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揺れる黒と、広がる赤
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しおりを挟む金曜日の放課後。
ほぼ毎週といっていいほど、この日はあたしの家に彼がやって来る。
と言っても、あたしが呼びつけてるだけなんだけど。
「あー、やっぱり最高」
「…なにが?」
ポツリと零したあたしの呟きに返ってきたのは落ち着く低音。
頭上から降り注いだそれに反応したあたしは、首を後方へと捻って、すぐ後ろに居る榛名くんを視界に入れた。
「なにがって、“背面ハグ”に決まってるじゃん!」
振り向くなり声を大にしてそう言ったあたしは今、榛名くんが胡坐を掻いている隙間にすっぽりと埋まるように座っていて、女の子の夢と言っても過言ではない“背面ハグ”を体感していた。
こんなの、最高と呼ばずになんと呼ぶ?
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