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3.深海の猫
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「それ、赤毛のに貰ったのかい。」
葡萄畑を離れ暗闇をしばらく歩いていると、白銀の猫は急に少年に問いかけた。少年が首肯すると、
「ふぅん。君、いいもの貰ったじゃないか。」
不器用だなぁ、そう小さな呟きを加えると、再び歩き始めた。
しばらくすると暗闇が少しずつ薄れ、路地で見たものと同じようなドアが現れた。何もない空間にドアが浮いている光景はなんとも奇妙で、少年は一歩後ずさった。それを見た白銀の猫は、前足で少年の足をつつく。
「今更怯えることもないから、大丈夫。」
そう言って少年を促した。
「少し、驚いただけだよ。」
意を決しドアノブに手をかけると、後ろから「あっ」と声がした。
「呼吸だけは忘れないでね。」
慌ててそう付け加えたようだった。少年は首を傾げながらドアノブを回した。
すると、無理やり閉じ込めていたものがその枷を外したように勢いをつけて飛び出し、少年と白銀の猫を包み込んだ。あまりに突然のことに驚き、振りほどこうと手を動かすが手はひんやりとしたそれを通り抜けるばかりだった。
(水だ)
そう気づいた時には、ドアの内側へと引き込まれていた。
*
すぐ後ろで、ドアが閉じたようなこもった音がした。
(息、が)
苦しい。そう思い始めた時、固く閉じられた少年の目に、ポフッと柔らかいものが当てられた。
「大丈夫、ゆっくりと息を吸いなさい。」
水中で響く綺麗な声が少年を優しく宥める。
水中で息を吸う勇気は少年にはなかったが息も限界を迎え、思い切り空気を吸い込もうと口を開けた。しかし、水が入ってくる様子はなく、少年は荒くなった呼吸を落ち着かせた。少年が目を開けると。目の前には、ターコイズ色の瞳をした深い藍色の猫がその長い毛をくゆらせて立っていた。いや、浮いていた、が正しいのかもしれない。
あの綺麗な声はこの猫だったのかと、少年はまじまじと見つめてくる藍色の猫に視線を返した。
「よかった。大丈夫そうですね。」
藍色の猫はそう言うと、少年の元から離れ、深く頭を下げた。
「初めまして歓迎いたします、お客人。まずは、我らが同胞があなたを無遠慮に連れ回してしまったことを詫びさせてください。」
そう申し訳なさそうに耳を倒す様子に、少年もつられて頭を下げた。
「いえ、楽しかった、ので。気にしないでください。」
少年がそう言うと、今まで黙っていた白銀の猫が口を開いた。
「だから、飽きないように散歩したって言ったじゃないか、マダム。」
そう抗議すると、藍色の猫は耳を絶たせ白銀の猫をゆっくりと見つめた。
「私たちの親切が、人間にとっての親切とは限らない、と何度も教えたではありませんか。君はもう少し考えて行動するべきですよ、白銀の。」
そう言われ、少し肩を落とした白銀の猫を見やると、「放っておけなかったのは分りますが……」と呟いた。
「あなたも、何故自分がここに連れてこられたのか薄々気づいているのではないでしょうか。葡萄畑の猫に、何か言われたのではないですか。」
少年は、少し前の記憶をたどった。
「……悩み。」
「そうです。本来ならばここは終着点、道が現れるはずなのですが、今私たちは水中に漂っています。……行き場を失くした人の思いのように。全て、吐き出してしまいなさい。ここにあなたを責める人など、いませんから。」
藍色の猫はそう言うと、少年の足にすり寄った。そのまま少年の足の間に座る。真っすぐ見つめてくるターコイズの瞳に誘われるように、少年は言葉を紡いだ。
「……喧嘩、したんだ。今までよりもうんと酷い。……僕は、怖い。どうして傷つけてしまうんだろう。どうして共感してあげられなかったのだろう。このまま、嫌われて離れていってしまうかもしれない。親しい人を失ってしまうことが、怖い。」
