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脆弱を覆う優しさ
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しおりを挟むあたしの初体験は中学2年生の時。
相手は2つ年上の高校生だった。
初めてその行為に及んだ日から、その彼氏は会う度に身体を求めてくるようになった。
正直この行為の何がそんなに良いんだろうと思いながらも、断ることも出来ずに求めれるがままに身体を捧げ続けた。
けれどある日、拒まざるを得ない理由が出来たあたしは初めて彼氏の誘いを断った。
「なんでダメなの?」と問いかけてきた彼氏の表情が少し不機嫌そうに見えたのはあたしの勘違いだと思いたかった。
「生理だから」とあたしが答えた後、チッと舌を打つ音が聞こえたのも聞き間違いだと思いたかった。
こんな歪んだ世界にも、何か綺麗な物があると信じたかった。
こんな淀んだ世界にも、何か揺るがない物があると信じたかった。
だから、あたしを“好き”だと言ってくれた人に、それを捧げたのに。
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