお聞きできますか?」
「私は、雑用と言っても庭いじり中心なのであまり知らないです。また移送はよくある話なので、大した記憶はないのですが、そちらのお嬢さんの時は、森で拾われたという点が不思議だと思ったくらいです」
「なぜ不思議だと?」
「大抵は捨てるといっても魔獣に襲われる可能性のある森には捨てず、教会の前とかが普通なのです」
「なるほど確かに」
「他に何かありますか?」
「それ以外は特にないですね」
「ありがとうございました」

二人目は、調理担当者 メイ
「はじめまして、メイと申します」
「メイおばさん!お元気ですか?」
「セシルちゃん!元気だよ。セシルちゃんは学校で友達もできたみたいだね。こんなとこまで、一緒に調べに来てくれるなんて、いい方だね。最後嫌なことあったからおばさんも心配してたけどなんだか安心したよ。セシルちゃんが来たときの話だよね。セシルちゃん知りたいよね」
「何かあったんですかね?」
「移送されてきた時については、おばさんもよく知らないんだよね。基本はシスターが面倒みるからね」
「セシルちゃんのことは、森で捨てられ、しかもこの街に住んでいない若者が教会に連れてくるという今までにないケースだったからなのか、その状況を不憫に思ったのか、あるシスターが特に目をかけていたわ」
「そのシスターはどちらへ?」
「今は亡くなっているわ」
「そうでしたか」
「私が知ってることは、これだけです」
「そうですかあ」
「ごめんね・・・」
「ありがとうございました」
「セシルちゃん頑張ってね」
「はい!」
(サーベスどうだった?)
《メイさんは何かを隠しているね。記憶を探ろうとしたけどかなりのガードだったわよ》
(サーベスも入れないくらいだったのかあ。ありがとう)
「ホリー。あんまり情報なかったわね」
「そうだね。このあと、教会いってみようかあ」
院長室で挨拶を済ませ、教会に向かうことにした。
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