「……あなたは。」
藍色の猫は少しの間口を閉じ、またゆっくりと話し始めた。
「あなたは、肯定しかしない人と、意見が異なることもあるけれど肯定もしっかしとしてくれる人と、どちらが信頼できると思いますか。」
「え。」
「私は後者です。」
「……どうして。」
「肯定しかない人は駄目なことも合わせます。私にとって駄目なこと……些細なことでもいいのです。食事の横入りや、相手をケガさせそうになること、こうした時に注意せずむしろ一緒に行うのが、肯定しかしない人なのです。自分の方向を客観的にみて正してくれる人がいない、という事はとても危ういことなのですよ。」
「……でも、傷つけてしまったら。」
「一度や二度の反論で離れてしまう人なんて友達ではないのですよ。それは、ただあなたを自己肯定の道具にしたいだけの人です。」
そう言い切る様子に、少年は思わず「ふはっ」と声をもらした。
「酷くないかい?」
「あなたが優しすぎるんですよ。」
そう言うと、藍色の猫は暗い水中を見つめた。
「確かに、肯定の友情関係もあるでしょう。ですがそんなのは稀で、大体は意見の相違があるものです。人間関係はそのような意見をすり合わせて、じっくりと相手を知っていく工程が必要なのだと、私は思っています。まぁ、私たちは猫ですけれどね。」
藍色の猫は再び、少年の足の上で丸くなる。そんな猫たちを撫でながら、少年は口を開いた。
「僕は、いけないことだと思った。でもあいつにとっては普通で。言った時、酷く傷ついたような顔をしたんだ。」
少年は俯き、「あれはきっと、僕の言い方も悪かった」と小さく呟いた。
「自分の行いを省みることが出来るのは良い事です。……それができず、相手にだけ非を見出して離れる人だっているのですから。」
藍色の猫は、励ますように少年の腕に額を擦りつけた。
親しい友の、困ったような、怒ったような、今にも泣きそうになってしまった顔を思い出す。あの時、少年は彼をきつい口調で責めたのではないか。もっと他に言い方があった筈なのに。
「……僕、帰りたい。」
だとしたら、今ここに留まることよりもやるべきことがある筈だった。
「謝りたい。……落ち込むだけじゃだめなんだ。言葉にして、伝えないといけなかった。離れようとする背中を追いかけないと、駄目なんだ。」
やっと形にした答えを言葉にしながら、少年はぽろぽろと静かに涙を流した。その様子をみた白銀の猫は、ひょいと少年の肩に飛び乗るとその涙をなめとった。
「……君、でもね、謝罪は所詮自己満足だ。許す、許さないは相手の自由。そのどちらかに転んだ時憤るくらいなら、しない方がいい。それでも君は、謝りたいと思うのかい。」
そういう白銀の猫を睨む、藍色の猫の背を少年はゆっくりと撫でた。
「……わかってる。あいつが許すかなんてわからないし、期待がないと言えば嘘になってしまうけど。けど、僕は謝りたいんだ。僕のためにも。でも、それでいい。だって、謝罪は自己満足なんだろう?」
そう言って笑ってみせると、白銀の猫は驚いたように固まり、にやりと笑った。
「はは、いいね。君はその顔の方が似合う。」
「匂いも、消えました。」
猫たちがそう言った瞬間、ふいに少年を支えていた浮力が消え、地面へと足をおろした。
足元を見ると、小さな光の粒が集まり、一本の道を浮かび上がらせている。道の先を辿ると、門のように光が闇を裂いていた。
「……あなたはちゃんと、行き場を見つけましたね。」
藍色の猫はそう言って光の門を見つめた。
少し離れたところで、白銀の猫がゆらりと尾を左右に揺らしている。少年を呼んでいるようだ。少年はちら、と足元の藍色の猫を見た。けれど、猫は何も言わず少年を見つめ返し、暗闇へと姿を消した。ほんのりと寂しさを覚えながらも、少年はしっかりと前を見据えた。
長い夜が、終わる。
完。
葡萄畑を離れ暗闇をしばらく歩いていると、白銀の猫は急に少年に問いかけた。少年が首肯すると、
「ふぅん。君、いいもの貰ったじゃないか。」
不器用だなぁ、そう小さな呟きを加えると、再び歩き始めた。
しばらくすると暗闇が少しずつ薄れ、路地で見たものと同じようなドアが現れた。何もない空間にドアが浮いている光景はなんとも奇妙で、少年は一歩後ずさった。それを見た白銀の猫は、前足で少年の足をつつく。
「今更怯えることもないから、大丈夫。」
そう言って少年を促した。
「少し、驚いただけだよ。」
意を決しドアノブに手をかけると、後ろから「あっ」と声がした。
「呼吸だけは忘れないでね。」
慌ててそう付け加えたようだった。少年は首を傾げながらドアノブを回した。
すると、無理やり閉じ込めていたものがその枷を外したように勢いをつけて飛び出し、少年と白銀の猫を包み込んだ。あまりに突然のことに驚き、振りほどこうと手を動かすが手はひんやりとしたそれを通り抜けるばかりだった。
(水だ)
そう気づいた時には、ドアの内側へと引き込まれていた。
*
すぐ後ろで、ドアが閉じたようなこもった音がした。
(息、が)
苦しい。そう思い始めた時、固く閉じられた少年の目に、ポフッと柔らかいものが当てられた。
「大丈夫、ゆっくりと息を吸いなさい。」
水中で響く綺麗な声が少年を優しく宥める。
水中で息を吸う勇気は少年にはなかったが息も限界を迎え、思い切り空気を吸い込もうと口を開けた。しかし、水が入ってくる様子はなく、少年は荒くなった呼吸を落ち着かせた。少年が目を開けると。目の前には、ターコイズ色の瞳をした深い藍色の猫がその長い毛をくゆらせて立っていた。いや、浮いていた、が正しいのかもしれない。
あの綺麗な声はこの猫だったのかと、少年はまじまじと見つめてくる藍色の猫に視線を返した。
「よかった。大丈夫そうですね。」
藍色の猫はそう言うと、少年の元から離れ、深く頭を下げた。
「初めまして歓迎いたします、お客人。まずは、我らが同胞があなたを無遠慮に連れ回してしまったことを詫びさせてください。」
そう申し訳なさそうに耳を倒す様子に、少年もつられて頭を下げた。
「いえ、楽しかった、ので。気にしないでください。」
少年がそう言うと、今まで黙っていた白銀の猫が口を開いた。
「だから、飽きないように散歩したって言ったじゃないか、マダム。」
そう抗議すると、藍色の猫は耳を絶たせ白銀の猫をゆっくりと見つめた。
「私たちの親切が、人間にとっての親切とは限らない、と何度も教えたではありませんか。君はもう少し考えて行動するべきですよ、白銀の。」
そう言われ、少し肩を落とした白銀の猫を見やると、「放っておけなかったのは分りますが……」と呟いた。
「あなたも、何故自分がここに連れてこられたのか薄々気づいているのではないでしょうか。葡萄畑の猫に、何か言われたのではないですか。」
少年は、少し前の記憶をたどった。
「……悩み。」
「そうです。本来ならばここは終着点、道が現れるはずなのですが、今私たちは水中に漂っています。……行き場を失くした人の思いのように。全て、吐き出してしまいなさい。ここにあなたを責める人など、いませんから。」
藍色の猫はそう言うと、少年の足にすり寄った。そのまま少年の足の間に座る。真っすぐ見つめてくるターコイズの瞳に誘われるように、少年は言葉を紡いだ。
「……喧嘩、したんだ。今までよりもうんと酷い。……僕は、怖い。どうして傷つけてしまうんだろう。どうして共感してあげられなかったのだろう。このまま、嫌われて離れていってしまうかもしれない。親しい人を失ってしまうことが、怖い。」
「……あなたは。」
藍色の猫は少しの間口を閉じ、またゆっくりと話し始めた。
「あなたは、肯定しかしない人と、意見が異なることもあるけれど肯定もしっかしとしてくれる人と、どちらが信頼できると思いますか。」
「え。」
「私は後者です。」
「……どうして。」
「肯定しかない人は駄目なことも合わせます。私にとって駄目なこと……些細なことでもいいのです。食事の横入りや、相手をケガさせそうになること、こうした時に注意せずむしろ一緒に行うのが、肯定しかしない人なのです。自分の方向を客観的にみて正してくれる人がいない、という事はとても危ういことなのですよ。」
「……でも、傷つけてしまったら。」
「一度や二度の反論で離れてしまう人なんて友達ではないのですよ。それは、ただあなたを自己肯定の道具にしたいだけの人です。」
そう言い切る様子に、少年は思わず「ふはっ」と声をもらした。
「酷くないかい?」
「あなたが優しすぎるんですよ。」
そう言うと、藍色の猫は暗い水中を見つめた。
「確かに、肯定の友情関係もあるでしょう。ですがそんなのは稀で、大体は意見の相違があるものです。人間関係はそのような意見をすり合わせて、じっくりと相手を知っていく工程が必要なのだと、私は思っています。まぁ、私たちは猫ですけれどね。」
藍色の猫は再び、少年の足の上で丸くなる。そんな猫たちを撫でながら、少年は口を開いた。
「僕は、いけないことだと思った。でもあいつにとっては普通で。言った時、酷く傷ついたような顔をしたんだ。」
少年は俯き、「あれはきっと、僕の言い方も悪かった」と小さく呟いた。
「自分の行いを省みることが出来るのは良い事です。……それができず、相手にだけ非を見出して離れる人だっているのですから。」
藍色の猫は、励ますように少年の腕に額を擦りつけた。
親しい友の、困ったような、怒ったような、今にも泣きそうになってしまった顔を思い出す。あの時、少年は彼をきつい口調で責めたのではないか。もっと他に言い方があった筈なのに。
「……僕、帰りたい。」
だとしたら、今ここに留まることよりもやるべきことがある筈だった。
「謝りたい。……落ち込むだけじゃだめなんだ。言葉にして、伝えないといけなかった。離れようとする背中を追いかけないと、駄目なんだ。」
やっと形にした答えを言葉にしながら、少年はぽろぽろと静かに涙を流した。その様子をみた白銀の猫は、ひょいと少年の肩に飛び乗るとその涙をなめとった。
「……君、でもね、謝罪は所詮自己満足だ。許す、許さないは相手の自由。そのどちらかに転んだ時憤るくらいなら、しない方がいい。それでも君は、謝りたいと思うのかい。」
そういう白銀の猫を睨む、藍色の猫の背を少年はゆっくりと撫でた。
「……わかってる。あいつが許すかなんてわからないし、期待がないと言えば嘘になってしまうけど。けど、僕は謝りたいんだ。僕のためにも。でも、それでいい。だって、謝罪は自己満足なんだろう?」
そう言って笑ってみせると、白銀の猫は驚いたように固まり、にやりと笑った。
「はは、いいね。君はその顔の方が似合う。」
「匂いも、消えました。」
猫たちがそう言った瞬間、ふいに少年を支えていた浮力が消え、地面へと足をおろした。
足元を見ると、小さな光の粒が集まり、一本の道を浮かび上がらせている。道の先を辿ると、門のように光が闇を裂いていた。
「……あなたはちゃんと、行き場を見つけましたね。」
藍色の猫はそう言って光の門を見つめた。
少し離れたところで、白銀の猫がゆらりと尾を左右に揺らしている。少年を呼んでいるようだ。少年はちら、と足元の藍色の猫を見た。けれど、猫は何も言わず少年を見つめ返し、暗闇へと姿を消した。ほんのりと寂しさを覚えながらも、少年はしっかりと前を見据えた。
長い夜が、終わる。
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